File88 再びゴールドディスク大賞を斬る〜「売上賞」の大いなる問題を問う@


ネットニュースや当サイトに来ていただいている方からの情報によると、今年度のゴールドディスク大賞は浜崎あゆみになったということだ。この結果に対しどうとらえるかは人それぞれだが、個人的には完全に予想どおりだったし、それ以上に賞に対する関心が全くないので、正直「どうでもいい」以外の感想を持つことができないでいる。
そもそも音楽を始め芸術というものは、スマップの曲ではないけど、「自分にとって特別か?」「あくまで自分が判断し選ぶものだ」ということが重要であると考えている。また「権力や権威」にどうしてもなじめない自分の性格からも、賞というものに対しどうしても好きにはなれない。毎年自分なりに賞を選出するのには、こういった考えがあるからだといえよう。
だからといって「賞」なんかなくてもいい、と思っているわけではない。文化振興や商業的見地からも、「賞」という存在は業界にとって今なお有効な手段であるということは、今回の芥川賞を見れば一目瞭然。それは十分にわかっているし、賞をありがたがる人々が多いこともわかっているので、まあ需要と供給の関係で「やりたい方々だけで勝手にやってください」というのが偽らざる私の本音である。
ただし、それは「賞」そのもののに、一定の妥当性や一貫性がある限りにおいてのこと。つまりはそれらに問題がある場合には、「勝手にやってください」と放っておくわけにはいかない。やはり許しがたいものがあるからだ。
音楽だけではなく、映画や本関連の様々な「賞」の根本的な問題は、各賞が掲げている「お題目」と実際に選出・選考されたものとがあまりにかけ離れていること。また、選考そのものに「?」と感じずにはいられない、ということがある。「レコード大賞」はその典型であろう。逆に視聴者からの投票で決めている日テレ系列の「有線歌謡大賞」は選考の結果はどうあれ、選考そのものは非常に明快で一貫性があり、評価できる。ではゴールドディスク大賞はどうであろうか。
この賞の選定は、ずばり「売上」。故に、妥当性や一貫性があり評価できる、という結論になるかというとそれは大間違いもいいところ。結論からいうと、多くの点で、ある意味レコード大賞以上に容認することができない。それは上記の一般概念としての「賞」に対する不満や疑問ではなく、この賞の「あり方」に疑問や問題が大いにあるからだ。妥当性や一貫性があるものの、あり方にかなり問題があることが、この賞を評価することができない最大の理由である。

ゴールドディスク大賞の大きな問題は、以下の点に集約されていると私は考えている。

@選出されるアーティスト数の異常なまでの多さ
A「売上」に対する捉え方の不明確さ

まず@から。百聞は一見に如かずなので、ゴールドディスク大賞を構成する主要な賞の選出基準を見ていこう。(公式サイトより抜粋)。

●アーティスト・オブ・ザ・イヤー
期間中に発売された作品の売上数字の合計が最も多いアーティスト1組
●ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー
期間中にデビューしたアーティストで、売上数字上位より10組
●ソング・オブ・ザ・イヤー
原則として期間中に発売されたシングルで、100万枚以上を売り上げたすべての作品。これが10作品に満たない場合は売上数字上位10位まで。
●ロック&ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤー
原則として期間中に発売されたアルバムで、100万枚以上を売り上げたすべての作品。これが20作品に満たない場合は売上数字上位20位まで。

ここまで読んでいただけたらもうお分かりかと思いますが、この賞の根本的な問題は、選出されるアーティストの数があまりに多すぎるということにある。10組20組ものアーティストを選出することにいったい何の意味があるのだろうか。100万枚以上の売上をあげたというのなら、まだ許せるところもある。だが、例えば2003年のように、ミリオンに達した作品がシングルで2作品というような状況で賞を与えることが、賞としての意味を成し、賞としてふさわしいとでも思っているのだろうか。だとしたらかなり愚かとしかいいようがない。また1位とか2位ならともかく、9位10位までをも選出することが、選出された当人にとっても、選出したものにとっても、様々な観点から見てさして利があるとは思えない。特に「ロック&〜」に関しては何と20組。もうアホとしかいいようがない。どんなに妥協しても上位3位までにとどめておくべきであろう。しかし、「アホ」なのは何もこれだけではない。Aの要素も@に負けず劣らずのアホさ加減を見せている。これは「アーティスト〜」「ニューアーティスト〜」という、まさにゴールドディスク大賞の根幹を成す2つの賞が大いに関わってくる問題である。このことに関しては次回に。





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