File121 暴走する音楽業界〜変わりゆく聞き手の状況A


●そもそもCCCD導入に効果があったのだろうか

この話をする前に、CCCDに対する個人的見解を記す。
もともと人々の複製行動を、企業側の意図で規制しようとする考えは容認できないし、その方法論であるCCCDは、その特性からさらに容認することができない。そう、私は完全にCCCD否定派である。
CCCDの最大の問題は、企業側の導入理由や音質の問題ではなくその方法論〜供給側が勝手に導入した方式で、その再生や動作に関し一切の保障をしていないことにある。音楽を聞くのはコンポ・ラジカセ・パソコン・プレステなどなど多種多様の方法があるが、そのどれもで保障されてはいない。仮に再生できない、再生の際に不具合や故障が生じたなど、購入者側が受けた不利益に対しメーカーは一切責任を取らないということを、CDに付された説明書や公式サイトなどで、あつかましくも高らかと宣言してくれている。これは人々をあまりにナメたものとしかいいようがない。
これはたとえるなら、自動車を作っているメーカーが、「普通に走っている時に当社の自動車が壊れようと止まろうと一切責任を負いません」といっていることと同義である。こんなことが許されるのだろうか。これはPL法

「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る損害が生じた場合における製造業者等の損害賠償責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とした法律」
従来の民法と違うところは、
(1)損害の発生
(2)当該製品の欠陥の存在
(3)欠陥と損害との因果関係
の3点を立証すれば、製造業者等は過失の有無にかかわらず、損害賠償責任(欠陥責任主義)を負わなければならないということ。


に明らかに抵触している。この理念を額面どおりとれば、CCCDなるものや、それらの存在を認めている企業ならびに司法の行為も明らかに違法性があるといえよう。こんな論理がまかりとおるのであれば、あの三菱自動車だって責任逃れができそうだ。
さらに、CCCDを導入しているソニー、パイオニア、ビクター、東芝といった企業は、一方で音響再生機器を製造・販売しているメーカーである。自分たちの生み出した産物が、自分たちの生み出した産物での再生を保障してはないとは、法律論云々以前に企業モラル・常識的・論理的見地から見てもはなはだ可笑しく、失笑を隠せない。
CCCD否定派であり、それを購入するのは本意ではないが、自分が支持するアーティストの活動がCCCD不買運動によって支障を来たすのはもっと本意ではない。そのジレンマにさいなまされているのが現状である(ただし、その詳細については後に述べる。
で、話がそれてしまって恐縮だが、音楽作品の売上の10%を占めるまでになったCCCD(「ASAHIパソコン 2004年8・15/9・1号、「著作権で息がつまる」より。但しレコード協会の発表した数値なのでどこまで、その信憑性に関しては疑わしい)だが、そもそものお題目である「コピーによる売上低下に対する歯止め」たる役割を果たしているのだろうか。ここで最新データを紹介しよう。

日本レコード協会によると(http://www.riaj.or.jp/data/monthly/2004/200406.html)2004年1月〜6月、つまりは上半期の邦楽CD生産枚数は合計で前年同期の95%、12cmシングルが95%、アルバムが95%と、すべてにわたり前年を割っている結果になった。
以前にも述べたが、総生産枚数が露骨に減っているので、売上の合計も減る結果に当然なる。で、何故に生産枚数がへるのか。もう堂々巡りで「鶏が先か卵が先か」の理論になってしまうが、売上が減っているからである。で、それが更なる生産枚数減少へとつながる。
以上のことから容易に理解できるように、CCCDの導入によって売上の減少に歯止めなどかかってはいない。
そしてもう一つ。売上上位作品にしめる非CCCDの割合が依然として高いこともある。
HMVのアルバムトップ200(1年間ー総合)をみると(8月11日付け)、トップ20のうち非CCCD作品が、宇多田、ミスチル、女子十二楽坊、アブリルラビーン、ケツメイシ、ビヨンセ、ラブサイケデリコ、レッドホットチリペッパーズ、Usher、ブリトニー、平井堅、倉木麻衣の12タイトル(輸入盤含む)もある。邦楽盤だけでも8タイトルある。これでもレコード会社は、「複製によって売上が落ちている」と言い張るのだろうか。言い分が正しければ、CCCD作品が非CCCD作品より上位になければならないだろう。
宇多田のベストアルバムが非CCCDであるにも関わらず、既存のアルバムもとんでもない売上にも関わらず、260万枚という圧倒的売上を記録したことからも、会社の言い分は酷くおかしい。

ここで唐突だが、自分の事例を出していく。私が上半期に購入ないしは視聴した邦楽アルバムは、
≪*(C)はCCCD作品。但し、管理人が調べて判明した範囲でのみ記述。≫

@浜崎あゆみ 「Memorial adress」(C)
A笹川美和 「事実」(C)
B島谷ひとみ 「デリシャス」(C)
CBOA 「LOVE&HONESTY(C)
Dクリスタル・ケイ 「4real」
E宇徳敬子 「THE BEST eternity」
F石嶺聡子 「ブルーミーバルーン」
GGIZA studio 「マスターピースブレンド2003」
H相川七瀬 「7SEVEN」
INao 「Go slow」(C)
J天野月子 「天龍」
K倉木麻衣 「Wish You The Best」
L柴咲コウ 「蜜」
MSuger 「Double Rainbow」
NZARD 「止まっていた時間が今動き出した」
O玉置成実 「Greeting」
PZONE 「N」(初回限定盤)(C)
QMOVE 「Deep Calm」(C)
R柴田淳「ひとり」
S菅野よう子 「STAND ALONE COMPLEX O.S.T+」
21 平原綾香 「ODYSSEY」
22 浜崎あゆみ 「Duty」
23 茉樹代 「Garden」(C)
24 小柳ゆき 「Myall< YUKI KOYANAGI SINGLES 1999−2003>」
25 day after tomorrow 「primary colors」(C)
26 MISHA 「SINGLE COLLECTION 5th ANNIVERSARY」
27 Dreams come true 「Dremage〜Dreams come true Loveballadocorection」(C)
28 天野月子 「ウィノナライダーズ」
29 LOVE PSYCHEDELICO 「LOVE PSYCHEDELICOV」
30 Every Little Thing 「commonplace」(C)
31 BON BON BLANCO 「B3 Master Pieces 2002−2004」
32 大塚愛 「LOVE PONCH」(C)
33 フリッパーズギター 「シングルス」
34 一青窈 「一青想」
35 Cry&Feelit 「Cry&Feelit」
36 元ちとせ 「コトノハ」
37 Tommy Febryary6 「Tommy eirline」(C)
38 女子十二楽房 「輝煌」
39 Aphasia 「Wild And Innocent 」
40 RIN’「Sakitama〜幸魂〜」(C)
41 move 「Operation Overload7」(C)
42 Bonnie Pink 「Even So」
43 Lyrico 「Fravours」
44 Bonnie Pink 「Heaven’s Kitchen」
45 菅野よう子 「攻殻機動隊 Stand Alone Complex O・S・T・2」
46 辛島美登里 「SINGLES」
47 wyolica 「Best Collection1999−2004〜ALL THE THINGS YOU ARE」
48 melody. 「Sinceryly」
49 石川知亜紀 「Inner Garden」(C)
50 奥村愛子 「いっさいがっさい」(C)
51 倖田來未 「feel my mind」(C)
52・53 Fayray 「genuine」「Ever after」
54 DREAMS COME TURE 「DREAMANIA -DREAMS COME TRUE smooth groove collection」(C)
55 move 「move super tune -BEST SELECTIONt-」(C)
となる。

この55タイトルの詳細な内訳は

A:購入したもの
C P R S 39 40 45 48 52 53
の10タイトル。

B:CD−RないしはMDに複製したもの
A B E L 42 49
の6タイトル。

ここで購入したもので非CCCD作品はC P 40の3つ。複製で済ましたものに関しては、A B 49の3つ。
となる。

私のCD購入&視聴枚数が世の平均的なものと比べてどうかということは定かではない。但し、購入した作品に占める非CCCD作品の少なさと複製した作品におけるCCCD作品の多さ。ならびに全体に占める複製の比率の低さ(全体で10.9%、非CCCD作品だと5.5%)という結果から考えるに、「通常CDだから複製によって売上が減っている」理論は成立していないように思える。
私には、そもそも「CCCDだから買う」「通常CDだから買わない」「CCCDだから買わない」といった思想はない。自分にとって「必要な作品は買い、そうでないものは買わない」、「買うほどではないがそれなりに聞きたい・聞く必要がある作品に関しては、CCCD・非CCCD関係なく複製する」だけである。それ以外のものは何もない。ここで問われるのは作品の形態ではなく、作品の質。無論そこには「CCCDでCD−Rに複製できないから金を出して購入した」はない。あまりほめられたことではないが、どちらかというとCCCD、非CCCD関係なく、「レンタル屋にない」の方が購入動機につながる場合が多い。私だけではなく、ごく普通の音楽視聴購入者の考えではないだろうか。また、「CCCDに対する不買運動」の強固な存在からも、CCCDの導入は売上を減少させこそすれ、増大させることはないだろう。
このことは「他事争論File77」で紹介した、「音楽コンテンツ個人録音及びそれに関わるCD−Rなどの利用実態調査」(2002年9月)「CD−R音楽録音利用後のCD購入量損減意識」の、

CDの複製をするようになってCDを購入しようとする意識がどうなったかということであるが、
「特に変わらない」(55%)
「どちらかといえば減った」(19%)
「どちかといえば増えた」(13%)
「減った」(7%)
「増えた」(5%)
という結果に。減ったの合計が増えたの合計を少し上回ってはいるものの、「特に変わらない」と「増えた」を合計すると73%になる。また、完全に新品CDを購入せずに、レンタルや複製のみで済ませている人の比率はわずか15%。
からも明らか。
さらに、最新の調査である「2003年度音楽メディアユーザー実態調査」(2004年)でも、ここ半年でCDの録音をしているユーザーほど、「CDの購入率」が高いという結果がでている。

ここ半年でCDを買ったユーザーの非録音率44.5%、CDを買っていないユーザーは72.3%と1.6倍も違う。これは「CDを購入していないユーザーほど録音行為をしていない」「録音しているユーザーはCDをきちんと買っている」ことを示している。
一方録音率も、CD購入層は50%、CD非購入が22%と、上記結果を反映したものに。
まあこの2つは同じ意味なので、同一の結果になるのは当然ではあるが、非常に面白い。
また、「ここ半年におけるCD−Rへの平均録音枚数」でも、「平均1.33枚」という結果に。半年間における音楽支出の平均20931円から推測するに、複製率は約10%ほどに過ぎない(1枚2000円で計算)。これら様々な調査の結果は、メーカー側の主張である「録音しているからCDの売上が減る」「CDを買わずに録音ばかりしている」と明らかに矛盾している。
さらに余談ではあるが、CDを過去半年に購入している人ほどDVDの購入率が高いことも、この調査の結果で立証されている。

これら調査を行っている「日本レコード協会」はCCCDを「新しい音楽メディア」として強固に推奨しているが、実は調査をすればするほど、「CCCDを推進する必要性がない」ことを自ら立証しているだけである。まことに愚かしいことであるが、その矛盾を自ら認めてはいないし、こういった結果に対するまっとうな分析すらしていない。それどころか、さらに愚かなことに、「CCCDの認知度が上がっている(前年より7.6%増加)」の結果から、

「コピー防止機能付CDに関しては、賛成・消極的賛成が約6割に達し、概ね理解を得ている構造は昨年と同様である」
「コピー防止機能付きCDを標準的な音楽用メディアとして引き続き普及促進していくとともに、主に若者層を中心に、不正コピー防止のための啓発活動を実地する必要がある。」


と自分たちが勝手に推し進め、押し付けた方法論に泣く泣く従わざるを得ないユーザーの心理や、音楽を愛する人の真摯な気持ちを踏みにじっていることを無視し、単なる統計上の数字の微増を酷く都合よく解釈した傲慢な発言をしてくれている。
もういい加減、こんなあほなことをいったり、さならるコピー防止に躍起になったりしないで、「CCCDは売上を減少させこそすれ、増大させることはない」という事実を素直に認め、廃止したらどうだろうか。

次回からは、音楽を複製する行為が音楽業界やアーティストに深刻な影響を与えているのかどうかについて考察する。

本稿作成のために参照したURL「http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2003.pdf」






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