File75 コピーコントロールCDは音楽業界を救うかC


今回からは、CCCDを導入する企業側の言い分とその正当性がどこまであるのかについて記していく。下記は、大手レコード会社の公式サイトで、CCCDを導入した理由について書かれた部分を抜粋したものである。

・東芝EMI
デジタル技術の急速な発達や普及に伴い、過度なCD-Rへのコピー、及びインターネット上での音楽ファイルの違法な配信・交換などによる被害が音楽産業の将来を脅かすようになってきました。当社では、違法コピーや、違法なファイル交換などを防止することで、作詞家・作曲家・アーティストやレコード製作者等の権利が守られ、それが音楽文化の「創造のサイクル」の維持につながることをご理解いただこうと、当社より発売する作品へのコピーコントロール技術採用を進めています。

・ビクター
弊社は、文化創造という社会責任の一端を担う立場から、権利者(アーティスト、作詞・作曲者等)の権利を保護することにより、新たな音楽の創造に再投資をし続けるという、潤滑な「音楽創造のサイクル」を維持していくことがその責務であると考えています。パソコンを経由したCD-Rへの過度の複製行為や、明らかな著作権侵害である音楽ファイルのネットワークへのアップロード(=送信可能化の状態にする)行為などは、ここ数年急速に普及し、今も確実に存在しています。レコード会社が発売する正規CDを購入しなくとも、場合によっては違法に作成されたコピーを入手し、所有する事が出来るというこの事態は、先の潤滑な「音楽創造のサイクル」が崩壊しかねないという強い危機感を抱いております。
弊社は、その事態を回避する手段として、コピーコントロールCD(CCCD)を採用するに至りました。

・エイベックス
音楽を通じてお客様に夢や感動をお届けし続けることで、お客様が永続的に音楽を楽しむことが出来る・・・それが私達の永遠の使命であり、企業テーマであります。その原点に立ち返って今後もお客様に愛され支持される音楽創造活動に全力で努めて参ります

現在インターネット上では、違法な音楽ファイルの交換・共有が増えています。また、中古店からCDを購入し、CD-Rに複製後また中古店にCDを販売するといった方法で、法律で許された使用範囲を逸脱している疑いのあるCD-Rへの複製も急増しています。また、当社の善良なお客様がご自身で認知しないまま、ナップスターに代表されるようなファイル交換(いわゆるPeer-to-Peer)による違法行為を犯している(送信可能化権の侵害)可能性も懸念されます。これらの行為は、作詞・作曲家、実演家(アーティスト)、レコード製作者等音楽産業に関わるすべての人達の生活を脅かすことになります。その結果、新しい楽曲も、新しいアーティストも、この世に生まれなくなってしまうことになりかねないのです。 CDが開発されてから21年以上が経ちました。その間、パソコンを代表するようにデジタル技術は目覚ましい進化を遂げ、私たちに便利さを提供してくれています。ところがCDの開発当時は現代のようなデジタル時代が来ることは全く想像もされておらず、そのためCDはその規格自体がデジタルコピーに対して全くの無防備でした。その結果、CDの違法利用がこれほどまでに増えてしまったのです。 違法利用をなくし、健全な音楽文化を守るために、当社はCDからハードディスクへのコピーを阻止することが現状での最善策と捉え、コピーをコントロールするCDを発売するものです。

以上を見ると、いくつかのポイントに絞ることができよう。
@著作者の権利を守る。A音楽市場の崩壊を防ぎ、音楽文化を守る。BCD−Rへの複製を違法であり、アーティストに対する権利侵害であり、音楽生活者の生活を脅かしていると断じている。
ただ、何だかんだといろんな言葉でいいつつも、本音の部分は、「CDの不正コピーにより売上げが下がったから、何とかしたい」ということに間違いないだろう。
しかし、こういったレコード会社サイドの主張は本当に正しいのだろうか。その前にここまでに至る流れを振り返ることにしよう。

経済的にはバブルが完全崩壊していた1993年であるが、この年から1998年まで、CDの総生産枚数・総生産金額・ミリオンセラーの数は、概ね右上がりの成長を遂げる。最盛期の1998年は、総生産枚数4億8千200万枚・6千億円の総生産金額・28作のアルバムミリオン・20作のシングルミリオンと史上空前の繁栄を記録する。しかしこの年を境に1999・2000年と緩やかに減っていき、2001年・2002年と急激に減少する。CCCDが導入された2002年には総生産枚数3億4千234万枚と1億4千万枚減り、4421億円の総生産額と1600億円減少する。ミリオンセラーはアルバム15作・シングル1作と共に大幅な減少。
何故こういった数値をあげたかというと、レコード会社がお題目としている売上げ減が、必ずしもいえないということを記したかったからである。総生産枚数や総生産金額が減っているので、ある意味売上げが減少するのは当然のことだ。極端な話し、1998年の総生産枚数のうち8割が売れ、売上げ枚数約3億8千万枚になると仮定した場合、2002年の総生産枚数すべてが仮に売れたとしても、そもそも勝てない。売上げの率としては増えているのにも関わらずにだ。CCCD「売上げが落ちている」というレコード会社の言い分は、総生産枚数がコピー防止CDが導入される前の1999年から既に減少しているという事実を考慮すると、必ずしも正しいわけではない、ということがわかる。単に数値だけを見ているだけでは真実は見えてこない。単に「売上げが減っている」という言葉と統計上での数値にだまされてはいけない。数値同士の厳密な比較と、数値が持つ意味を考えることで、初めて実態というものが見えてくるからだ。
では、ここからが本題になるのだが、CCCDが導入されてから1年目の2002年と2年目となった2003年を比較してみよう。2003年は、総生産枚数3億2千838万枚、総生産金額3997億円。対前年比で4%の低下である。もう少し見てみると、邦楽に関しては、12cmシングル・アルバム共に既に、対前年90%となった。
一方ミリオンセラーに関しては、アルバム9作・シングル3作とアルバム減・シングル増という結果に。

宇多田・矢井田ら一部の大物を除き、主要大手がCCCDをかなりの多くのアーティストに使用しているという現実を考えると、「通常CDが不正コピーされるが故に売上げが減っている」「売上げ減に対処するためにCCCDを導入した」というそもそものお題目が、必ずしも成り立っているとは言い切れない、ということが、上記様々な統計結果よりご理解いただけたと思う。ただし、これで結論付けるにはまだ早いと言える。所詮これも物事の側面を一面的に見ただけであるからだ。
そこで次回は、CCCDの問題と切っても切れない「レンタル屋」のことと、CDコピーの実態について、日本レコード協会の資料を参考にしつつ述べていく。

追記:適当にすまそうと思ったこの問題、いざやってみるとトンでもなく話が大きくなってきた。ひょっとしたら過去最高の大作になるかもしれない・・・。長々とした駄文でまことにすいませんが、お付き合いの程よろしくお願いします。





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