File73 コピーコントロールCDは音楽業界を救うかA


今回は前回からの続きで、CCCDの音質に関する問題である2つ目の要素、「パソコン上における圧縮音源ファイル」について記していく。

CCCDをパソコンで再生させたときに我々が耳にするものは、音響機器によって再生される音源ではなく、WindowsOSで動作する圧縮音源再生ソフトウェアによって再生される圧縮音源であることは、周知のことでしょう。だがこのことは、あまりに問題が多すぎるとしか言いようがないシロモノである。
ここで大手であるエイベックス(http://www.avexnet.or.jp/cccd/)と東芝の公式サイト(http://www.toshiba-emi.co.jp/cccd/saisei.htm)とソニーの公式サイトにおける、CCCDのパソコンでの再生に関する説明を見ていただこう。ちょっと見づらいですが・・・。

・エイベックス
■ HDDレコーダー、CD-Rレコーダー等CD-ROMドライブを利用したプレーヤーでは再生に不具合を生じる可能性があります。
■ WindowsパソコンのCD-ROMドライブではオーディオトラックを再生できません。ただし、パソコン上で起動する音楽再生専用のアプリケーションが含まれておりますので、これによりエクストラトラックに収録された楽曲を再生して楽しむことができますが、すべてのパソコンで再生できることを保証するものではありません。(エクストラトラックにもオーディオトラックと同じ曲数が収録されております)
■ Macintoshでは再生できません。

・東芝EMI   免責事項
コピーコントロールCDには、WindowsOSで動作する圧縮音源再生ソフトウェアが収録されておりますが、これはWindowsOSを搭載したパーソナルコンピュータすべてで動作することを保証するものではありません。また、WindowsOS、Macintoshを問わず、このCDをCD-ROMドライブに導入したことによる運用およびその結果に関しては、お客様ご自身の責任で行ってください。その結果、データならびにハードウェアへの損害が生じたとしても、弊社では一切補償しません。

パソコンでの再生は、CDに収録されている専用プレーヤソフトでお楽しみください。なお、再生されるのは、パソコン専用の圧縮ファイルです。確認されている動作環境は次の通りです。
対応ハード CPU:Pentium(または互換プロセッサ)233MHz以上
メモリ:64MB以上、CD-ROMドライブ、サウンドカード、スピーカ等
対 応OS Windows 98SE/Me/NT4(SP5以降)/2000/XP

・ソニー
【パソコン機器での複製・再生に必要な動作環境について】
対応OS:Windows 98SE、Windows ME、Windows 2000 ServicePack2、 Windows XP Home Edition/ Professional(DirectXバージョン8.0以降)
対応ハードウエア :CPU:MMX Pentium 233 MHz以上 メモリ:64 MB以上 ハードディスクの空き容量:50MB以上
※ 使用しているOSのバージョンによっては、50MB以上使用する場合があります。また、曲データを保存するための領域が1曲あたり5MB程度さらに必要になります。
ディスプレイ:800x480以上 High Color(16bit)以上
その他の環境:Webブラウザ:Internet Explorer のバージョン5.0a以降
通信環境:28.8kbps以上の通信速度を推奨
* ■専用プレーヤソフトは削除することができます。詳しくはこちらをご覧下さい。* Macintosh には対応しておりません。

もうお分かりかと思いますが、圧縮音源再生ソフトの致命的欠点は、まず、Windowsにしか対応しておらず、マッキントッシュでは再生できないということである。さらにWindowsであったとしても、上記東芝の免責事項にあるように、必ずしも再生が保障されているわけではない。あまつさえ「運用及びその結果に関しては、お客様自身の責任で行ってください」と書いてある。商品として、こんな但し書きの存在が許されることが、そもそもの問題であり疑問でもある。
ただ、私が主として言いたいことはこのことではない。あくまで音質の問題である。

圧縮音源の音質に関するデータ(パソコン批評 2003年8月号参照)は47kbps。これが現状で最も使用されているものである。最近はBOAの新譜などにおいて128kbpsのものも出てきたが、理論値としてこのレベルで「CDには劣るがCDに近い音質」ということになっている。
だが、半分以下に過ぎない前者の場合、コンポやラジカセで聞く人間と同様の購入料金やレンタル料金を払った対価として、この程度の音質ではあまりに不平等である。仮にほぼ同質であるとする後者の場合でも、上記で述べた様々な問題を考えると、ありがたいと言えるものではない。うっかりドライブ壊れてしまったりしたら、泣くに泣けないだろう。
だがCCCDを導入しているメーカーが完全に欠落しているのは、世におけるパソコンの重要性・利便性・必要性に対する認識である。
Windows95や98が売れる以前の時代ならいざ知らず、今日において、会社はともかく、家庭において、パソコンをただのビジネスのための文書作成や表計算を行うためだけに用いている人は、殆どいないといっていいだろう。そうじゃなければパソコンそのものを根本的に使用できない人しかいないとすら感じる。もはやパソコンは、文書作成や表計算以上に、動画・静止画編集、テレビの閲覧や録画、CDやDVDの利用といった複合家電の役割を果たしている。このことに疑問の余地はないだろう。パソコンでのCD試聴は、もはや当然のことといってもよい。にもかかわらずこの現実を無視し、パソコンでのCD視聴に関し、著しい制約とそれによる不利益とをCCCDおよび、それを採用している企業は聞き手に強制している。ただでさえ、パソコンに別買いのアンプやスピーカーをつけている人は少ないだろうし、そうであったとしても、まだまだ一定以上の値段のコンポには音質で勝つことが出来ないだろう。にも関わらず、明らかにCD音源より音質の悪い圧縮音源を無理やり聞かせるとは・・・。
今後、音質にこだわる人こだわらない人関係なく、コンポやCDラジカセを介せず、パソコンのみで音楽を聞こうとする人が、パソコンの所有台数の増加と共に増加していくことは確実だろう。私も夜中に、サイトを更新しつつパソコンでCDを聞くことが多々ある。
ソニーや東芝などは、「マルティメディア」とか「臨場感溢れる音」とか「AV機能の強化」とかいい、パソコンを売りにしていることから、このことに関しても失笑以外の何者でもない。





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