File84 輸入権について@


日本の音楽業界がCCCDを本格的に導入から幾年もたっていないにも関わらず、これに匹敵する愚考を犯そうとしている、どころか既に文化庁の諮問機関である文化審議会の小委員会でそれが既に了承されたとの事。今年国会の審議にかけられ、恐らく法制化が認められる流れになることだろう。その愚行とは、「レコード輸入権」の導入である。
輸入権とは簡単に説明すると、レコードの輸入に関する許諾件をレコード会社に与えるということだ。これが認められるということは、物価の差の関係で日本国内盤の作品価格より遥かに安い値段で売られている「日本のCD」が日本に入ってくるのを防ぐことのみならず、対象を「日本の作品」に限定することは不可能なので、例えばソニーやビクターといった、海外にもあるレコード会社が多々契約している海外アーティストの現地版のCDの日本への輸出を、日本にある同一会社が規制するというおかしな事態も起こりうるということだ。
わかりやすい事例で言うと、例えばビートルズやクイーンの未発表曲を収録した「新譜」とか「ベストアルバム」が出た場合に、現地版のものの輸入を止めたり、または、中国とか東南アジアで売られている宇多田のアルバムとかの輸入を止めたりすることを日本のレコード会社に認めるということである。ちなみに輸入禁止には期間が定めれており、その期間はなんと5年にもなるという。また、輸入盤に「輸入権料」なるものを課すこともできるようになるということだ。

この制度の導入を積極的に訴えてきたメーカー側の言い分としては、
@法規制は「知的財産立国を目指す政府の方針に合致する」
A法規制によって「諸外国における正規版の流通を拡大し、海賊版の撲滅と著作権意識の向上により音楽産業の振興につながる」
B国内においても、著作者(作詞/作曲家など)、実演家(歌手/演奏家等)及びレコード製作者(レコード会社)による健全な音楽創造サイクルが維持されることにより、多様な音楽を国民に提供していくことが可能となる。

がその主なものであると推測される。

しかし、メーカ側のこうした言い分ははっきりいって明らかにおかしいというか、汚い言葉でいうと「頭ぼけてんじゃないの」「何たわごと言っているの」としか思えない。

@に関しては、真に「知的財産立国」を目指すのであれば、世界に通用するに足る優れた音楽作品を作り出し、それらの販売促進することによる文化の発展や利潤の獲得こそが、最もとるべき道であろう。海賊版ならいざ知らず、正規のライセンスを得ている洋盤CDや海外盤日本のCDの輸入の規制が、何故「知的財産立国」を目指す政府の方針と一致するのか全く意味がわからない。

Aに関しても同様どころかさらに意味がわからない。メーカ側の言い分としては、日本のレコード会社としては、「安いCD等の還流する(輸入される)状況が拡大するのを恐れて、海外の事業者に対して邦盤CD等の製造販売の許諾を躊躇することから、こうした制度のないことが、海外への積極的な進出の妨げになっている」となっているが、日本に輸入されるCDの規制が何故に「諸外国における正規版の流通〜」云々のくだりにつながるか全く理解しかねる。先ほども記したが、ライセンスを得ている商品である限り、売上げの一部は利益として還元される。仮に逆輸入のCDが日本で売れても儲けにはなる。よってそれが「海外の事業者に対して邦盤CD等の製造販売の許諾を躊躇する」につながるのか、個人的に理解しかねる。

Bに関してもかなり疑問がある。海賊版ならいざ知らず、洋盤や海外の日本のCDであってもメーカーが作った正規の商品であれば、著作者に正当な著作権料が入ってくる。日本で売れるのと日本より物価が低い国で売れるのとでは、利益に差が出るのは当然であるが、それでも利益がでていることには変わりない。よって、アーティストの権利は侵害されているとはいえない。

そもそもこうした「輸入権」なるものが審議され導入が決まったことすら知っている人は少ないと思う。少なくとも個人的にニュースや読んでいる新聞でこのことを取り上げているものをみたことがない。このサイトの掲示板で書き込みされた意見を見て初めて存在を知ったくらいだ。しかし、知らないといって放っておくには、この「輸入権」は音楽作品に親しむものにとってあまりに問題と不利益とが多すぎるトンでもないシロモノである。上記にも少し問題を記したが、次回はさらに突っ込んだ話をしていく。





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