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Introduction

アンプ作りに興味はある、しかし電気のことは素人だ、という人が読んでもなんとかわかる(ようになる)本を紹介します。
ちなみに私自身、文系出身で電気のことは全然詳しくありません。ここで紹介する本や雑誌、いろいろな人のホームページを読んで最低限の知識はかろうじて身についたか?というところです。

(2)では真空管アンプの本を紹介します。団塊世代の定年退職を見据えてかずいぶんと真空管関係の本やムックが増えてきました。
真空管アンプの本はたくさん出ているため、ここで挙げているのは私が実際に読んだことのあるものだけです。
★は真空管のデータからロードラインを引いて自分で設計できるようになりたい初心者への個人的なオススメ度の観点からつけています。

情熱の真空管アンプ



情熱の真空管アンプ
木村 哲 / 日本実業出版社 (2004/04/15)

ホームページ情熱の真空管を公開する「ぺるけ氏」による全段差動プッシュプルアンプのつくり方を解説した本です。HP上でもかなりの情報を提供されているのですが、この本にはそれらの情報+αがかなり見やすく収録されています。

増幅回路や電源回路の設計からアース配線までかなり分かりやすく書かれており、個人的には現行の真空管アンプの本の中では一番分かりやすいと思っています。
分かりやすさでは↓の「真空管アンプの素」がさらに上を行くものになりました。
この本で具体的につくり方が説明されているのは6L6WGC(3結)かEL34(3結)の全段差動PPアンプと16A8の全段差動PPアンプです。
HPには掲示板もあり、分からないことがあれば作者のぺるけ氏のほかたくさんの人がアドバイスしてくれるはずです。アフターサポートが一番充実している本といえるかもしれません。




真空管アンプの素 
木村 哲 / 技術評論社 (2011/10/6)

「情熱の真空管アンプ」に続く2冊目の木村哲氏の真空管アンプ解説本です。
1冊目の「情熱の〜」よりさらにハードルが下がりました。今度の本は出力1W以下のシングルアンプが題材です。安い真空管と安いトランスの組み合わせでシャーシさえ費用をかけなければ2万円で余裕でお釣りが来ます。ピュアオーディオならぬプアオーディオ。しかしその実力は本物です。
出力が物足りないと思う向きもあるかもしれませんが、普通のマンションでお隣さんに迷惑をかけないレベルの音量であれば0.5Wもあれば十分だったりします。

真空管アンプの自作に興味はあるけど予算も内容もハードルが高いと思っている人には最初の1冊として特にオススメです。下で紹介している「iPodで楽しむ〜」もオススメなのですが初心者にどちらか1冊と言われたらこちらを推します。
全段差動アンプと同様、こちらも掲示板でアドバイスが受けられます。

逆にすでに「情熱の〜」を持っているような人には今更小出力のシングルアンプの解説なんて…と物足りないところもあるかもしれません。ですが作者自身が「ハードルは下げたが情報量は増えた」と言っているように内容は盛り沢山です。いままで「なんとなく」「みんなやっているから」で設計してきた部分に思わぬ発見があるかもしれません。
真空管アンプの「しくみ」と「基本」



真空管アンプの「しくみ」と「基本」
中村 歩 / 技術評論社 (2009/4/8)

この本の特徴はspiceと同様の回路シミュレータ(TINA7)がCD-ROMで付属しておりパソコンで回路の特性をシミュレートできることです。
真空管アンプの回路設計とTINA7の使い方が丁寧に解説されており、真空管のモデルデータも多数収録されています。

動作点をうごかすとどういう影響が出るのか、回路の抵抗やコンデンサの値を変えると周波数特性にどれだけ、どんな影響が出るのか、そういうことがかなり楽に検証できます。雑誌やHPでspiceでの分析を見て自分もやってみたいなあと思っていた人やちょっと試してみたけど挫折したという人には一気に敷居が低くなりました。spiceの解説本はたくさん出てますが真空管アンプに特化した本はこれが初めてです。

作例として説明しているのは6BQ5のプッシュプルです。いちばんシンプルなP-K分割の位相反転回路ですが、位相反転回路の説明としては私がこれまでに読んだ本の中でいちばん初心者にもわかりやすいと思います。
回路設計のみではなく真空管アンプの本ならどれでも載ってる基本的な原理や実際の組立についても解説されています。
後半では往年の名機というわれるようなアンプもシミュレートして検証しています。

初心者から上級者まで納得できる内容です。紙と鉛筆だけでなくネットとPCを使ってアンプを作る時代の解説書としては一つの到達点ではないでしょうか。
著者はAyumi's Labの方。情熱の真空管アンプと同様にHPでのフォローもあります。
iPodで楽しむ真空管&D級アンプ―作ってみよう&そして学ぼう



iPodで楽しむ真空管&D級アンプ―作ってみよう&そして学ぼう
林 正樹 オデオマニアンドラドラセカール / CQ出版

6BM8シングル、12AU7プッシュプル、2A3シングルの製作記事が掲載されています。どれもキットではなく穴あけから自分で加工するものです。
カラーの実態配線図やシャーシ加工図もあり、初心者でも比較的わかりやすい構成になっています。
単なる製作記事の紹介ではなく、アンプ設計の詳細についても解説されています。増幅回路設計の解説を読みながら6BM8シングルを作ると勉強になると思います。
あまり高価な部品を使っていないところも初心者にはお勧めです。
特にシングルアンプの回路設計については動作点の設定や抵抗値の決め方などついては12AX7などを例に具体的に説明しており、情熱の真空管アンプよりもわかりやすいと思います。
シャーシ加工や配線方法などについても初心者に優しく解説されており、全段差動PPに興味がないなら情熱の真空管アンプよりもこちらをお勧めします。
タイトルのipodは正直おまけです。売りやすくするためにiPod関連もちょっと載せましたって感じです。D級アンプについては回路の説明とキットの組み立て記事が中心です。本全体の重点は真空管アンプにおかれています。




真空管オーディオハンドブック
加銅 鉄平 (著), 森川 忠勇 (著), 長 真弓 (著)/ 誠文堂新光社 (2000/10)

MJから発行された非常に中身の濃い解説書です。1冊目としては難しすぎますが、ステップアップのための2冊目以降として買うなら一押しです。基本的なことはもちろん、設計、NFBのかけ方、測定にシングル・プッシュプル・OTLの作例、主要真空管の特性表と内容は盛り沢山です。
1冊で8,000円以上もしますので気楽に買える本ではありませんし初心者にはかなり難しいですが、雑誌の作例コピーでは物足りないという人は事典的な参考書籍としてぜひ手元に置いておきたい1冊です。
はじめての真空管アンプ―クラフトオーディオ入門


はじめての真空管アンプ―クラフトオーディオ入門
黒川 達夫 / 誠文堂新光社 (1999/11)

私事ながらはじめて買った真空管アンプ作りの本です。
いろいろな項目が平易な言葉で書いてあるんですが総論中心で実際に自分で真空管を選んで利得を計算して設計するとなるとあまり役に立ちません。
部品選びや組立については写真や説明が多く、なかなか分かりやすいです。

製作で解説されているのは王者300Bシングルアンプですので、300Bアンプを作りたいという人にはお勧めです。
オーディオ真空管アンプ製作テクニック―入門者からベテランマニアまで楽しめる


オーディオ真空管アンプ製作テクニック―入門者からベテランマニアまで楽しめる
森川 忠勇 / 誠文堂新光社 (2004/07)

1975〜93年頃まで著者が『無線と実験』誌上に発表したアンプ製作記事の中から、19台を抜粋し復刻編集したものです。製作記事がメインなので基礎知識ゼロの初心者にはちょっときついです。
ただ、森川氏の記事は全体的に回路の説明が初心者にもわかりやすく詳しくかかれており、ロードラインの引き方や増幅率についての基本的な知識をふまえて読むとかなり勉強になります。
巻末に「内部配線材に関する考察」など、線材の太さや配線方法についてアンプの実際の製作に参考になる記事もあります。
何か1台作った後でこれを読むと、あれもこれもと作りたくなります。
著者の森川氏はオーディオ専科の代表取締役。同社のキットはサンバレーやエレキットより高いですが、高品質と評価が高いです。
真空管アンプ・スピーカー作りに挑戦!―手作りの音に包まれる至福の時


真空管アンプ・スピーカー作りに挑戦!―手作りの音に包まれる至福の時
朝岡 忠雄 / 技術評論社 (2005/03)

6L6シングルアンプと2A3ロフチンホワイトのシングルアンプの製作を解説しています。
6L6シングルならTU-879Rが簡単で楽なんですが、キットではなく自作というのであれば写真も豊富でかなり分かりやすく作り方が解説されているのでオススメです。
ただしシャーシ加工は業者にお任せです。シャーシも穴あけから塗装まで説明してほしかったです。
それにしても6L6シングルに6万、2A3シングルに12万もかけるのはどうなんでしょう。本の内容的には初心者向きなんですがちょっとお金をかけすぎです。
スピーカーの自作も解説されています。こっちも組立の勉強用にはオススメ。
他にもオーディオの基礎的な知識とか真空管アンプキットの紹介とか、初歩の初歩用としてはとっつきやすいと思います。
アンプ&ラジオ作例集


アンプ&ラジオ作例集
オーディオクラフト・マガジン編集部 / 誠文堂新光社

オーディオクラフトマガジンに掲載された記事から数点を掲載しています。
50BM8シングル、6BM8プッシュプルに1球ラジオ、3球ラジオ、真空管以外のアンプ製作記事もあります。製作記事のほかにTU-870の作成記事と改造記事もあり、改造記事はTU-870を持っている人なら読むと面白いでしょう。あまり高価なパーツを使ってない作例中心なので財布にもやさしいです。
作例中心のためアンプ設計についてはほとんど記載されていません。
魅惑の真空管アンプ―その歴史・設計・製作〈上巻〉

魅惑の真空管アンプ―その歴史・設計・製作〈上巻〉
浅野 勇 / 誠文堂新光社 (1990/01)

元が1972年に発行された本で、当時の原稿をそのまま使っているためかなり読みにくいです。写真もモノクロな上に解像度が荒かったり潰れていたりとやはり見にくいです。
掲載されているほとんどのアンプがモノラル構成ですのでそのままコピーはしにくいですし、発表から30年以上も経った記事ですので同じトランスは手に入りませんし、真空管も今では手に入れにくいものが少なくありません。

と、まるでいいところなしのようなことを書いてきましたが、読んでみると面白いんです。真空管の歴史や他の球との音質の比較などにも触れながら書かれており、不思議と制作意欲を掻き立てられます。
1冊目に買う本としてはお勧めしませんが、過去の作例などを知る読み物として3,4冊目としてお勧めします。

真空管アンプ設計製作自在―オーディオ用プリアンプからパワーアンプまで
真空管アンプ設計製作自在 全面改訂版
長 真弓 / 誠文堂新光社 (2009/01)

1990年に出版された「真空管アンプ設計自由自在」の改訂版です。
非常に詳しく書かれています・・・・が、初心者には手におえません
内容はパワーアンプの各段の設計のほか、プリアンプ、トーンコントロールなども解説されています。3冊目くらいに読む本としては良いかもしれません。

★1つ半なのは初心者向けとしては難しすぎるからで、内容が薄いとかどうしようもないってことじゃありませんので念のため。ある程度知識のある人には★4つくらいの価値があるはずです。私には相変わらず難しいです・・・。
長氏は上で紹介した真空管オーディオハンドブックの著者でもありますので、こちらよりも真空管オーディオハンドブックの方がオススメです。
真空管アンプ製作ガイド
真空管アンプ製作ガイド
MJ無線と実験編集部 / 誠文堂新光社 (1996/02)

上の「真空管アンプ設計自由自在」をもっと簡単にした感じです。真空管の原理から測定まで幅広く載っているのですが、肝心の回路設計についてはほとんど載っていませんのでこれを読んで自分でロードラインを決定、というのは無理です。
PPの位相反転回路については各社のアンプの具体例に触れながら解説しているので比較的詳しいです。
でもこれを買うなら上で紹介した真空管オーディオハンドブックの方がオススメです。
iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ

iPodで楽しむ組み立て真空管アンプ
米田 聡 / ソフトバンクパブリッシング (2004/12)

タイトルに「iPod」とついているがiPodはあまり関係ありません。
春日無線で売っているPCL86のキットにUSBオーディオを組み込んだ製作記事やELEKITのTU-870,TU-879Rの製作記事などがあります。TU-870や879Rのような丁寧なマニュアルのついたキットのつくり方をカラーで紹介して意味があるんでしょうか。

個人的に面白いと思ったのはPCL86アンプ+USBの製作記事くらいです。内容はかなり薄いです。
真空管アンプの製作へ誘う本―味わいのある音を演出する 球の光りと共に余暇を楽しむ 真空管アンプの製作へ誘う本
こだわり世代の趣味編集部 / CQ出版

巻頭25ページにわたりカラーページでキットの紹介で大半はキット屋(サンバレー)のものです。
TU-870,TU-879,VP-3000の詳しい製作記事がカラーで載っていますが説明書もちゃんとついているプリント基板のキットにここまで詳しい解説が必要なのか疑問です。
ほとんどカラーページで非常に見やすいですが、読むところはほとんどありません。TU-870やTU-879を買って説明書を読んでもわからない、というような超超超初心者の人なら買っても良いかもしれませんが、それ以外の人はカラーカタログと不要な組み立て説明書にお金を払うことになります。

真空管アンプの素iPodで楽しむ真空管&D級アンプあたりを読めば普通のシングルアンプの設計に必要な増幅率や真空管の選び方などについてはなんとなくわかるようになります。あとはこれらの本を教科書に無線と実験やラジオ技術の製作記事、上で紹介している本の製作記事を読み、実際にロードラインなどを引いてみると理解が深まります。
全段差動PPに興味があるのであれば情熱の真空管アンプをおすすめしますが、それ以外であれば真空管アンプの素iPodで楽しむ真空管&D級アンプのほうがより初心者向きで回路設計も分かりやすいです。

プッシュプルアンプは位相反転回路が必要なのですが、上記2冊を読んでもほとんどわかりません。AB級PPのロードラインについてはiPodで楽しむ真空管&D級アンプで詳しく説明されています。私が読んだ中で一番詳しくPPの説明がされていたのは真空管オーディオハンドブックです(ただし算式だらけで初心者にはかなりきつい)。

最初は上記のどれかを買って、もっと詳しく知りたくなったら真空管オーディオハンドブックに手を出すといいと思います。

2009年5月30日 追記
09年4月に真空管アンプの「しくみ」と「基本」 という本が出ました。回路シミュレーションなど自作にどっぷり浸かりたい方にはこちらもおすすめです。上記2冊では解説されていないプッシュプルの位相反転回路についても説明があります。内容が重複する部分はありますが上記2冊のどちらか+この1冊、というのもいいかと思います。

2011年10月10日 追記
木村哲氏の2冊目の真空管アンプ解説本真空管アンプの素が発売されました。1冊目の情熱の真空管アンプよりさらに初心者向けにわかりやすくなっています。すでに情熱の真空管アンプを持っている人は重複する解説があるので買うべきか迷うところですが、こちらはシングルアンプの解説中心なのでやはり押さえておいて損はないですね。

作例記事から勉強する場合、ラジオ技術によく掲載される那須好男氏の記事が一番回路がシンプルで内容もわかりやすいと思います。あまり高価なパーツを使っていないところも初心者向きです。過去の掲載記事をまとめた本が出版されていたのですが現在は絶版のようで残念です。那須氏の製作記事は最近ではラジオ技術より管球王国で見かけます。
ほかには上で紹介したオーディオ真空管アンプ製作テクニックもけっこうお勧めです。

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