ちょっクラ
ピンぼけ
Black Nikon F by Hektor
Black Nikon F by Hektor

 

Nikon F & FTn

648と741のニコンFブラック


Nikon F

メーカー   日本光学工業株式会社
製造年    1959年6月(昭和34年)〜1974年
フィルム画面 24×36mm
       (35mmダブル・パーフォレーション・フィルム)
シャッター速度 T・B・1・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・
        1/601/1251/2501/5001/1000
シャッター  チタン幕横走行フォーカルプレーン
       (最初期に布幕シャッターがある)
ファインダー ペンタプリズム式アイレベル(交換可能)
       視野率 100% 50mmレンズ装着時の倍率 約0.8倍
        (ウエストレベルファインダーも用意された)
レンズマウントニコンFマウント
巻き上げ機構 レバー式 136度一回操作(小刻み可能)
       準備角(予備角)15度
       調整によりモータードライブ装着可
露出計    連動式露出計(フォトミック・ファインダー)装着可
大きさ    横幅147×高さ98×奥行き89mm (50mm/F2付き)
重さ     900g (50mm/F2付き)
価格     67000円(50mm/F2付き)1959年
       58700円(50mm/F2付き)1971年
       72200円(50mm/F2付き)1971年 (FTn)
       ブラックボディは1500円高
 特徴的なペンタプリズム部と通称「富士山」と呼ばれる絞り連動爪を持つニッコール


プロフェッショナル・シングル・レフレックス「ニコンF」

  ニコンFを日本光学が満を持して発表した1950年代後半は、1954年に発表のM3ショックがようやく抜けた頃である。
   (1959年5月発表。同年6月発売。当サイトでは製造年の項目を1959年6月として記載した。)
   日本光学では、LEICA M3に対抗すべく、ニコンS2の後継機としてSPの開発に着手(1955)、やや遅れて、一眼レフの構想を思案していた開発陣は、ニコンFの開発に取りかかった。
   ニッコールレンズの好評が世界に伝えられ、自信を持っていた日本光学としても、フラッグシップ機を2機種同時開発は異例であったと言う。
   当時の販売状況や、未だクイックリターンミラーや自動絞りレンズの無かった時代である。開発担当者は、技術開発はもとより、会社の説得や予算確保にも苦労したことであろう。
   「F」はあくまでも、「SP」の掩護的な機種と言うのが首脳陣の感覚であったろう。
   (当時の一眼レフはウエストレベルの左右逆像ファインダー、シャッターを切ると同時にミラーはアップしたまま、ブラックアウト。接写や顕微鏡撮影等の学術撮影用の特殊カメラであった。)
   しかし、CONTAX Sがペンタプリズムを搭載して発売されると世界のカメラメーカーは、35mm一眼レフカメラの開発に一気に突入する。
   先見性のあった一部の社員に押されて、開発着手には早かった日本光学であったが、Sシリーズという優秀機があったため、「F」の開発は遅れた。(この辺の事情はERNST LEITZ社とよくにている。ライバル、CANONも事情は同じだった。)
   国内でさえ、ミランダ(日本初のペンタプリズム機)に続き、アサヒペンタックスの市場投入。
   M3ショックでレンジファインダー機から撤退を早期に決定したメーカーの開発能力は、すべて、一眼レフに注がれていた。
   ニコンが開発中のクイックリターンミラーも、1957年ペンタックスAP、トプコンRが、翌58年ミノルタSR2、ズノーが発売。
   ニコンもキャノンも完全に出遅れた。残る技術は完全自動絞りのみ、両社の開発陣は他社のパテントに抵触しないよう、アイディアの限りを尽くし、ついに完成させる。(ズノーは完全自動絞りを搭載していたが、実用に出来るほどの信頼性は無かった。)
   1959年、キャノンFLEX R ニコン F の登場。両機種とも外付け外光式ながら連動露出計も発売した。
   キャノンがレンズ鏡胴内に駆動、復帰の両スプリングを内蔵した完全自動絞りを実用化したのに対し、ニコンは駆動側スプリングのみ。
   キャノンがTTL測光導入時にRレンズからFLレンズに、TTL開放測光導入時にFDレンズにと大幅な設計変更を迫られたのに対し、ニコンはニッコールオートシリーズから開放測光対応のAiシリーズ、オートフォーカス対応のAFシリーズと実に半世紀に迫ろうとする長寿マウントとして生き残っている。(もちろん、使用制限はあるが。)
 
   市場投入されたニコンFは、プロカメラマンから絶大な信用を勝ち取っていく。豊富なアクセサリーと優秀なニッコールレンズ群は、次々と開発され、多様なユーザーに応えていった。
   特に大手通信社やフォトジャーナリズムの中心地であったニューヨークでは、ニコンF=プロカメラマンの証で、ニューヨークより田舎の方が入手し易いほどであり、NIKONの読み方が判らず「ナイコン」などと呼ばれたのもこの頃である。
   評価が上がれば正しい読み方が広まるのに時間はかからなかった、「ニコン」は完全に世界ブランドに成長した。
   プロに売れれば、アマチュアもほしがる。 軍隊も欲しがり、NASAさえ買っていったほどである。
    (報道社向けは、各社の要望に応え、セルフタイマーを省いた物、モータードライブの補強をした物、UPI仕様としてレバー類のプラスティック形状を変えた物など多数。軍用は、自衛隊のOD(オリーブドラブ=濃緑色)カラーに塗装された物、US.Army(陸軍)のKE-48Cはほぼ標準のフォトミックFTnだが、US.Navy(海軍)US.AF(空軍)に供給されたKS-80Aは、全く別物に改造されている。モータードライブF-36にグリップ、トリッガー、バッテリーケースまで付けたアウターケースを装着し、裏蓋開閉式に改造され、セットのレンズは43-86ズームは無限遠ロックが出来るエアクラフトカメラだ。NASAでは、フォトミックFTnを使用、通称「アポロ」はアポロ計画に使われたためアメリカで呼ばれた。)


   ニコンFは、15年もの永きに渡り生産され、86万台を超えると言われている。
   その分、工業製品としては、異例とも言えるほど改良が加えられ、そのバリエーションの多さに「F」コレクターや研究者が居るほどである。
   (Leica M3 ほどではないが、「F」も見切り発車的に発売を急いだのだろう。私のような者が「F」について記述するとお叱りを受けそうである。)
   「F」がこれほどのヒット作になったのには、レンジファインダー機の Leica M3 には交換レンズの使用制限があり、優秀な望遠レンズやズームレンズが製造されはじめた時期にプロの使用に耐えるだけのレンズ性能とボディの堅牢性、アクセサリーの充実を誇ったのはニコンFだけだった。
   その後、多くのカメラがニコンFに挑戦。一時的に「F」を凌駕するカメラも出現したが、すでにプロカメラマンや報道各社に行き渡った「F」システムを入れ替えさせるカメラは、1971年、Canon F-1 のまでついに出現しなかった。


 

フィルム装填と巻き戻し

   ニコンFは、裏蓋取り外し式であり、当時からフィルム交換の際、裏蓋の置き場に困ると言う、カメラマンの話を聞いた。
   当時の取扱説明書「ニコンFの使い方」を参考に説明をすすめたい。
   「カメラの裏蓋を開くには、底部の裏蓋開閉キーを廻して指標をopenに合わせ、裏蓋に親指をあてて押し出すようにして静かに取りはずします。」
   大変丁寧だが、よく分からない日本語だと思う。機械の説明書は命令調の文書の方が理解し易い。英文の取説は間違いなく簡潔で、こうしろ!これはするな!といった書き方だ。
   裏蓋に親指をあてて押し出すように・・・と言うのは、裏蓋にフィルム圧板が付いており、強引に引き抜くと圧板の損傷がおきるためであろう。
   裏蓋を軽く押さえつけながら引き抜く。
   「パトローネまたはフィルムを入れたマガジンをマガジン室に納めます。」と続く。
   マガジンが実用に供されていた時代を感じる。フィルム装填は、非常に行い易い。それこそ、慣れれば歩きながらでも出来る。(裏蓋の置き場に困るとはこのことか?)
   フィルム装填に10行もついやしながら、「カメラの裏蓋をかぶせます。そして開閉キーを・・・」フィルム装填後の裏蓋取り付けの方が注意が必要だと思うのだが・・
   この後の注意として、シャッターボタンリングが巻き戻しの切替リング(Rewind Dial)になっているので、A側になっていることを確認すること。
   前回のフィルム巻き戻しの際、R側に回しているので、忘れると何回巻き上げてもシャッターもフィルムも巻き上げられない。フィルムカウンターだけ進むので、そのまま、リングを切り替えると何枚撮ったか判らなくなる。一度、裏蓋をはずしカウンターをリセットしよう。
   「F」の数少ない欠点の一つである。(ソビエト製のゾルキ並の設計である)
   フィルムカウンター(コマ数表示板)が「1」になるまでカラ撮りする。


日本光学東京のマークとNikon、巻き上げレバー、
インジケーターカバーの径も違うようだ。   

   フィルム長さ表示窓(Film Indicator)のセットは、爪でクロームの突起を左に動かすと36枚撮り。右に動かすと20枚撮りにセットできる。
   (当時のパトローネ入りフィルムは、12、20、36枚撮りで販売されていた。もっと以前は24枚だったが、フィルム会社の販売戦略で20枚撮りを安売りしたのが始まりらしい。同じ理由で現在は24枚撮りをプラス4枚お得とサクラフィルムがやった。)
   フィルム感度ASA表示盤のセット。カメラ底部の表示盤は装填したフィルムのASA感度(現在のISO感度と同規格、当時DIN規格の感度表記もあったが、日本やアメリカではASAが一般的だった。)をセットできる。
   赤い指標 には、カラーフィルムを装填した時に合わせる。同様に黒い指標▲は、黒白フィルム装填時に使う。
   中間値(ISO64など)には、セットできない(判りにくい。)が、複数のカメラにカラーとモノクロ、または複数のフィルム感度を使用する場合は便利である。しかも、E表示(Empty=未装填)もあるので、フィルムが入っているか分かるようになっている。
   もちろん、手動なので常に表示盤のセットをする癖を付けていないと全く意味がない。
 



自動プリセット絞りとシャッター速度

   今では理解しにくいと思われるので、自動プリセット絞りを説明しよう。
   ニッコールオート系のレンズは、自動プリセット式で、撮影の際、あらかじめ絞りをセットしておく。(Preset)
   絞りリングを回して、任意のF値をレンズ鏡胴の指標に合わせる。
   これで、完了。ファインダーを覗くと絞りは開放のままだが、シャッターを切るとセットしたF値まで絞り込まれ、シャッターが閉まり、クイックリターンミラーが戻ると、絞りは再び開放値まで開く。
   これは、絞り込まれた状態では、ファインダーが暗く、ピント合わせが困難になるためである。
   絞った状態のファインダー像が見たい場合は(被写界深度の確認等)レンズに向かって左側(セルフタイマーレバー側)のボタンを押し込む。
   ただし、手動絞りボタンを押し込んだままシャッターを切らないこと。ミラーが上がったまま固定されることがある。
   もしこのような状態になったら、そのまま、シャッターボタンを押す。ミラーが下がるはずである。


FTnファインダー(アポロ)

   アポロはレンズ装着時に開放絞りまでリングを回し、再び最小絞りに戻すという動作(ガチャガチャ)をして、開放絞り値をセットする。
   それ以前のフォトミックファインダー(T、Tnを含む)を使用する場合は、レンズ交換の度に開放F値をファインダーのダイヤルでセットしてから使用する。(これを怠ると露出値が正常に表示されない)

  

シャッター速度目盛盤のセット。

 「シャッター速度のセットはシャッター巻き上げの前でも後でも出来ます。」と説明書にある。
  一軸不回転ダイヤルの使用を説明している。当時、高級機しか採用されていなく、古いカメラは二軸シャッター(バルナックライカを見ていただかれると良い、低速シャッターはボディ前面、高速シャッターは回転しながらシャッター幕が走る。)を使用しており、このような説明文がある。
  シャッター速度はアイレベルファインダーでは,ファインダー側の指標に合わせる。
  この時、シャッターダイヤルの周縁ギザ部(ローレット部)を引き上げないこと、フラッシュシンクロセレクターが動いてしまう。
  B(バルブ)は、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開く。
  T(タイム)は、シャッターボタンを押すとシャッターが開き、ボタンを放しても閉じません。シャッターを閉じるには、シャッターダイヤルを右または左に回し、Bあるいは1000を指標に合わせると閉じます。
  ダイヤル上のピンは、外付け露出計やフォトミックファインダーとの連動のため。
 速度目盛が1000〜125(緑色)60(赤色)30〜T(白色)に色分けされている。フラッシュシンクロセレクターのセットを行い易くするためのカラー表示。
シンクロセレクターのセットは、シャッターダイヤルのローレット部を引き上げてセットする。(この際に無理に回さないこと、同調しなくなります)
シンクロセレクターの順序は、右から・○F・FXの4種類。ストロボはです。
フォトミックファインダー付きは一度取り外してからセットする。


フォトミックのシャッターダイヤルとASA感度ダイヤル
ソフトシャッターレリーズ(後のAR-1)が装着されている。


  
 
   フォトミックFTnファインダー装着の場合は、フィルム感度ダイヤルを回して、ダイヤル下部の指標に合わせる。
   ASA感度設定は、感度ダイヤルを引き上げながら設定する、露出補正のための指標も刻んである。
   FTnファインダーのスウィッチは、感度ダイヤル前方側面の小さなクロームのボタンを押す。
   すると、上部のスウィッチボタンが飛び上がる。この状態で電源ONである。
   電源OFFは、飛び出した上部ボタンを押し下げれば電源が切れる。さらにこのボタンを押し下げるとバッテリーチェックが行える。


FTnファインダーを下から見る。バッテリーは1.3vの水銀電池(MR9)×2

   焦点合わせは、距離環を回し、ファインダー内の中央スプリットプリズムまたは周辺のマットフレンネル部でピントを見る。
   「F」には標準でA型(スプリット式)ファインダースクリーンが付いている。何人の人の手を渡るうちにスクリーンが交換されていることもある。
   今見ると少々暗いファインダーである。(「F3」や「F4」のスクリーンを改造して装着することも出来るが、オリジナルに戻せるような改造をしていただきたい。)
  ピント合わせの際に、レンズ鏡胴上の被写界深度目盛を参考にして、ピントリング(距離環)を戻してやると最大限にレンズの性能が引き出せる。
   この際には、ファインダー像はピンぼけになるが、かまわずにシャッターを押す。
   (オートフォーカスカメラでは、被写界深度目盛の無いレンズも多く、あまり、使うことが多くないのではないだろうか。プログラムオートの中には被写界深度を深く撮るモードもあるが、「このカメラはピントがあまい。」と言う人を見かける。)
   広角レンズほど被写界深度が深いので積極的に使ってあげよう。
  被写界深度を確認するために手動絞りボタンを押すとファインダー像が暗くなって、深度の確認が出来る。
  フィルム巻き上げは、モータードライブが装着されていない場合、右側上部のフィルム巻き上げレバーを止まるまで右に回して行う。
   この時、最後まで巻き上げていないとシャッターボタンが押せないので注意しよう。
  数度に分けて巻き上げる小刻み巻き上げも出来る。
   レバーを操作すると、シャッターダイヤル中央の銀丸にある偏芯した黒指標が回転する。撮影の際はファインダーを覗いてるため見えないが、シャッターを切ったときも回る。セットしたシャッター速度をこの指標が指しているときはシャッターチャージ済み、もし、セット位置とずれていたら、まだシャッターを巻き上げていないことになる。
   巻き上げレバーは手を離すと準備角(予備角)を残して少し飛び出る。次の巻き上げに指掛りがいいような設計である。
   もし、あなたが左目でファインダーを覗くようであるなら、邪魔になるので、その都度指で押し込まなければならない。

二重露出を行って特殊な効果を出す時には、シャッターボタン上の偏芯した黒指標を目安にする。
   一枚目を撮影した後、A-R切替リングをA→Rに切り替え、次に巻き戻しクランクを矢印方向へ回す。この時、シャッターボタン上の黒指標が1回転と少し(180度以内)回るまでフィルムを巻き戻す。そして、A←Rに戻しから巻き上げレバーを巻き上げ、2度目の露出を行う。
   撮影したコマを一度バックさせて、もう一度シャッターチャージと同時に巻き上げるわけだ。

   撮影が終了したら、シャッターボタンリングをA→Rに切り替えて、巻き戻しレバーを引き起こし時計回りに回転させ撮影済みフィルムを巻き戻す。巻き戻しが終わるとレバーが急に軽くなるのですぐ判るはずだ。
   忘れないうちにリングをA←Rに戻して裏蓋を取り外し、パトローネを取り出そう。


取り外した裏蓋にパテントナンバーの刻印がある物は初期型だ

 

  「F」は多くの研究者のおかげで大変研究が進んでいる。すばらしい参考文献も少なくない。
   興味のある方はご一読を勧めます。
   ここでは、外観から判る違いを簡単にしたい。
  巻き上げレバー
  初期型のメタルワンピース。これ以前の最初期はレバー(Nikon SPと同じ物)の裏側に軽量化の肉抜きが施されている。
   最後期では、F2用のプラスティックカバー付きになる。



初期型巻き上げレバーを裏側から見る。

 

ブラックニコンの下塗り
   ブラック仕上げは、スチール部分に黄色の下地塗装が施されている。
   トップカバーやボトムカバーには、下地塗装がされていないところを見ると、真鍮地と鉄部では黒塗装の仕上がりが違ったのだろうか、または、鉄部への黒塗装の食い付きが悪いためであろう。(ブラック仕上げが剥がれることを見越して錆び止めとも言われる)
   使い込まれたブラックFには、イエローペイントがかすかに見える。


セルフタイマーレバー
   初期型はメタル製、このレバーはバリエーションが多く、一目で分かるコレクションポイント。
   最初期は滑り止め刻みが斜めで角張った物、裏面肉抜きあり(分解しないと見えない)。斜め刻みの角が丸い物。縦刻みに横方向にへこみがアクセントの物(写真)ここまでは裏面肉抜きがある。横方向のへこみが無い物(肉抜き処理が廃止される)。そして、最後はF2用カバー付きになる。

ミラーアップダイヤルの操作
   セルフタイマーレバー前方に、ミラーアップダイヤルがある。
   ダイヤルの黒指標を台座の黒指標に合わせるとクイックリターン。
   台座の赤指標に合わせるとミラーアップになる。
   ミラーアップすると当然、ファインダーは見えない。(なぜ必要なの?)
   クイックリターンミラーのショックを避けたい撮影。(天体撮影や顕微鏡撮影など)
   その都度、ピント調節が必要ない場合。(複写撮影など)
   レンズの構造上ミラーにぶつかる場合。(ニッコール O 2.1cm/4や魚眼レンズなど)
   などと、ミラーアップして使用するケースがあるためです。


ミラーアップダイヤルとF2用セルフタイマーレバー


ボトム部の違い
   裏蓋ごとはずれてしまう「F」では、ボディと裏蓋がオリジナルでないケースが考えられる。
   ASA感度表示板は、初期は400までだが、FTnファインダーが装着できるようになった6900001から、ASA1600までセットできるようになる。
   MADE IN JAPANの刻印も初期は「M」の文字が「山型」であった物が、後に普通の「M」になる。
   その他、パテントナンバーがフィルム圧板の脇に刻印されている物もある(前出写真)
   この裏蓋やボトムも微妙にオーバーラップがあり、製造番号も多少の前後があるらしい。


 


内部で使用されるねじの違い

   「F」の製造された期間が長いため、マイナスねじ(Slotted Screwdriv)とプラスねじ(Phillips Screwdriv)の過渡期にぶつかった。
   「74-F」にいたっては、双方のねじが使用されている。
   内部シャーシーなどはフィリップスドライウ゛が使用されているのに、外装部の取り付けにはスロッテッドドライブが使用されている。
   製造ラインの整備に手間どった証拠であろう。


 シンクロ接点とファインダー取り外しボタンの違い


   Nikonはこの使い難いアクセサリーシューを「F3」まで改造しながら使い続ける。
   Nikon最大の欠点といってもいいだろう。アクセサリー(ストロボ等)を外さないとフィルムが巻き上げられないのだ。
   アクセサリーシューシンクロ接点は、白色の丸形カバーから、D型の白色へ変更され、後に黒色のD型に変更された。
   ファインダー取り外しボタンのカバーリングに製造上の利便性を求めてだろう、スリ割り(横溝)が入れられた。(6900001以降)

 

FTnファインダー装着のための改良

   「6900001」は「F」のターニングポイントである。
   FTnファインダーの開発に伴い、大幅な改良が加えられた。(通称ニューF)
   「Nikon」のネームプレートまで微妙な形状変更が加えられる(並べなければ判らないほど)など、多岐にわたって改良をした。

  今回、取材させていただいた「64-F」は、オーバーホールの際。ニコンサービスセンターでシンクロターミナルが交換されている 。当時オーナーは「新型のねじ切りになったー。」と喜んだそうである。「今考えるとここだけオリジナルじゃないんだよねー。Nikonの誠意があだになったなー。」とおっしゃっておられた。
   それほど、「F」はオーナーのこだわりが感じられ、バリエーションが多く、とても紹介しきれない。
   「F」研究者も多く、文献には大変詳しく書かれている。今後も詳細なサイトが公開されると思う。
   また、機会があれば追記いたします。

 



参考文献
 
ニコン物語 第 5 回 遡るニコン史 〜 Nikon F 縦野 横行
 http://www.nikon.co.jp/main/jpn/society/rhnc/rhnc05f.htm
 
カメラレビュー クラッシックカメラ専科 No35 朝日ソノラマ
日本のカメラ50年 特別号
雑誌 62469-70

カメラレビュー クラッシックカメラ専科 No46 朝日ソノラマ
ニコンワールド
ISBN4-257-13015-6

カメラレビュー クラッシックカメラ専科 No52 朝日ソノラマ
ニコンF 40年
ISBN4-257-13025-3

取材協力
SSスタジオ 群馬県太田市新井町 TEL:0276-45-2192