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HASSELBLAD SW by Hektor
HASSELBLAD SW by Hektor


HASSELBLAD SW
 1954にデビューした世界初の6x6cm判・超広角専用カメラ HASSELBLAD SWAの改良機である。
 SWA(Super Wide Angle)は、最初2 年(1954-55 年)のみ生産され、SWへと続く。
 改良点は、脆弱であったSynchroCompurシャッター取付部分の強化である。
 SWAの生産数が少ない(CIW 1001〜CC1903の902台)ため、SWと混同されて紹介されるケースが多い。
 もちろん、同モデルのマイナーチェンジと解釈される方もいると思う。
 事実、両者の特徴を併せ持つ機体も存在し、過渡期的なモデルもある。
 今回紹介するSWは、CTWのシリアルナンバーがある。1956年製の機体である。
 
 残念ながら、ファインダーのレベルプリズムが欠品であるが、このカメラの特徴や操作は紹介できると思う。
 
 
 HASSELBLADの製造年表記
  「VHPICTUERS」(VHは、Victor Hasselbladの頭文字です。)
  「1234567890」に読み替えて、製造年を表記してあります。
  シリアル番号の頭文字2文字は西暦年の下二桁を意味します。
  (WはWideの略と思われるが、SWAやSWでも『W』のない物もある。)
  今回紹介する機体は、CTW○○○○ですので、C→5 T→6
  1956年製造のワイド専用ボディとなります。
 
 


1956(昭和31)年〜1957(昭和32)年
HASSELBLAD SW
6×6cmビューファインダーカメラ
   
レンズ
    38mm f4.5 Biogon
    5群8枚
    画角 対角線90度、水平線72度
    最小絞り 22 直進式ヘリコイド
シャッター
    SynchroーCompur
    セルフタイマー付き 
    プリセット
シャッター速度
    1/500・1/250・1/100・1/50
    1/25・1/10・1/5・1/2・1・B
撮影フィルム
    ロールフィルム(コダックNo120)
    220マガジン使用可
画面サイズ
    6×6cm
    6×4.5cm(A-16マガジン使用)
サイズ・重量(実測)
    W103.1×H122.4×D144.2(A12マガジン付き)
    1,359g(A12マガジン付き・プリズム欠品)
発売時価格
    1954 年/$470
    ビューファンダー/$49
    (雑誌広告参照)
その他
    フィルターサイズ/シリーズVIII
    


 SWの鏡胴部。
 
 脆弱で不評だったSWAのコンパーシャッター部は、操作部分に窓を開けた堅固なリングで固定された。
 これの改良により、実用域に達したSW。
 同時に、シャッターボタンとの連動シャフト部も強化されている。
 レンズを繰り出したときにこのシャフト部がスライドする様は絶妙である。
 一見、巻き上げにも連動出来そうだが、残念ながらそこまで出来ていない。
 コストがかかり過ぎるのだろう。
 レンズ・シャッター・ヘリコイドは、Zeiss社からアッセンブリーで供給されたと言われている。
 HASSELBLAD社では、セルフコッキング機構を開発しても、Compur社やZeiss社に製造させるだけの資金がなかったであろう事は想像にかたく無い。
 


 三角形の三脚台座が特徴。
 1600Fや1000Fでもそうだが、すでにボディやマガジンは完成されている。
 半世紀近く前にデザインされた製品である。
 中判カメラと言う位置が、不変のデザインを支えたのであろう。
 進歩が桁違いに早い35mmカメラではなかなかこうは行かなかったであろう。
 ライカ位のものである。(そのためかERNST LEITZ社は危うく倒産の憂き目に遭っている)


 巨大なビオゴンの後ろ玉は、ここまで来る。
 ファインダーの水準器用プリズムは本来、左側に付くが、残念ながら欠品。
 この後ろ玉を見て驚いた。レンズコーティングされているのである。
 時代的には、コーティングされていて当然なのだが、このページの一枚目の写真を見ていただきたい。コーティングされていないのである。
 一度は、磨き直されているのだろうと思ったが、別の機会に2台のSWと1台のSWAを手に取る機会があったが、すべてが、前玉にコーティングが施されていない。
 しかも、はがれたと言う雰囲気では無いのだ。
 オリジナルである、しかし、前玉にコーティングをせず、他のレンズにコーティングを施す理由はなんであろう?
 Zeissの設計時点で何らかの理由があったはずである。
 御存じの方がおられたら是非、ご教授いただきたい。


 ボディの工作精度は素晴らしいの一言。
 これほどの堅牢なボディを作りながら、SWAは、レンズ部を持ってはいけない程に安易な製造であった。
 ボディとレンズを同時に支え無いとレンズが下がって来そうであった。
 アッセンブリー供給のため、改良に2年もの歳月がかっかたのであろう


 シャッターボタンとケーブルレリーズ取付部。
 1600F(1000F)や500C系と同じ位置に取り付けられたシャッターボタン。
 なぜ、SWCでボディ上部に変更したか、わからないがSWのオリジナル位置の方がはるかに使いやすい。
 (1600F系のケーブルレリーズ取付部はボディ右横にある)
 


 ケーブルレリーズ取付部のアップ。
 どういうわけか?特殊な形状をしている。
 専用ケーブルレリーズを使用しなければならない。
 この時代のHASSELBLADはすべて同じである。
 ケーブルレリーズ用のテーパースクリューは、ピッチが浅く、磨耗に弱いため、採用したくなかったのでは無いだろうか?
 事実、500CMで、ネジ部が磨耗し、ケーブルレリーズの取付が出来無い機体を見た事がある。
 通常のテーパーピッチに変換するアダプターもある。
 専用ケーブルレリーズはまたの機会に紹介したい。


 水準器。
 超広角レンズの撮影には必須のアイテムである。
 ちょっと下にあおったら、自分のつま先が写り込んでしまう。
 効果としてあおる事もあるが、基本は水平である。
 本来、ファインダー横にプリズムが付く。
 ファインダーから視線をずらせば水準器が見られる。
 このアイデアは、測量用の機器からの流用だろう。
 


 ストラップ取付部と新型ストラップ金具。
 このストラップは装着出来無い。
 残念ながら旧型のストラップが入手できなかった。
 新型ではステンレススチール板の金具だが、旧型は角形のワイヤー状である。
 銀座の某有名カメラ店で「絶対付く」と豪語されたが、その時、SWの在庫が無く、証明できなかった。
 もちろん、固体差がある(年式違い)ため、使えるSWがある可能性があるとしか言え無い。
 もし、SWを購入するなら、ストラップの有無も確認するべきである。


 旧型A12マガジン。
 このマガジンもバリエーションが多い。
 後のフィルムインジケーター部の違いがほとんどだ。
 このマガジンは、500C系とは共用出来無い。
 (逆に現行マガジンは、SWA・SWに使用できる)
 500C系と共に使用するなら、新型マガジンを使った方がいいだろう。
 使い方にちょっとくせがある。


 旧型マガジンは、オートストップで無く、リーダーペーパーの数字を見るため、インジケーター部が蓋になっている。
 ここから、「1」を出して、頭出しをする。
 なんとも、クラッシックな雰囲気が時代を語る。


 取り外したフォルダー部。
 取扱は現行のマガジンと同じである。
 リーダーペーパーを覗く漏斗状の穴がよく解る。


 旧A12マガジンの注意。
 このマガジンは、現在のマガジンと操作が違う。
 通常の操作ではフィルムカウンターが表示されないため、その操作のみ記述する。
 
 フィルム巻き上げノブを時計方向に廻して、マガジン裏の窓からリーダーペーパーの「1」を確認する。
 覗き窓を閉め、フィルム巻き上げノブを今度は、反時計回りに戻すと、「カッチ」と音がして、カウンター表示部に「1」が表示される。
 もし表示されない場合は、マガジンの故障が考えられるので、オーバーホールをお勧めする。(マガジンのみなら、今でもオーバーホールできる)
 これで、フィルム巻き上げインジケーターも「赤」から「白」になってるはずである。
 もちろん、マガジンはボディに装着されていても問題無く、フィルム装填できる。


 フィルム巻き上げインジケーター
 
 SWで初めてHASSELBLADを使用する方も少ないだろうが、参考までに説明。
 ボディとマガジン部のフィルム巻き上げインジケーターは、同じ色で無いと装着出来無い。
 正確に言うと、「赤」と「白」で装着してしまうと、操作はもちろん、取り外す事さえ出来なくなる事があるので細心の注意が必要である!
 インジケーターが「赤」は、巻き上げ前。
 「白」の状態で、巻き上げ完了。
 ただし、SWやSWAはセルフコッキングでは無いので、シャッターチャージをお忘れなく!


 コンパーシャッター操作部。
 シャッター速度:1/100秒
 シャッターチャージ済
 絞り:f5.6半にセットされた状態
 メカニカルな景色がSW使いのみに許される至高のひととき。


 戦闘準備完了!
 プロシェード装着すると全く別のカメラとなる。
 前述した様に、前玉にコーティングの無いSWにフードは必須!
 プロシェードは専用アダプターが必要であり、探すのに苦労する。
 シリーズVIIIフィルターとリング。
 一番右は、6面ミラージュフィルター。
 ファッションや商品撮影に威力を発揮した1000Fなどには需要があったのであろう。
 もちろん、SWでは使いにくくあまり必要は無い。
 
 この他、A16マガジンを使用すれば、6×4.5として使用できるが、ファインダーのマスクが必要になる。(このマスクは探すのに苦労するだろう)


 

参考文献
 
愛しのハッセルブラッド 
 中山 蛙  佐藤 隆俊
 グリーンアロー出版社
  ISBN: 4-766-33261-X

取材協力
SSスタジオ 群馬県太田市新井町 TEL:0276-45-2192