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KOWA ramera by Hektor
KOWA ramera by Hektor

 

KOWA ramera

 コーワ ラメラ


KOWA ramera

メーカー   興和株式会社 電機光学事業部
発売年    1959年(昭和34年)
型 式    ラジオ付き 10×14mm判カメラ
フィルム画面 10×14mm
       (ミノルタ16用マガジン使用 16mmフィルム)
レンズ    プロミナー23mm F3.5 (固定焦点)
シャッター速度 B・1/50(L)・1/100(100)・1/200(H)
シャッター  2枚羽根レンズシャッター
ファインダー アルバダ式ファインダー(0.25倍)
巻き上げ機構 下部のつまみ付きバーの引き出し
露出計    連動式露出計(フォトミック・ファインダー)装着可
大きさ    横幅140×高さ75×奥行き35mm (ラジオを含む)
重さ     370g (電池なし)
価格     12800円
その他    ラジオ(6石スーパーヘテロダイン・AM波)
       9V 6P乾電池使用
 6トランジスター・ラジオにカメラを付けた「ラメラ」


デジカメ付き携帯電話の祖先「ラメラ」

  「ラメラ」の話の前に、現在、民生用カメラの生産をやめてしまった興和株式会社について簡単に記しておきたい。
   興和(株)の前身は、興服産業とその関連会社である大成兵器(航空機部品製造)からなる。
   終戦後、軍需品の納入で関係のあった豊川海軍工廠から光学技術者と陸軍衛生材料廠から医薬技術者を招き、事業の拡大をはかった。
   後の「コーワカメラ」と蛙のキャラクターで有名な「コルゲン」のスタートである。
   コーワカメラは、1954(昭和29)年の「カロフレックス・オートマット」から始まり、「コーワスーパー66」の生産終了(1978年昭和53年)までの25年間、民生用カメラの生産が続けられた。
   時として、設計者の自己満足的な製品も見られたが、その独創的な機構や挑戦者的な製品も多く、日本初や世界初といった技術的チャレンジは目を見張る物がある。
レンズは「プロミナー」の名前で生産され、東大の小穴教授により計測された中心解像力127本/mm(1mmの間に127本の線が識別出来た)は大々的にコマーシャルされた。
   現在、光学製品は映画用の映写レンズ(これも「プロミナー」ブランド)やライフルスコープ(「ブッシュネル」ブランド)、バードウォッチャーに知られたスポッティング・スコープなどと共に、医療用カメラなどを生産している。

   今回紹介するのは、デッドストックの新品で発見されたラジオ付カメラ。その名も「ラメラ」である。
  今,名前だけ聞くと大映の「大怪獣ガメラ」のパロディとも聞こえがちだが、ガメラの公開は1965年11月 。「ラメラ」の方が先である。大映がパロッタとも思えないが・・
  「ラメラ」はラジオ部も、カメラ部もコーワ製である。
   「ラメラ」は、ラジオやテープレコーダーを製造していた興和電機研究所と光学機製造を行っていた興和光学製作所が合併して、製品化されてと行って良い。


 

新品のラメラ

   ワインレッドの美しいプレゼンテーションボックスは、保護用の段ボールで保護されている。
   40年前の新品カメラを目の当たりにする。
   箱を開けると、レザーケースに入った「ラメラ」は工場から出荷されたままのビニールで包まれている。
   付属の9v乾電池さえ、セロファンのパッケージされたままだ。
   新品であるから、当然ではあるが、一種の感動を覚える。
 


新品箱入り「ラメラ」


  残念ながら、レザー関係は、油分が切れて、ひび割れ寸前である。何のメンテナンスもされないままであることを考えれば、相当コンディションが良いと言える。
   ブラックの植毛処理された内箱は、黒い植毛が落ちてくる。当時の出来からすればこれさえ、新品の証明だ。



「ラメラ」の付属品

   パッケージの内容を説明しよう。
   左から「取扱説明書」(英語版)の裏側。レザーのような押し型のある紙に、なんと活字で印刷されている。
   当時はこれが普通だったのだろうか、または,出版数が少なかったために活字を組み、輪転機で印刷した方がコストが低かった可能性もある。
   中央上段。イヤーホーンと専用レザーケース。カメラケースと同色に処理されている。(イヤーホーンはビニールに包まれている)
   上段左、レザーストラップ。本体のケースに付くストラップを延長して、肩掛けが出来るようにするための物。
   下段中央は、新品の9v乾電池。全くの腐食も無く、セロファンに包まれたまま。
   下段左は、輸出用のタグであろうか。


付属品

  

ケースから出された、ビニール入り「ラメラ」。本体は「黒」と「アイボリー」の品の良いデザイン。
   革製のハードケースは、当時のトランジスターラジオの貴重さを物語る。
   宮崎駿氏のアニメーション、「魔女の宅急便」の1シーンに主人公「キキ」が父親にトランジスターラジオをねだるシーンがあるが、彼女もストラップが付いたラジオをほうきに下げて旅に出る。
  英語版の取扱説明書(表)。
   この他に、赤(ワインレッド)青(スカイブルー)白(アイボリー×ブラック)のカラーバリエーションかある。
   ケースは赤のみ共色の赤で、他はすべて、白(アイボリー)だったようだが、赤に白のケースもあったようであり、詳細は不明。
   カラーバリエーションもさることながら、実は、OEMで生産された「 BELL kamra」というモデルもある。
   「 BELL kamra」がBell&Howell (ベルハウエル)の注文かどうかは不明である。
   カラーも赤のみ確認しているが、「ramera」の赤と違い、朱色に近い派手な赤である。
   「 BELL kamra」にも、他のカラーバリエーションがあったかどうかも判らない。
   ご存じの方がおられたら、是非、教えていただきたい。
   もし、「ramera」オーナーの方で、写真を貸していただける方、eメールを下さい。
   是非とも、他のカラーバリエーションを紹介していので、よろしくお願いいたします。
   eメールアドレス→ seven-ss@sky.sannet.ne.jp
   もちろん、ラメラに関する情報等、教えていただければ、今後も追記いたします。

   横浜在住のコレクターから情報が有りました。追記が有ります。ありがとうございました。_(._.)_


「ラメラ」とケース


「ラメラ」の使い方


  「ラメラ」は、カメラ部とラジオ部は、完全に独立しており、ケースで合体しているだけである。
   美しいデザインが、2つの機能が混在しているように見せないのはさすがである。
   ラジオの取り扱いは、裏蓋をあけ、9v乾電池を入れれば、電源スウィッチ兼音量調整つまみを回せば、音が出る。
   後は、聞きたい放送局に選局ダイヤルを回して合わせるだけである。


「ラメラ」各部

   カメラの取扱は、少々知識を要する。まず、「ミノルタ16」用16mmフィルムマガジンにフィルムを詰めなければならない。
   当然、暗室作業(ないしはダークバックを使用する)となる。
   カメラ部側の金属製の裏蓋(横蓋)は、カメラ下側の小さなボタンを押すと上側をヒンジに開く。
  中央にフィルムマガジン押さえを引き起こす。
   フィルムマガジンを取り出す。このマガジンにフィルムを詰める。
マガジンは小さく壊れ易いのて丁寧に取り扱う。
装填は、逆の順序で行う。


フィルムマガジンの取り出し

 フィルム巻き上げレバー(つまみ)
  カメラ底部のシャッターセットつまみを引き出しフィルムを巻き上げ、3回、空シャッターを切り、カメラ裏面のフィルムカウンターを「1」にする。
   これで、撮影準備完了。 (レンズキャップを忘れずに外す。無くし易いので注意)

   距離は固定焦点レンズ(レンズ付きフィルムと同じ)なので調整の必要は無い。
   シャッター速度と絞りを合わせて、撮影する。
   シャッターボタンがカメラ下部、ファインダーも下側にあるので撮影には違和感がある。
   親指でシャッターボタンを押す感じである。
   上下を逆にすると、今度は左手でシャッターを押すことになる。
   ファインダーアイピースは小さいがそれほど見難くはない。



フィルム巻き上げ兼シャッターセット。

 

「ラメラ」内部
  裏蓋を外すのはラジオの電池を装填するためだけである。
  カメラ部は横蓋のみ。



16mmカメラ部分
   裏蓋をあけるとカメラのフィルムカウンターやファインダーアイピースがむき出しになる。
   巻き上げ機構が興味深いが、とても、おもちゃカメラの造りでは無い。
   フラッシュのシンクロターミナルまで付いているのだ。
   「ラメラ」でフラッシュ撮影が必要とは思えない。(もちろんアクセサリーシューなど無い)
   販売価格も決して安いカメラではない。まして、トランジスターラジオとしてはとても高価な製品では無いだろうか。
   取扱説明書には、ここに触るなとか、取扱に注意しろとか、書かれてさえいない。
   こんな、不思議な商品も珍しい。


ミラーアップダイヤルとF2用セルフタイマーレバー


ラジオ部分
   6石(トランジスター)ラジオ。
   カメラ部分よりも大幅に容積を取っている。
   スピーカーを内蔵しているのがその理由である。アルニコマグネットが懐かしい。


 

   少々突飛な話だが、「ラメラ」スパイ組織に使用されたのではないだろうか。
   「ミノックス」(写真左)は、隠し撮りするために小型化したカメラ。
   「ロボット」(写真右)は、スーツケースやトランジスタラジオ(ラメラより遥かに大型)に内蔵できる特別なセットも販売された。
   さて、スパイのあなたが安心して軍事施設を隠し撮りするために、どのカメラを選ぶだろう。


 ミノックスはキューバ危機で、ロボットIはコンティキ号漂流記で活躍した

 

   横浜在住のコレクターから貴重な情報が寄せられました。
  「 Blle Camera」ではなく、「 BELL kamra」であること、そして、なにより貴重な写真もお借り出来ましたので、掲載させていただきます。
  本文中の誤りもこの機会に訂正させていただきます。読者の皆様にご迷惑をおかけしました事をお詫びいたします。

  「 BELL kamra」のカラーバリエーション。白(アイボリー×ワインレッド)である。


 ネームのデザインは違うが、ロゴは同一。


「ramera」と寸分違わぬ「kamra」


社名は大文字、機種名は小文字のデザインも一緒。


「ramera」同様、他のカラーバリエーションも存在しそうだ。


   本当にスパイカメラか!「ramera」には、made in japanの刻印が一段下がってファインダー横にある。
   「kamra」の刻印は?もし、浮き文字なら、削り易い!無ければ・・・
   生産国が発覚するのは承知の上で、削り取ったり、特別に生産させたりするのは、スパイや特殊工作員の常識である。
   銃器にはこのような例は事欠かない。公式の外交ルートで調査できない以上、「偽造されたものだ」で済ますためだ。


ケースは「アイボリー」


元箱のデザインもよく似た印象である。
しかし、なんと読むのだろう。
「カムラ」?「カマラ」?何語?
まだまだ、研究の余地がありますね。

参考文献
 
カメラレビュー クラッシックカメラ専科 No40 朝日ソノラマ
コーワのすべて ロシアカメラコレクション
雑誌 62469-77

取材協力
SSスタジオ 群馬県太田市新井町 TEL:0276-45-2192