File133 2004年女性音楽シーン総評A〜とりとめもない総評


今の、特に今年において女性音楽シーンに閉塞感縮小感を感じる大きな理由に、時代や業界を支え引っ張っていく若手・新人の不在があると考える。
まずは私が宇多田・浜崎に次ぐ第二階層として規定したBoAと中島について考えていく。
BoAに関しては、アルバムこそ80万枚近く売り、現時点で宇多田の「Exodus」に次ぐ売上を記録したが、シングルに関しては1曲も100位以内に入らないなど苦戦を強いられた。ただし、アルバムの出来に関しては文句なし。間違いなく今年を代表する作品だと思っている。テレビやCM出演、ライブなどなども順調で、今や浜崎に変わりエイベックスのNo.1アーティストに完全になったと考えている。
しかし、BoAと同じと年にデビューした中島に関してはかなり不満がある。
売上に関してはシングル・アルバムともにランキングに入らないなど、シングル2曲が100位以内に入った昨年と比べてかなりの落ち込みぶり。ただ、彼女に関しては売上よりも作品の出来〜特に歌唱〜に不満の本質がある。
歌唱技術は確実に成長しているものの、相変わらず気迫を感じ取れずたるさが否めない。与えられる曲は総じてレベルが高いし、中島の歌唱によって曲の魅力をいい形で引き出せてはいるが、歌唱の気迫のなさや器用さだけで歌っていることが曲と歌唱との一体感をやや希薄にしてしまっているため、曲・歌い手共に「上級の評価」を与えても「最上級の評価」を与えることが出来ない。世にいる殆どのアーティストには今のままでも十分勝つことができる。が、本人やソニーの抜本的な意識改革がない限り、業界の頂点に座するアーティストに勝つことは永遠に敵わないだろう。

この2アーティスト以外に、宇多田・浜崎に次ぐ第二階層に進出したのが、平原綾香と大塚愛の2アーティストではないだろうか。
平原はシングルで3位、アルバム17位。大塚はシングルが「さくらんぼ」の10位をはじめ、シングルすべてが100位以内に入り、アルバムは14位。共に浜崎を凌ぐ活躍ぶりを見せ付けた。
平原に関しては、彼女の有する特徴的な声質とすぐれた歌唱技術をいい形で生かす・引き出す曲が殆どないことがその最たる問題であったのだが、11月に発売された2作目「The Voice」によって殆ど払拭されたといっていいだろう。今作の水準を維持しつつ、その問題を払拭するために失った、1stアルバムにあった多様性を回復するかが、大きなポイントではないだろうか。
大塚に関しては、1st・2ndシングルはよかったものの、その後に発表された1stアルバム・3〜5thシングルと、作品を発表するたびに曲の質が下がっているように思うのは気のせいだろうか。特にバラード曲に関してはその傾向が強いように思う。それとこれら曲で露呈した歌唱の不安定さも問題。2ndアルバムは1stほどには悪くなかったが、大塚に対する不満を解消するものではなかった。愛らしいルックス、関西的ノリを前面的に押し出したキャラクター性、絵の上手さを生かした販売戦略と、向かうところ敵なしの様相を見せてはいるものの、最も重要な曲に関しもっと質を上げてほしいと思わずにはいられない。

ということで、実力や魅力に秀でたいい人材はいるもののまだまだ課題・問題がある。結局のところBoAだけが奮闘している状態ではないだろうか。しかし、それだけでは業界は発展しない。
世には売上はないものの、良曲をたくさん出している優れたアーティストがたくさんいるし、自分としてはこういったアーティストがそれなりに活躍してくれたらとは思っている。しかし、こういったアーティストの活動が成立するには、業界を引っ張っていく&流れを作っていくエンターテイメント性に秀でたアーティストがいなくてはならない。今女性音楽シーンが盛り上がるどころか縮小の一途を辿っているのには、このことがうまくいっていないからに他ならない。

最後にC今年顕著な傾向として「王道バラード」のヒットをあげることが出来る。上半期ベスト20の曲でランクインした王道バラードでないのは、大塚愛の「さくらんぼ」と浜崎の「INSPIRE」だけ。この傾向は昨年もあったのだが、今年のそれで特に目立ったのは、「冬のソナタ」「世界の中心で愛をさけぶ」といった純愛系の作品ブームの影響を受けてか、「誰かのために尽くす」「愛することの大切さ」「愛する人との死別」「様々な障害を乗り越えた成就する愛」を歌ったものが多いということ。柴咲の「かたちあるもの」、宇多田の「誰かの願いが叶うころ」、一青窈「ハナミズキ」らのヒットはその典型であろう。
しかし、上でも少し書いたが、流れとしては昨年の延長上のものであり、特に目新しい動きではない。2002年の「癒しブーム」以降日本の音楽シーンは停滞しているのではないだろうか。

ただ、4項目にはあげていないものの、今年の傾向としてよかったこととしてあげられることに、「カバーブームの一段落」がある。安直なカバーがなくなったわけではないが、ここ数年ほどには注目されなかったのではないだろうか。
そしてもう一つ。CCCDが廃止の方向へ行ったことである。今までのCCCD戦略の間違いを率直に認めたわけではなく、天下のiPodさまのご威光に逆らえなかったという理由なのが気に入らないが、まあ結果オーライとしておこう。

2005年は果たしてどうなるのだろうか。多くの女性アーティストらが、作品の質でも売上でもしのぎを削るすばらしい1年になってほしいと切に願ってやまない。





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