File76 コピーコントロールCDは音楽業界を救うかD


以前は、実際のデータに関して話をしてきた。そのデータが、メーカー側が述べる実情に合致しているのかについては、絶対とはいえないものの、疑問があると記した。
しかし、一番重要な売上げに関するデータはついぞ見つけられなかったのだが、レコード会社側が述べる「売上げが減っている」という主張は、前回に提示した疑問を差し引いても、それなりの事実の一端を示していることには間違いないだろう。ただし、このことに関しては、もう少し詳細な検証が必要である。それがレンタル屋の存在と個人のCD複製の実態である。今回は前者に関するお話。

メーカーの主張ではCDからCDへのデジタル複製が、レコード会社やアーティストが本来得てしかるべき利益を侵害している、ということだ。だが、言うまでもないことですが、CDをコピーするためにはコピー元となる音源、つまりは本製品の存在がなければ不可能である。
日本レコード協会の報告書「音楽コンテンツ個人録音及びそれに関わるCD−Rなどの利用実態調査」(2002年 9月:調査期間はこの時から過去半年さかのぼる)によると、音楽ソフトの購入率・利用率・入手率に関しては、「新品CD購入(53%)」「レンタルCD利用(40%)」、「友人・知人に借りた(29%)」「中古CD購入(17%)」という結果になった。
まず面白いことに、CDの新品購入が半数以上を示している点が興味深い。通常ならレンタル利用が一番になると考えるところだが、実は新品購入。これにはいろいろ理由が考えられるが、一つはカーステレオなどを始め外で利用したり、人にコピーしたCDをあげたりするために、音源となるCDを自ら買うから、と推測できよう。

音源CD入手もとのかなりの部分を占めているレンタル業界についてはどうだろうか。

レコード会社側の「CDの複製によって売上げが落ちている」という説が正しいとした場合、複製するために必要な存在となるレンタル屋が「それなりに繁盛していなければならない」という仮説を立てることが出来るのではないだろうか。では実情はどうだろうか。

レンタル屋の数は1989年をピークに2003年までの間に44%も減少した。ここ10年以上開店数より閉店数の方が遥かに多い状況になっている。2002年から2003年にかけては、開店数・閉店数ともに大幅に減っているが、特に閉店数が減っていることに関しては、恐らくDVDレンタルの隆盛であり(前年比96.8%増)、CDレンタルが盛んになったからではないと推測される(総在庫2.4%減)。CD売り場面積に関しては、ほぼ横ばい。しかし、店頭CDの在庫に関しては、97年をピークに減少し続けている。アルバムはほぼ横ばいだが、シングルの減少は著しく、1997年のシングル在庫数と比べ65%も減少している。

残念ながらレンタルに関するデータに関しても、一番肝心な売上げや貸し出し総枚数のものは見つけることが出来なかった。ただし今まで述べた状況から、複製元となるCDのレンタルによって恩恵を受けそうなレンタル業界は、実はそう恵まれた状況ではない、ということができよう。

次は中古CDの購入について考えていく。
ブックオフやゲオを始めとした中古市場は、レコード会社や販売店から眼の敵のような存在になっているが、実情はどうなのだろうか。上記に記したように、複製手段としての利用のために中古CDを買った人は全体の17%。この数字を多いと捉えるか少ないと捉えるかは難しいところがある。しかし、調査対象となった人々に対する、「欲しいCDが同じ店で新品と中古であった場合の購入意向」調査では、「新品のCDを買おうと思う」(35%)、「中古のCDを買おうと思う」(15%)という結果に。実際に中古CDを買った人でも、後者は(26%)という結果に。また、今回の調査対象は1000人なのだが、調査期間の半年で「新品CD」と同じ数かそれ以上の枚数の「中古CD」を購入した人は、約9%にすぎなかった。

ただし、今までの話はシングル・アルバム両方を含んだ話であり、シングルのみで考えるとだいぶ事情は変わってくる。シングル複製の音源確保手段に関しては、「新品CDを購入」(21%)であり、「レンタル利用」(29%)を下回る。枚数での換算にし平均化すると、新品購入が2.6枚、中古購入が4枚、レンタルが14.4枚になり、レンタルの比率が圧倒的に上回る結果に。

ここでの結論を述べたいところですが、あえて述べず、次回「個人のCD複製の実態」を記してから総論的にまとめてします。





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