File117 プロモ&おまけDVD私論A


で、今回はプロモ論を踏まえた上でおまけDVDのお話。
前回では、プロモとしての価値を見出せるものとして、

@出演者がものすごい美女
A出演者がダンスができる
B出演者の演奏技術が達者


を挙げた。結局のところ、おまけDVDのお話もこの3つの要素に集約されるといえるだろう。

最近、いろんな会社でマキシシングルやアルバムにおまけDVDがつけられるようになったが、その必要性や価値が本当にあるのか、販売促進を考える上で大きな効果があるのか、と疑問を感じてしまう。
前回で、プロモにはあまり関心がないといった。しかし、今の女性アーティストは殆ど美人だし、「おまけ」に弱い性格柄、結局のところDVD付のものを購入してしまう。だが、購入価格が高くなるといった余計な出費をしたにもかかわらず、おまけDVDを繰返し見ている人はいるのだろうか。自分を基準にして考えるのはよくないが、私は殆ど見ることがない。個人的にBOA、岸本、Ruppinaの3アーティストのものをたまに見るといったぐらい。それ以外は買ったときに1回見ただけになっている。

というわけで、それなりに熱心な女性アーティストファンだと思っている私であっても、このあり様である。プロモなどが収録されたDVDをおまけとしてつけることが、販売拡大を考える上で、実はあまり効果がないのではないだろうか。
元々販売促進は、そのアーティストの作品を今まで購入していない人に対して行なうものである。しかし、そういった人々が、プロモとかのDVDを目当てにCDを購入することは殆どないと考える。どんな形態であろうと、とにかく新譜が出たら必ず購入するような超熱心なファンにはあまり関係がなく、どちらかというと作品を全部揃えていないものの、それなりのファンであり、今回おまけが付くことによって購入意欲が生じそうなファン層に対してだけ、販促としての効果があるとしか思えないのである。よって、おまけDVD付を購入したもののそれを殆ど利用しなかったら、仮に次曲や他の作品にDVDが付いていたとしても、あまりファンではない人や、それなりのファンである人が今後それらを購入することはないだろう。恐らく購入の動機は、「曲」が購入に値するほど気に入った場合にのみ、限定されるのではないだろうか。今までの自分を見ても、プロモやおまけDVD目当てにCDを買ったことは一度もない。ちなみに、おまけDVD付・「なし」と両方ある場合には、だいたい「付」の方を私は購入する。それはもともとそれら作品を絶対に購入することが基本前提になっているので、おまけの有無とは関係ない。唯一の例外は、柴田淳のDVD付シングル。だが、あれはプロモではなく純粋なライブ映像。プロモだけで購入してもいいと思えるアーティストは後にも先にもマイケル・ジャクソンだけだろう。

プロモやプロモ付DVDを作るのには、当然金がかかる。話題性や宣伝効果を増やそうと、映像や演出・キャスティングにこだわればこだわるほど、天文学的な金額になる。例えば浜崎やMISIAのプロモなどは、億ぐらいするのではないだろうか。
(かのマイケルジャクソンの「リメンバーザタイム」のプロモは約5億円の制作費といわれている)
90年代後半の宇多田大ヒット以降、女性アーティストに限り、90年代前半から中盤と同じような音楽バブルが生じた。当然の如くプロモを中心とした宣伝広告費・販売促進費などに大枚が動くようになる。だが、当初から上記のように、膨大な資金をかけたに値する効果があったとは思えない。繰り返すが、プロモやおまけDVDの効果というものは、それほどは多くないように思う。よって、膨大な制作費をかけた分損するだけではないだろうか。

文面において、随所にマイケル・ジャクソンの名を出しているが、結局のところプロモーションビデオという表現形態や販促形態が、マイケルの全盛期であり音楽がビジネスとして巨大化した80年代に、彼の「スリラー」をはじめとしたプロモによって、すでに頂点を極めてしまったことも、プロモに対する必要性を薄れさせている。
莫大な金を惜しげもなく使い、超一流の製作陣やキャストを使用し、そして本人の類まれな表現力、豊富で斬新なアイデアを完璧なまでに反映させた彼のプロモの数々を超えるものを、いまだに見てはいない。市場としての規模や音楽業界の世界的な衰退が、この先さらに加速しそうな状況において、もはや望むべくもないだろう。マイケルの絶頂期が終わった時点で、でビジネス・販売戦略の一環としてのプロモの存在というものも同時に終わりを迎えたといえるのではないだろうか。少なくともこの先、マイケルが築き上げたプロモの形式・常識を打ち破る新たなものが出てこない限り、プロモやそれらを収録したおまけDVD戦略は、その経費の高さ故に、社やアーティストにとって負担になるだけである。
そしてもうひとつ。今の日本に、アメリカのMTVのようなプロモを積極的に放送する本格的な音楽番組がないこともあろう。全くないとはいわないが、ケーブルや衛星チャンネルといったローカル筋か、深夜の時間帯の番組に限られており、しかもそのほとんどがプロモをきちんとした形で放送しない。どちらかというと今のプロモはCMでの使用やCD販売店店頭での再生、エンタメ番組や朝の情報番組でのささやかな紹介にとどまってしまっているといえる。せっかく手間暇金かけて作ったとしても、それを紹介する場がないのが今の日本の音楽業界の現状だ。

デフレによって価格が下がったとはいえ、もともと日本は物価が高い。その中で数少ない値段の下がっていない商品であるCDに対し、おまけがついているとはいえ、通常盤よりもほとんど価格が高くしてあるという現状は、CDの価格に対する「割高感」を必要以上に認識させるだけではないだろうか。今や廉価版のライブDVDが2800円で買える御時世を考えると疑問がある。
うだうだ記した挙句の結論だが、結局のところ、プロモやおまけDVDで売り上げを伸ばそうとする考えが企業やアーティストにあるとしたら、おそらくそのこと自体が間違いであろう。どちらかというと、熱心にCDを買ってくれるファンに対する感謝の意の延長上のものとして捕らえたほうが、考え方として賢明なような気がする。だからといって、個人的には冒頭3項目のものしか興味がないのだが・・・。

何かあまりに気の抜けた内容になってしまいましたが、大作の後ということでご勘弁下さい。次回からは「優れたベストアルバムとは」をやる予定。それが終わったら、大作「CCCDは音楽業界を救うか第2部」をやる予定です。






botan2.gif
他事争論過去一覧へ


botan1.gif
ホームへ