ブレイクスルー・ミュージカル 「RENT」
 脚本、作曲、作詞:ジョナサン・ラーソン
 演出:マーサ・ベンタ (オリジナル演出:マイケル・グライフ)


出演:宇都宮隆/渡辺忠志、山本耕史、浜口司、森川美穂、坪倉唯子、KONTA、KOHJIRO、石原慎一、MITCH、KEICO、QOMOlangma、小西教之、Mink、Tina、山崎ちか、渡辺健、”J”、斎藤祐紀、森川隆次


*「RENT」に至る長い道のり。

 「はじまりは、クリスマスイブ...」ではなくて、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の現代アメリカ版だということ。アメリカで大ヒットを続けている作品であること。と、強烈なロックミュージックのCMであった。
 「ラ・ボエーム」は、9年前に一度オペラを観ただけで、頭に残っているのは、若き芸術家達の話で、雪が降っているシーン、お祭りのシーンぐらい。
 冒頭に貧しいお針子の女の子(ミミ)が「ろうそくに火を下さい」と絵描きと作曲家の同居している部屋へ来るところから始まる。(この辺はうろ覚えだったので、カンニングしました。)

 次に、メイキングの特番「RENT 演〜えんじぇる〜」。10月の初め頃、放映された。
 わずか30分程度のドキュメントなのだが、これを観て「行こう」という気になったのだから、制作意図は達せられたのだろう。なかなか良い造りで、俳優の紹介、作者の紹介、全編に流れる音楽のハイライトがステキだった。エンジェル役の俳優が、なかなか可愛く、「あ、これ、ちょっといいんじゃない?山本耕史君も出ているし〜。」と言う感想を持った。中でも、エンジェルがコリンズに出会うときの音楽が佳く、このナンバーを聴きに行こうと思ったほどである。
 作者について語られる所では、涙が出た。1960年生まれというと、当に私と同時代の作家だ。そして、初演の前日に、35歳の若さで病死している。生まれた場所も言葉も違うが、生きた歴史の中でだぶる点は多いはずだ。特に、音楽や時事的要素は、受け止めた時期が似ているだろう。ラーソン氏のご両親のコメントも泣けた。

 この時点でだいたい行く気にはなっていた。しかし、初日が大ブレイクしているという評判を聞いたので、まだ二の足を踏んでいた。だって総立ちになんかなったら恐い(笑)。
 私はロックを、というか、音楽を「80年頃から殆ど知らないヒト」だ。出演者の中でも、宇都宮隆というビッグネームに気後れしてしまっていた。TMも、初めの頃しか知らないし、ロックコンサートには行ったことがない。

で、とりあえず渡辺ロジャーの平日昼公演を予約した。(めっちゃ失礼!)




*「RENT」10/21渡辺ロジャーの日。

 ドラマシティーは久しぶり。ロックミュージシャンが多数出演しているせいか、CDやグッズの販売もあった。
 客席は六分の入り。平日昼にしても、少ないぞこれは。ここで、少し意外に思うとともに、ちょっぴり安心。人の多いコンサートは恐いという先入観が、まだあるんだなゃ。
 芝居半ばで、モーリーン(元マークの恋人、今はレズビアン。ホームレス退去に抗議するパフォーマー)が自分のパフォーマンスで、「あたしはお客さんが少なくっても気にしないわ。」と言うんだが、マジで笑えた。

 いよいよの開幕。バンドのメンバーが揃い、マークのセリフからスタート。「チューン・アップ#1」のナンバーから、ストーリーが歌と音楽で綴られていく。
 歌詞が聞き取れない部分もあったが、音楽と、俳優の呼吸が素晴らしい。歌唱力の優れたメンバーが集まっているのだろう。ものすごい声量だ。ロックナンバーだけでなく、バラードに、ゴスペルやレゲエのフレーズを何気なく覗かせて、歌っているカンパニーも凄い。

 ストーリーは、まあ簡単に。これは、三組のカップルと、それらの仲間を見つめるマークの話。カップルは、HIVキャリアの男女ロジャーとミミ。レズビアンのカップル、モーリーンとジョアンヌ。ゲイのカップル、コリンズとエンジェル。
 それから、体制側に寝返ったというか、そういう役回りのかつての仲間ベニー。そして、ホームレスやライフ・サポートやアーティスト達。彼らが、歌い、踊り、愛を語る。

そしてみんな、死のすぐ側に生きている。今日を生きること。それが大切なこと。

 私は、コリンズとエンジェルがお気に入り。
 だって、エンジェル、可愛いんだもん。これはTVのせいだけではない。KOHJIROというアーティストの、素晴らしさだと思う。ファルセットがもう最高だ。
 そしてコリンズ。エンジェルのこと、愛しているよな〜。愛。マイ・ダーリンさ、もう。

 で、渡辺ロジャーは、いい感じ。ぽつんとギターを弾く姿が淋しげで可愛い。
 恋人がHIVキャリアであることを言い残し自殺した後、外に出られなくなった彼が愛しい。 愛する事って哀しいよね。

 マークの狂言回し的存在も面白く、終盤の映像は、ただ涙を流しながら見た。

 この日は、お客さんが少なかったにしては、大層な盛り上がりで、みんな裏拍子。カーテンコールにロジャーのギターソロのおまけつき、スタンディング・オベーションで、幕を閉じた。
 日本語盤のCDを、買って帰る。




*で、感動覚めやらず「RENT」もう一回行くことにした。

 はじめは、「話題作を一回観たらいい。」つもりだったのだが、帰って次の日、10時を待ちかねてTELしたのは誰だ?(ゴホゴホ)風邪を圧してまで「つぎはウツがいいな〜。」とチケットを取ったのは誰?(ゲホゲホッ!)




*「RENT」10/28宇都宮ロジャーの日。

 私は、作家が「同時代人」という所でハマったわけなのだが、この日はウツを観に行った。芝居が変わるのかどうかも興味があったし、前回で、作品には慣れた「つもり」だった。

 前回の衝撃が強烈だったせいか、全体におとなしめの感じ。ウツは格好いい(笑)。けれど、知ってはいたが、歌がシャウト系だ。これには馴染めない私。(年だなゃ)
 渡辺ロジャーとはかなり違う。年齢的なものか。渡辺ロジャーは「若くいたましい」ロジャー。ウツのロジャーは「哀れな大人の男」という感じがした。
 同じ「病におびえる男」でも、解釈が大分違うようだ。「♪ワン・ソング〜」と歌うとき、渡辺ロジャーは「探し当てたいフレーズが今手元にない...見失っている」感じがする。宇都宮ロジャーは、「曲のイメージはあるのに、それを恋人の死と共に失ってしまった」感じがした。

 だいたい、比較するのが間違っているな〜。Wキャストの年齢的な差が、決定的に芝居を変えているところかも知れない。

 この日のモーリーンは「今日は人が少ないけど前代未聞よこんなの!」と言っていた。後ろの方で見たので余りよく分からなかったが、お客さんのノリがイマイチ。私は「モー。」って、思いきり言いましたよ(笑)。

 スピリットは判るけど、これはロックコンサート(別に嫌いなわけじゃないのよ)。
 この日は妹も誘って行ったのだが、過密なスケジュールのせいか、KONTAがハデに喉をやられていて、可哀想だった。他にも、声を潰している役者(ミュージシャン?)が不満で、残念だったが、私はダブルのキャストを観ることが出来てまあ、満足した。




*「RENT」作品、映像、CDそのほか。

 TVの「演〜えんじぇる〜」。涙して見ました。この舞台、ひょっとして、エンジェルとコリンズがものすごーく深く描かれている気がする。この作品には、作者自身、友人達が数多く描かれている。こういう人が、友達に大勢いたのだろうな、ラーソン氏。

 私事だが私にも、芸大仲間が居る。同じ時期、山奥のアトリエで、毎晩酒を飲み、語らいあう友人達がいた。やっぱり芸大って異質な空間だ。まあ、レズビアンはいなかったが...。
 長いこと展覧会をやってこられたのも彼らのおかげ。最後の展覧会は「パリで!」っつうのも実現したし。(なんと、ポンピドゥー芸術センター前で大絵描きのイベントもした。)
 同時代の作家の作品って「きます」ね〜。でも、作者の気持ちがよく判るトシになったんだなぁ、と思う。

 少し付け加えると、感動した原因は、もう一つある。
 「公演プログラム」である。これが実によいつくりで、何度読んでも面白い。特に「メイキング・オブ・レント」が佳い。ジョナサン・ラーソンの出生から、レントを書き始め、上演に至るまでのドキュメントなのだが、まるで一編の小説を読むようだ。「プログラムは買ったけどまだ読んでないよー。」という人、これから観る人には是非お薦めだ。




*「RENT」CDについて、あれこれ。

 「RENT」オリジナル・ブロードウェー盤

 私は英語があまり得意ではないので、日本語対訳付きの物を買ったが、曲が網羅されていて、これはいい。
 あまりよく歌詞の判らなかったところも(笑)「ああ、こういう意味か」と、改めて思ったりする。何より、日本語盤に入っていなくて聴きたかった曲、マークとジョアンヌが歌って踊る「タンゴ・モーリーン」や、コリンズの夢「サンタ・フェ」、エンジェルの「アイル・カヴァー・ユー」。このエンジェルのシンガーも、可愛い感じ。中でもお気に入りは、ロジャーの「ワン・ソング・グローリー」だ。ベッドに座ってギターを弾くロジャーが愛おしい。
 ともあれ、ファンなら必須アイテムだろう。

 いつか、ブロードウェーに行って、観るともっ。


◎ 参考までに、資料です。

 CD:「RENT オリジナル・ブロードウェイキャスト・レコーディング」
     MVCA−2〜3(DRMD2−50003)

 CD:「RENT オリジナル・ジャパニーズ・キャスト・レコーディング」
     ESCB−1912






*ブロードウェイの「RENT」ほか、旅行記あれこれ。

 「ねーちゃんNYに行く!」




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