File102 祝い他事争論100回記念〜評価の心構えA


まずは滴草由実。前回の区分では彼女を挙げてはいないが、彼女の区分は、「好きではないが、実力は高く評価している」になるだろう。何故こうなるかにおいては、滴草のレビューで散々記したことでもあるが、彼女にR&Bをやる必要性を感じないことにある。彼女の歌い手としての実力は、誰しもが高いと認めるところだろう。ただし、その実力が肝心な自分の持ち歌において完全に発揮されているとは思えない。松本孝弘カバーアルバムでの優れた歌唱レベルのものが、オリジナル曲ではないと私は思っている。
それともう1つ。R&Bというジャンルを考えたとき、残念ながら彼女より優れた歌唱を聞かせる人材が多々いる。また、事務所としてR&B音楽に対する錬度の高さや引き出しが多いとも思えない。故に、本格的なR&Bを好きな人に対し訴えかけるものがあるかというと、ないとしかいえない。かといってメロディーや声質に重きを置くGIZAファンを満足させるものがあるかというと、そうもいえないと考える。個人的にも彼女の上手さは認めるものの、好きと思ったことはない。
実力とかはさておき、彼女の音楽性や戦略に対する疑問が、彼女に対する評価を著しく押し下げている。

もう一人の竹内めぐみはどうだろうか。前回でも記したが、「好きでもないし、実力もないと評価しているアーティスト」に入る。
彼女は当初、「ポスト宇多田」というお題目で売り出されたアーティストだ。ただし、作曲をしない・上手くない歌という音楽的資質の欠如もさることながら、根本的な音楽性に関し両者の間になんら共通項がない。どちらかというと、諫山とか鳳山とか天野月子とかに近いものがあろう。詞とかは鬼束に近いものがあるし。
で、この手のジャンルにおいて上記アーティストを始め、業界屈指の実力者を多々有している東芝において、今更この程度のアーティストを出すことに戦略的意義を見出すことができない。音楽的な資質と合わせ、東芝の戦略性の欠如やアーティスト育成方針は、彼女を酷評する大きな理由になっている。
私は音楽的に好きになれない以上に、そのアーティストが何をやりたいのか、何を目指しているのか、事務所やレコード会社が何を売り要素としてこのアーティストを育てているのか、そういったことを明確に感じ取れないもの、明らかな矛盾があるものが何よりも嫌なのだ。
モーニング娘やDOUBLE、高宮マキは曲的には好きになれないが、彼女らのやりたいこと、目指しているものはよく分かるし、それを果たすための実力を有していることも分かるから、好みの観点から点数を低くはしても酷評はしない。だからこういったアーティストのレビューにおいては、「自分としては好きになれないが〜、求める人にとっては良作であろう」というような文面をつけたりしている。

アーティスト評価だけではなく、曲評価にも同様のことがいえる。R&Bは好きではないが、R&Bアーティストとして高い技術や魅力を感じる場合には、一定以上(★3つ)の評価をするようにしている。やはりそれは礼儀だと思う。
自分の音楽的な嗜好の提示とあわせ、評価を4領域で分ける方針は、自分でいうのも何だが、通常の雑誌レビューよりは、レビューの妥当性を有しているのではと思っている。R&Bで私があまり高い点数をつけていなかったとしても、見てくださっている方がさほど疑問に思うことはないだろうし、「この人はR&Bが苦手だから」ということで流していただけることだろう。逆にGIZAアーティストとかで高い評価をしている、という際にも妥当性があると思うし、それが故に、厳しい評価を下した際にも、好きだからこそ反対評価に対する妥当性を増すとも思っている。

とはいってもレビューや他事争論などで表現できることは、所詮たかが知れていると思う。私はプロでもないし、文章表現や音楽的知識にも著しく欠ける単なる音楽好きの素人に過ぎないから。
カメラ評論家の文月涼氏の受け売りなのだが、サイトを見ていただいている方は、私の評価を過大視しすぎることなく、カメラのファインダーやレンズのようなものと捉えた頂けたらと思う。カメラが違えば、同じモノをみていいてもモノの見え方は違ってくる。当然見ている人を始め、多くの人が違った考え=つまりは1つのファインダーやレンズを持っているからして、所詮私のレビューや評論もその1つに過ぎないと。但し、世の音楽雑誌のレビューとかは、レンズやファインダーとしての役割すら果たしてはいないと私は思う(もちろん全部が全部とはいわないけど)。レビューや評論を通して、音楽業界やアーティストに対して何をしていきたいのかが本当に分からないから。100回目の時にも述べたが、こういった不満があるが故に、口うるさくも自分のサイトでいろいろ述べてみようと考えた。傲慢ではあるけれど、自分では音楽に対する確固たる信念や思想をもって書いているつもりだ。決してレベルが高いとは思わないものの、そのことだけは誰に対しても出来ていると誓える。

ただ、やっていて強く感じたのは、自分の思いと共に、サイトを見ていただいている皆様のご意見があるからこそ、このサイトにおけるレビューや評論がなりたっているということ。皆様のご意見ご感想がなかったら、成立していなかった項目が多々あり、今頃ネタに困り果てていたに違いない。その事に対する心からの感謝を述べ、一連の記念論稿を終わりとしたい。

次回から宇多田VS倉木論を再開します。






botan2.gif
他事争論過去一覧へ


botan1.gif
ホームへ