File112 宇多田VS倉木論 第2部D


今回から倉木(だけではないけど)を取り巻く問題の中でGIZAの戦略面での問題を中心に記していく。(この辺のところはこのサイトを見てくださっている方の方が多々ご存知のことと思いますが)。

GIZAの営業や広報を担当している人々は、それぞれに何らかの思惑や目的があって、各々の販売戦略やアーティストの発掘・育成・拡販などを行なっているのだろう。そこには一般の素人にはわからない・知りようのない深遠なものがあるのかもしれない。しかし、日々GIZA陣営が行なっている販売戦略やアーティスト育成を見ていると、どうにも腑に落ちない点、不満に思う点が多々あるのである。やや倉木の話からずれる側面もあるが、倉木を取り巻く環境の理解もかねて、できるだけ倉木に関することを中心にしつつも、多々述べていく。
GIZAの戦略に関して、良く分からない点の最たるものは、アーティスト戦略である。
いわずもがな今はCDの売れ行きが年々落ちているCD不況の時代。倉木・ガーネットクロウ・愛内里菜とGIZAを支えていき、人々からの多くの支持を得てきた3強アーティストですら、苦戦しているのが実情。CD不況の煽りをモロに受けているとすらいえる。
実際、昨年GIZAで一番の売上をあげた倉木であっても、アルバムでは上位20傑(第18回ゴールドディスク大賞、ロック&ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤー)、チャートでは初登場5位以内に入るのがやっと。それ以外のアーティストでは、ガーネットクロウと愛内がシングルチャート初登場10位以内に入るのがやっとであり、倉木以外はシングル・アルバム計が上位50傑にも入らないのが実情である。
しかし、そういった状況にあるにも関らず、既存の自力のあるアーティストに対するてこ入れや製作陣営の抜本的見直しをせずに、新人アーティストを乱発しているのが現状。アーティスト個々の出来不出来や好き嫌いはまあ置いておいて、2003年以降、女性アーティストだけでも岸本・滴草・高岡・竹井・ジュエリーと、多くのアーティストを登場させた。さらに、まだ新手が登場するという情報もあるくらいである。このことは大きな問題を2つ生み出す要因になっている。@購入層の分散 A楽曲レベルの低下である。

@はまさにGIZAならではの事情ともいえる。
ソニーやエイベックス、ビクターと違い、GIZAのアーティストを聞いている人は、それに所属している個々のアーティストというよりも、所属しているアーティストをひとくくりにして聞く傾向にある。私やこのサイトに足を運んでくださっている方の存在そのものが、このことを立証しているといえる。GIZAアーティストの中で1組だけ支持し、後は別に、ということは殆どないといっていいだろう。つまるところ、他の事務所が(東芝だけはやや違うと思うが)アーティスト個々にファン付く傾向に対し、GIZAはアーティストのみならず、GIZAという組織にファンが付くということである。GIZAが所属アーティストのジャンル区分をしているとはいえ、原則「外見」「声質」「曲」中心主義という一貫した思想を持っているが故に、系統としてあまりかけ離れないということがあるからであろう。(現時点ではガーネットクロウだけが唯一GIZAらしくない異質の存在ととることができよう。)。
このことは、アーティストをデビューさせたら、ある程度の支持を確実に得ることができる(もちろん水準以上の質があってのことだが)という利点を得る半面、仲間同士の醜い共食い現象(シェア分け)を生み出してしまっている。GIZAアーティストファンは多くても、ファンがCD購入に費やせる資金は、よほど財産に恵まれている1部の人以外、当然のことながら限られてくる。その状況においては、購入する優先順位が決定され、後はレンタルか買わないという選択肢にならざるを得ないだろう。アルバムはともかく、シングルは特にこの傾向が強まるといえる。かくいう私も確実に購入しているのは現時点でガーネットクロウ・小松未歩・竹井詩織里だけであり、それなりにもっているのは北原愛子、倉木麻衣、岸本早未だけである。さらに最近は最初の3組以外殆ど購入いないのが現状。で、ここで確実にいえるのは、シングルに関し、倉木の売上に私は貢献していないということ。初期のものは持っているのにも関らず2002年以降は買い控えている。自分の財布事情の貧困さも合わせ、購入対象となるアーティストが増えたことによる買い控えといえるだろう。
倉木だけではなく、このことはGIZAアーティスト全体を考える上でかなり深刻な問題だといえよう。倉木を最上位にしないGIZAファンがどれだけいて、どれだけ倉木の作品を天秤に欠けた上で購入したり購入を控えたりしているのかは不明だが、少なくとも私のように倉木を犠牲にしているファンの存在が少なからずいることも確かであろう。倉木ファンが倉木以外のアーティストを犠牲にする比率よりは確実に少ないとは思うのだが・・・
しかし、さらに深刻なのは売上以上にAの楽曲レベルの低下である。
究極の所、買ってでも購入したいと思えるほどの曲のレベルであれば、ファンは他の何かを犠牲にしても確実に購入するだろう。しかし、現実はそれとは反対になっている。
前回でも述べたが、多くのアーティストのデビューさせ、活動を維持させるには、当然の如く多くの曲の存在が必要である。しかし、アーティスト数の増加に比べ新手の作曲家は殆ど増えていないといっていい。ガーネットクロウの中村、岡本、TUBEの春畑、金子奈未ら増えてはいるのだが、作らせている曲数が絶対的に少ない。さらに前者3者が別に本業が存在しているという事情もある・・・。これは、当然の如く作曲家一人当たりにおける、つくらなければならない曲数の増加を意味する。仕事時間や仕事量には上限があるので、曲数の増加はそのまま曲の質の低下をもたらす。全体的か1部の曲にそれがでるか、形態は様々であろうが、どっちにしろ誉められたことではない。で、このことの影響を最も悪い形で受けているGIZAアーティストの一人として、確実に倉木を上げることができる。もちろんこれは、前回でも後半で記したが、GIZA最高の作曲家であり倉木の立役者である大野愛果との絡みである。
GIZAのエース倉木のアルバムにおける大野曲の比率は、2000年1st:5曲、2001年2nd:6曲、2002年3rd:6曲に対し、2003年4thではわずか3曲になってしまっている(他事争論File54〜56参照)。大野曲数だけでいえば、三枝・菅崎より少ないという結果に。最大の売上を誇るエースたる倉木であるのに、このことは腑に落ちないといっていいだろう。5曲もの提供を受けた菅崎の1stは、個人的評価では倉木4thよりも上になってしまった。倉木4thに不満を覚える人にとって、菅崎の1stは代償的役割を果たしたといってもいいくらいに・・・。
2003年の時点では、やや酷い言い方になるが、三枝・岸本・菅崎に大野の曲を奪われていたといえるが、2004年になってさらに竹井・高岡・ジュエリーと大野曲の提供相手が増えてしまった。一方大野曲の提供がなくなったのは、タンバリンズだけ。大野の負担が如何に大きくなったかが明らかに分かる。これは、歌い手と大野曲との相性を考えずに大野に曲を作らしていることと並び、大野の曲のレベルの低下を確実にもたらしている要因である。
もう倉木は安定した売上をあげているとか、極端に売上を落とすことはないといったGIZAの考えが作用しているからだろうか。だとしたら、今後倉木に大野の曲が回ってくる率が増えることはないだろう。しかし、現実大野に匹敵できる作曲家の存在がいないことから、1つの問題を端にして多くの問題と密接に絡み、悪循環を築き挙げているといえよう。なし崩しの理論である。
さらに問題はこれだけではない。次回は曲以外の戦略面に関し述べていく。だんだん脈絡がなくったきたのですが、ご勘弁を。






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