白馬岳(1991年8月15日)

数年、休んでいた山登り再開の第一弾。(再開と言ってもそれまでは年に1,2回しか行っていないのだけれど)これ以後、山登りの世界にのめり込んで行くことになるのだ。
白馬岳山頂で休んでいるとそばに居た男性から「晴れて良かったですね!。昨日まではガスっていて何も見えなかったんですよ!」と声を掛けられた。
「何てラッキー!」数年ぶりに見る山の景色に浸っているとその男性が男の子に「ひろし!あんまりそっちに行くと落っこちるぞ!そこから落ちたらお父さんでも拾いに行けないぞ!」と言っているのが聞こえた。その「拾いに」って言葉を聞いてゾォーッと怖くなった。
なぜ「助けに」ではないのだろうか?山ではその過酷な環境ゆえに死んでしまった人間はただの物として扱われてしまうのだろうか?目の前の壮大な景色が一転して厳しい自然の姿として目に映った。
臆病な僕は慌ててその場を離れ、なだらかで安全な山頂南側で写真を撮ったのだった。

● 風の系譜 1 へ