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知らない 知らない ある真夏の朝に 一瞬の閃光を浴びて 熔けていった肉と皮膚の その熱さを ぼくは知らない 知らない 夜が暁けそめる前に 大地のひと揺れで崩れおちた家の梁を 細い何本かのあばら骨で受けとめた その重さを わたしは知らない 知らない 頭をボウズにされ 裸にされて 押しこめられた部屋から シャワーのように吹き出した ガスの味 その苦さを 君は知らない 知らない 首を切られ 見せもののようにさらされた 少年の 父と母の あふるる涙 その冷たさを 彼らは知らない 知らない まだ年端もいかぬころから 求めてやまないものを与えられず 与うべきでない言葉を 投げつけられ続けた そんな子どもの さみしさを 誰も 知らない たくさんの「知らない」は ぼくのなかで 静かに発酵し続けている ’99.10 |