File134 GIZAアルバム詳細評論〜竹井詩織里編@


竹井詩織里のカバーアルバムでの評価を見ていただけたらお分かりになろうかと思いますが、当初竹井に対する私の評価はあまり高くなかった。何故なら、この作品に収録されている曲らと竹井の歌唱とがイマイチかみっておらず、それ故に彼女の歌唱の魅力が殆ど出ていないと思ったからだ。それと、声質はいいものの、柔軟性や器用さ、迫力に欠ける、と感じたのもその理由である。また、ルックスには惹かれたが、自作アーティストでなかったことも、年明け(2004年)のデビューに関しあまり好意的な感情を持つことができなかった理由になっている。しかし、その考えが変わったのはメジャーデビュー1作目「静かなるメロディー」を聞いた時である。
この曲における彼女の歌唱には幾分固さがあったものの、抜群の声質と伸びやかな歌唱と、それを存分に生かした、表題曲をはじめとした良曲ら〜特に「close line」での力強い歌唱は、GIZAアーティストの伝統と王道を見事に示したものだといえるだろう。
さらにその考えは、2ndシングル「君に恋してる」で強くなった。前作以上に完成度の高い表題曲ならびにカップリング曲での歌唱〜特に3曲目「River」での適度に力の抜けた歌唱、声質の魅力を前面に押し出した煌びやかな歌唱は、竹井の歌い手としての高い資質と可能性を存分に示したのではないだろうか。昨年からGIZAアーティストに対する失望や不信が累積していく最中、シングル2曲をもって、「竹井の存在は私にとって菅崎以降の待望の新人、GIZAの救世主」という考えを抱かせるまでになったといえるだろう。
ただし、その思いとは裏腹に、やはりカバーアルバムとシングル曲での歌唱を考えるに、1stアルバムに対し、「質の高い曲が収録されてはいるものの、総じて同一系統の曲ばかりになった単調なアルバム」「せいぜい80点台前半くらいの作品かな」と予想したのだが・・・。その考えは完全に間違いであったといえるだろう。いや、間違いというより勘違い・思い違いなのかもしれない。そう、上記言説は、竹井のシンガーとしての特色を見誤っていたことから生じたものだからだ・・・。

メジャーデビュー曲「静かなるメロディー」に続き、アルバムオリジナル曲の「あの海が見えたら」がはじまる。如何にも夏向けという感じのサウンドに続き始まる竹井の歌唱を聞き、衝撃を受けた。シングル曲のようなじっくりと且つやや力感のある歌唱とは全く違う、かわいさと伸びやかさ、さわやかさを強く感じるその歌唱を聞き、瞬間的にシンガー竹井の成長振りと潜在能力の高さ、そして何より魅力の凄さまざまざと見せ付けたといえるだろう。この時点でこの作品に対するマイナス面の予想は一気に吹き飛んだ。
3曲目の「Close Line」はカップリングとして収録された曲だが、後藤の秀逸なアレンジに乗っかるAzukiの詞の上手さと、それ以上といえる竹井の艶やかでじっくりと聞かせる歌唱と声質は、何度聞いても飽きることのない魅力がある。しかし、この曲のよさも、アルバムオリジナル曲である次曲の「蜜月」の前では霞んでしまう。この「蜜月」は今作で最も好きな曲であり前半の山場になっているといえるが、それだけでなく2004年にリリースされた曲の中でも最上級の名曲ではないだろうか。
美しいギターの旋律に続き、竹井の憂いを帯びた伸びやかな歌唱がこの上なくダークな雰囲気と哀愁とを演出している。これぞGIZA、というべき、「美旋律」「美声」「哀愁漂うメロディー」であろう。そしてこの曲では、歌唱やメロディーのよさだけでなく、竹井の作詞家としての資質の高さも見せたといえよう。
竹井の詞はAzukiからの影響があるのだろうか?(「あいせる...?」「ゆめみる...?」といった表記にもそのことを感じてしまう)。
具体的な感情表現を避け、断片的な情景描写を通し作中人物の感情を表現するものが多い。この「蜜月」はその象徴であろう。二人の恋愛模様〜蜜月を満ち欠ける月になぞらえて表現した詞に、繊細さや秀逸さを感じ取ることが出来る。この曲のみならず、メロディーの持つ雰囲気に合った詞をつけるセンスが、この竹井に備わっているのではないだろうか。個人的に「自由を〜ゆめみる...?」の部分が好きなのだが、竹井の絶品の歌唱と高森の作るすばらしいメロディーと融合を遂げることにより、実に美しい音世界を創出している。聞いていて恍惚としてしまうくらいに・・・。
5曲目「新しい季節」は、2曲目と同様竹井の極上ともいうべきさわやかさを堪能することができる。派手さや印象があるわけではないし、非常に短い曲でもあるが、竹井の歌唱により魅力が著しく増大したのではないだろうか。
6曲目の「二人のSunny Days」も詞・歌・メロディーが高度に融合した実に素晴らしい曲といえよう。ややさわやか目のイントロから一転、暗めの歌唱が展開されるが、この部分もさることながら、サビの部分の歌唱のもの悲しさは、まさに絶品だといえるだろう。

続く。





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