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TOP>自作オーディオ>アンプ>6EM7全段差動PP / 6EM7 Push-Pull Power Amplifier

6EM7 全段差動プッシュプルアンプの製作

ネット上で大好評の全段差動プッシュプルアンプに挑戦してみました。
差動回路はトランジスタのアンプではよく見かけますし真空管アンプでも初段ではよく使われるのですが、出力段を差動回路にした真空管アンプはぺるけ氏がネットで発表するまでほとんどお目にかかりませんでした(もちろんネット普及以前に個人で試された方はいたでしょうが)。プッシュプルでありながら純A級動作で出力がとれないという点で敬遠されてきたのでしょう。
スタンダードなAB級プッシュプルの出力を犠牲にするかわりに純A級差動回路の音質の良さを再発見させてくれたのが全段差動アンプです。

情熱の真空管 
全段差動プッシュプルアンプの詳細はここで学びました。

情熱の真空管アンプ 
「情熱の真空管」のぺるけ氏による全段差動アンプ解説書。
真空管アンプ入門書にも最適。

回路

ぺるけ氏の「情熱の真空管アンプ」と他の人の作例などを参考に回路を構成しました。
出力段の定電流回路は独立定電流方式です。LM317でやろうと思っていたのですが、特に難易度も変わらないようなので情熱の真空管アンプに載っているスタンダードな回路を採用しました。 抵抗の数値が一部異なるだけで、基本的には「情熱の真空管アンプ」掲載の6AH4GT全段差動試作アンプと同じです。


(クリックで拡大)

今回は電源トランスが真空管アンプ用ではないため2次側に100Vと24V、12Vの巻線しかありません。
B電源は普通に整流しただけでは電圧が低すぎますので100Vを倍電圧整流して使っています。トランスの定格が100V0.3Aのため真空管1本あたり25〜30mAしか取れません(※)。そこで定電流回路も1本あたり28mA程度になるように設定しています。これでもトランスの定格をオーバーしていますが、他に使っていない巻線(12V1A)もあるのでトータルの発熱で考えればさほど問題はないと考えます。6EM7はB電圧200Vなら50mA程度まで流して使える真空管ですのでかなり軽めの設定です。
ヒーターは6V出力がないので24V出力に4本直列につなぐことにしました。
出力トランスはイチカワのITPP-3Wを使いました。流れる電流が少ないためこのトランスで充分にいけます。

※トランスと取り出し電流
ブリッジ整流の場合、定格の6〜7割が限度。倍電圧整流ならその半分。
例:100V/30VA(30W)のトランス
 (1)交流 30÷100=300mA
 (2)直流 (30÷100)×0.6〜0.7=180〜210mA
 (3)倍電圧整流 (2)÷2=90〜105mA

欲張って定格以上の電流を流そうとすると
 ・予定の電圧まであがらない
 ・トランスの発熱がすごい
 ・最悪の場合、燃える(普通のトランスなら発熱で燃えないように対策がとられてます。素性のわからないジャンクトランスは注意!)
なんてことになりますので注意。

作業開始


シャーシに穴あけ。作業台があるとものすごーく便利です。作業効率は当社比3倍。
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ソケットの穴はシャーシパンチで、トランスの配線用の1cm径の穴はステップドリルで開けます。


仮組み。内側の真空管のソケットがフロントパネルに近く、フロントパネル側のラグ板への半田付けがちょっと大変でした。

完成


斜め正面から。
iPodなどのポータブルプレーヤーをつなぎたくなったときにわざわざ背面端子を使わなくても手軽につなげられるように、前面にも入力端子を備え入力は2系統としました。入力端子の近くにあるスイッチが入力切替スイッチ。
イチカワのトランスは塗装が汚かったので黒のラッカーで塗装。サーフェイサーを使わずに塗ってしまったのでちょっとぶつかるとすぐに塗装が剥げてしまいます。


Line入力、スピーカー出力ともに金メッキでちょっと高級っぽく。電源トランスは端子むき出し。そのうちカバーでも作ろうかと思っています。


定電流回路はユニバーサル基板上に組み、電源フィルターはラグ板上にまとめました。ユニバーサル基板は中央のソケットのネジにスペーサーを挟んで固定しています。

特性

最大出力:約3W
残留雑音:1mV未満
周波数特性:20Hz〜20kHzはほぼフラット

歪率はうちの環境では測定できないため測定していません。
気になるハムもなく快調に動いています。
電源トランスも計算どおりの電圧が出ているので1割弱の容量オーバーでは影響もないようです。これならもうちょっと出力を欲張っても大丈夫だったかな?
シャーシは多少熱を持ちますが、真空管アンプならこんなものでしょう。トライパスのデジタルアンプを常用しているとトランジスタにせよ真空管にせよかなり熱を持つように感じます。放熱穴をソケット周りに開けておけばよかったと思うもののいまさらどうにもなりません。まあ手でさわれる程度ですから『あたたかい』で済むレベルですし、この程度ならシャーシ内部の温度もタカが知れています。

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