File118 優れたベストアルバムとは〜ベストアルバム私論@


ここ1〜2年くらい、宇多田・倉木・MISIA・ドリカム・島谷・愛内、まもなく発売される矢井田らと、大物アーティスト・人気アーティストのベストアルバムが立て続けに発売されている。また、これらアーティストに限らず、最近妙にベストアルバムが多いように感じるのは、気のせいだろうか・・・。
当然のことながら、ベストアルバムとはそのアーティストを代表する良曲・名曲らが収録されている優れたものでなければならない。しかし、最近やたらと出されているベストアルバムを聞いていると、「これって本当にベストアルバムかいな」と思わずにはいられない作品が多い。ベストアルバムであるにもかかわらず、収録曲のレベルが低すぎるのである。また、ベストアルバムを出すことに必要性を感じないものもある。
そもそも、「ベストアルバム」にはそれを出すことのできる、出しても許されるなどの規準(資格)があるではと考える。そして、ベストアルバムを出すのに向いているアーティスト、向いていないアーティストもあるのではと考える。以下このことを踏まえつつ、このことよりも先にベストアルバムの基本的な条件について箇条書きで記す。

@デビューしてから初のベストアルバム発表までの期間が4〜5年程度あること
当サイトでレビューしたものでいうと、DREAM、BOYSTYLE、BON-BON-BLANCOなどがこれに該当しない。これらアーティストに共通しているのはデビューしてから2年程度でベストアルバムが出ていること。4ヶ月に1曲だしたとしても、せいぜい6曲程度しか集まらない。仮にアルバムを2枚だしていたとしても、30曲程度であろう。そんな状況で10曲以上ゆうに収録されるベストアルバムを出そうとすると、単に曲を集めただけのできの悪いものになってしまう。同系統の曲が多い彼女らの曲では、なおさらそれがいえる。厳選された感がない彼女らの作品を聞いていて、「これがベストアルバムの曲かよ〜」と頭を抱えてしまう
総じて成功を収めていないアーティストの最後の花火みたいな感じで出されるのが多いことから、このケースになってしまうのだが・・・。しかし、こういった思想のもとで出されたベストアルバムでまともな作品は今のところ1つもないように思う。話が長くなったが、数多くの中から優れた曲を厳選し、収録するというベストアルバムの意義からも最低でも3年の活動暦があってほしい。

A同種系統曲ベストは不要
ドリカム、浜崎、MISIAといったアーティストをはじめ、「バラードベスト」と同一ジャンルの曲を集めたベストアルバムがあるが、これはあまり好きになれない。収録されている曲の質はそれなりに高いのだろうが、立て続けに聞かされると途中で飽きてしまうからだ。アップテンポの曲ばかりを集めたベストも同様。

B曲順は時系列順が望ましい
特にシングルだけを集めたベストアルバムにこのことはいえる。そのアーティストの成長・進化の過程というものを感じ取ることができる面で、時系列順の収録は効果があるように思う。一見何でもないことだろうが、実はこうなっていない作品が多い。愛内のシンコレもこれにあたる。しかし、「望ましい」とあるように、絶対条件ではない。ただし、それには各曲の詳しいライナーノーツがあることが前提であるが。

C収録は当時の音源のままで
時々あることで、絶対にダメだと思うことに、ベストアルバム収録の際に別編曲や歌の取り直しを行うことがある。いわゆる「〜リミックス」とか「アコースティックバージョン」「〜年バージョン」とかがこれにあたる。
今の歌唱で取り直したい、デビュー当初の下手な歌唱をいまさら聞かれたくない、といった思いもあるのだろうけど、やはり当時のままのものが聞きたい。下手な歌唱や未熟な作編曲なども含め、支持している・好きと思える部分があるし、若いときだからこその魅力もあると思うので。それと今までの経験則から、変に細工したもので当時の音源を越えるものはなく、逆にだめになってしまうパターンが殆どということもある。唯一許せるのは、音質に問題のある昔の曲に対し、デジタルリマスター処理を施すことぐらいか。

Dできれば1枚のCDに収めてほしい
よく2枚組とか曲種を分けて2枚にしたベストがあるが、これはいただけない。ポルノグラフィティやラルクのベスト、ドリカムのベストがこれにあたる。ビートルズとかツェッペリンとか、カーペンターズといった名曲だらけの往年名アーティストや、ストーンズとかエアロとかサザンとか松任谷由美らといった、かなり長い活動暦があるアーティストならいざしらす、たかだか3〜5年程度の経歴で2枚組のベストを出すのはやめてほしい。それだったら収録する曲にさらなる絞込みをかけ、ベストアルバムとしての質を高めてほしいと思う。

E新曲やシングル・アルバム未収録曲を収録するのは不可
往年の名曲を収録するはずのベストアルバムであるにもかかわらず、何故か新曲や未収録曲が収録されることがある。これはかなり頭にくる。特にアルバム・シングルを全部集めているいるようなファンにとっては屈辱以外の何者でもないだろう。わざわざそのためにベストアルバムを買わなければならなくなるのは、はっきりいってなめている。少しでも売り上げを稼ごうとする社側のあさましい魂胆だろうが、ファンに対する姿勢としていかがなものかと思う。

Fカバー曲の収録は不可
この項目に関し最もひどいのは島谷ひとみだろう。「亜麻色髪の髪の乙女」「パピヨン」「元気をだして」と3曲もある。まあ彼女に限らず、ここ数年の「馬鹿バー(カバーブームに対し管理人がつけた蔑称)」ブームから、カバー曲を収録したベストアルバムが今後増えることだろうが、ベストアルバムはあくまで自分の持ち歌だけを収録すべし。それができないのであれば、ベストアルバムを出さなくてもいいとすら、考える。

Gできれば音量を調整してほしい
バラードとハードロック調の曲の収録音量がやや違うのは致し方ないが、たまに露骨に音量がばらけているのがある。例えば、宇多田のベストは最終曲の「COLORS」がやけに音が小さい。これが60年代や70年代のアーティストの作品であれば、こんなことはいわないが、さすがに90年代以降の作品でこれはダメだろう。収録の際にできるだけ音量が均質になるように調整してほしいと思うのは、贅沢な注文なのだろうか。

Hベストアルバムにふさわしい高水準の曲ばかりを収録していること
選曲に関しては、万人が納得するものを作るのは難しい。しかし、そうであっても選曲された曲の「質」に疑問があるのは論外である。@の項目と関わるが、ここで挙げたアーティストや、他にも例えば島谷とかドリカムとかのベストに対して、「この程度の曲をベストに入れるなよ」と感じてしまうのが多々ある。島谷でいえば「YUME日和」がこれにあたるだろう。シングルセレクションとかならまだしも、そういった作品ではないのだから、やめてほしいと思う。DREAMやBOYSTYLE、ボンブラなどは、かなりの曲に対し、収録されることに疑問を感じるどころか、そもそもベストアルバムを出すことに対し疑問すら感じてしまう。レビューで70点以下をつけたような作品は、もうベストアルバムとして失格とすら思う。

次回では、これら項目を踏まえ、ベストアルバムを出すのに向いているアーティスト、そうでないアーティストの話を盛り込みつつ、真に優れたベストアルバムとは?について記していく。






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