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イコノロギア-ICONOLOGIA-

 16・17世紀のヨーロッパでは多くの挿絵本が印刷・出版された。チェーザレ・リーパのイコノロギアもそのなかの一つだ。
 1455年、グーテンベルグの活版印刷による最初の出版物であるグーテンベルグ聖書(42行聖書)がドイツで発行されて以来、活版印刷術は急速にヨーロッパに広まっていった。(これと同時代に銅版刷りの技術も確立され、書物における挿絵の役割も大きくなっていく)
 1531年、アンドレア・アルチャーティ(Andrea Alciati)による挿絵入りのエピグラム集「エンブレム集(Emblemata)」が発行。これが挿絵とテキストから成るエンブレム・ブックの嚆矢となる。ここで言うエンブレムとはいわゆる「紋章」ではない。エンブレムブックにおけるエンブレムは題辞(モットー)、挿絵(図像)、詩文(エピグラム)から構成される。アルチャーティのエンブレム集は175以上の版が存在し、登場するエンブレムの数も最初は98であったのが最終的には212まで増えている。
 アルチャーティのエンブレム集以降多くのエンブレムブックが発行された。リーパのイコノロギアが最初に発行されたのは1593年のことだ。初版は文章のみであったが1603年の第3版より挿絵が付され、この版以後はすべて挿絵入りで出版された。リーパが亡くなったのは1623年頃と推定されるが、イコノロギアはその後も項目が追加されながらヨーロッパ諸国へと広まり、版を重ねていく。

イコノロジー研究〈上〉
エルヴィン パノフスキー他
筑摩書房 (2002/11)
売り上げランキング: 75093
おすすめ度の平均: 4.5
5 話題のイノコロジーを理解できる。
4 入門書ではないのでご注意
5 イコノロジー

 イコノロギアはエンブレム・ブックではあるが、むしろエンブレムを読み解くためのリファレンスマニュアルといった方がよい。リーパはイコノロギアを「雄弁家、説教者、詩人、表象や契約書の作成者、彫刻家、画家、設計者、演出家、建築家、衣装図案家のため」に広くヨーロッパ精神の統合と思想体系の確立を目的に執筆したと語っている。
 美術史家エミール・マールは、イコノロギアがあればローマ市内の教会や建物を装飾する寓意像やモチーフの大半を読み解くことが出来ると記している。
 実際、この時代の絵画にはいろいろな寓意がちりばめられている。フェルメールの作品の一部のように寓意それ自体が主題となっているものもあれば、隅に描かれた「なぜこんなものが?」というようなものがその作品をより深く理解する助けとなるものもある。

現在、WEB上ではThe English Emblem Projectでイギリスで発行されたtempest版が、慶應義塾大学HUMIプロジェクト内で ペルージャで発行された版を見ることが出来る。慶應のほうはイラストのみの掲載だが、tempest版は文章も読むことが出来る。
また、googleで検索すると他にもいくつかHPが見つかるほか、google bookで全ページ読めるものもある。
internet archiveでも複数の版を見ることが出来る。google books、internet archiveのどちらもPDFで本を1冊まるごと保存できる。

書籍として入手できるのは日本語では
 水之江有一 図像学事典―リーパとその系譜 (定価12,000円)
があるのだが、残念ながら版元品切れの模様。リンク先のamazonでは多少割高ではあるが入手可能性あり。数年前に神保町で8,000円くらいで売っているのを見かけたのだが、先日行ったときにはどの店でも見つからなかった。洋書であれば
Maser,Edward A.(ed). 『Cesare Ripa: Baroque and Rococo Pictorial Imagery』 Dover Publications Inc. 1971年
amazonで送料込みで2100円ちょっとと一番安く手に入る。値段は高くなるが、他の復刻もいくつか手に入るようだ。

追記(2007.4)
上記のドーバー版も版元品切れのようで残念ながら2000円台では手に入らない。

追記2(2010.12)
上記のThe English Emblem Projectに掲載されているのと同じtempest版がamazonで2000円程度で入手可能。
先日イタリアのウフィツィ美術館に行った際に同館の書店に大量のiconologiaが平積みされていたのを目撃。おそらくペルージャ版だったと思う。padova版でした。

図像学事典はイコノロギアの文章を紹介した上で文中に出てくる用語などについてさらに解説を加えている。図版はドーバー版とおなじヨハン・ゲオルグ・ヘルテル版のものが大きく載っており、さらに初期の挿絵として1610年頃のpadova版の原図も小さく載っている。
単なるイコノロギアの翻訳にとどまっていないのでこれ1冊あればとりあえずは十分といえる。安い本ではないが、買って損はない。
ここからさらに関心があるならイメージ・シンボル事典 もおすすめできる。こちらは純粋に「事典」の形態なので1冊目として買ってもイコノロギアの理解にはあまり役に立たない。

イコノロギア以外ではアルチャーティの『エンブレム集』がありな書房というところから翻訳されて出版されている。イコノロギアも続刊で予定されているはずなのだが、この本の発行された2000年以降、音沙汰はない。

※上記文章の大半は慶應のHUMIプロジェクトおよび岩崎美術社「図像学事典」によってます。

手元のイコノロギアの紹介

色々なバージョンがあるとつい欲しくなってしまいます。ということで私の手元にあるものを紹介します。

まずいきなり関係ない本ですがイコノロギアに関心を持ったきっかけです。日本橋丸善で慶応大学図書館の稀覯本展示がありそこで色々な稀覯本を見てはまりました。
この本はその展示会の時のカタログ的なもの。他にも色々な稀覯本が展示されていました。


上でもちょっとだけ紹介したamazonで手に入るtempest版です。見開き左側にイラストが4種類で右側に説明文という構成です。ただ、スキャンデータをそのまま利用しただけの手抜き構成のため、本来右ページに来るべきページが左ページに来ています。したがって
「左ページ:イラスト 右ページ:ページのイラストの解説」
となるべきところが
「左ページ:イラスト 右ページ:ページのイラストの解説」
となってしまっています。
とにかく安いのは魅力です。
Iconologia: Or, Moral Emblems, by C]sar Ripa. ... Illustrated ... by I. Fuller, ... by the Care and at the Charge of P. Tempest.
amazonでは他にもオンデマンド出版のものが多数あるのですが、どれがどの版を元にしているのか分からないので手が出しにくいです。


たぶん唯一の日本語版です。ありな書房からは一向に発売されませんね。解説はかなり充実しています。図版はドーバー版とおなじヨハン・ゲオルグ・ヘルテル版のものが大きく載っていて、さらに1610年ころのpadova版の図も小さく載っています。
  水之江有一 図像学事典―リーパとその系譜 (定価12,000円)
残念ながら版元品切れで再版もされずamazonではタイミングによっては2万前後のプレミア価格で取引されたりもしています。まれに定価前後で出品されていることがあります。見つけたら即買いです。


1613年のSiena版。なんと原書です。表紙は昔の洋書のような荘厳な革表紙ではなく何度か補修を経ていると思われます。コンディションがそれほど良くないので稀覯本としてはかなり安く買うことが出来ました。いずれ装丁は綺麗にしてやりたいと思っています。


中表紙は切ったり貼ったりでボロボロです。


ドーバーから出ていた1758年頃のHertel版です。マーケットプレイスなら送料込み4000円くらいで手に入るようです。この版は挿絵が銅版画で細かく背景まで緻密に書きこまれとても美しいです。
Baroque and Rococo Pictorial Imagery: The 1758-1760 Hertel Edition of Ripa's Iconologia with 200 Engraved Illustrations


元は1610年か11年のpadova版です。ペーパーバッグの安い紙ですが図、文章共に裏写りもなく印刷品質は上々です。もともと1992年に発売された本なのでスキャンデータをもとにしたオンデマンド出版ではありません。文章も打ちなおしたものなので読みやすいです(なんて書いてあるのかは読めませんが)。
ウフィツィ美術館の書店に山積みになっていたのはこの本でした。定価は13ユーロ。AbeBooks経由でイタリアのdeastore.comから送料込み18ユーロで買えましたがこれも現在は入手困難なようです。
本自体は日本のamazonにも登録されています(写真は旧版のもののようです)。
Iconologia

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