File62 紅白歌合戦私論@


今回から紅白歌合戦について述べていく。
本音を言えば、紅白には全く関心がありません。このサイトを見てくださっている方からご依頼があり、紅白関連のことをこの場で記すことにはなっていたものの、なかなかに文面を進めれずにいたのですが・・・。倉木麻衣が紅白に出場すると決まってから俄然やる気が出てまいりました。ということで始めます。

紅白以外の番組をまとめて「裏番組」という言葉があるように、落ちぶれた今をおいても、紅白は大晦日における最も歴史と権威を有した番組、という認識が一般的にあるといえる。その度合たるや、かつてにおいては尋常ならざるものがあった。
今では考えられないことであるが、毎年紅白の前にやっている名場面集を見ればわかるように、かつては、紅白に出場することはアーティストにとって最大の目的のひとつであり、最高の栄誉でもあった。紅白に出場することがアーティストとしての最高のステータスのひとつであり、自分という存在が世間に認められた証でもあったのだ。それを証明するように、出場が決まって感涙にむせぶ者、演奏中に感極まって泣き出すもの(たぶん一番新しいのは安室奈美恵が「CAN YOU CELEBRATE?」を歌ったときか。意味合いは違うけど。)も決して少なくなかった。
また、出演したいという数多くのアーティストから、NHKが自社の利益や権威付けのために即したアーティストを意図的に選んでいたきらいがある。今でこそ茶髪金髪お構いなしであるが、かつては、名前を忘れてしまったのだが「長髪」ということを理由に出場を拒否されたアーティストがいたくらいだ。それほどまでに紅白が持つ力というものが凄かったということであろう。それを実証するように、試聴率においても50%どころではなく、70%、80%ととんでもない数値をたたき出していた。また、浅田美代子やおニャン子クラブ、うしろ指さされ組などが歌唱力や歌詞の内容などを理由に出場できなかったし、観月ありさ、内田有紀などはヒット曲があったものの、民放ドラマとの結びつきが強いという政治的理由で選出されなかったという話もあるくらいだ。(民放の年末特別音楽番組には出場している。)。(*注釈1)
この高い視聴率を背景にした、買い手市場ともいえる厳しいアーティスト選出が、高い視聴率を支え、それが厳しい選出を為しえる要因となる。この循環が紅白を大晦日最強番組として君臨する礎となったと私は分析する。
紅白が磐石を誇った他の理由として、対抗番組がなかったこともあげることができる。レコード大賞という存在が後に出てくるものの(レコード大賞は紅白が始まってから8年後の1959年に始まった)、賞を与えるのをメインとしているこの番組とは趣向が違うことと、レコード大賞に出演するアーティストが結局紅白にも出るということもあり、視聴率の数値を見ている限りでは影響はなかった。紅白のそのあまりの強さを前に、民放各局は「細々と俗な裏番組」をやるという構図が、お約束となった。
圧倒的強さを誇っていた紅白の最大の功績であり美点は、紅白の有する圧倒的強さを武器に、少数の例外やいくつかの問題はあるものの、その時代時代の優れたアーティストや人気のアーティストを出場させていたことにある。それらアーティストが作り出す舞台は、まさに夢の競演というにふさわしいものであるといっても間違いではないだろう。また、紅白ならではの演出、そのときだけの紅白合同ユニットとか、曲の提供者と歌い手とが一緒に歌うとかの特別企画も紅白ならではの魅力であった。日常的に音楽番組を見ていなくても、当年話題になったアーティストや人気アーティストが一同に介すこの番組さえ見れば、とりあえずはその年の音楽シーンのアーティストをつかめるという点だけにおいても、紅白歌合戦が果たしてきた功績は大きなものがあるといえよう。しかし、圧倒的な強さを誇っていたその牙城が崩れるときが訪れる。
紅白は1962〜1985年の間は、1969年・82年・85年の60%代を除き、すべて70%・80%という数値をたたき出してた。しかし、1986年の第37回において59.4%と突如として落ち込む(*注釈2)。その後は一度として60%に達したことはなく、二部制が導入された1989年には初の30%代を記録。それ以降は30%後半から50%前半の間を行き来している状態になってしまう。(1998年の2部の57.2%がここ10年で最高の数値となっている。)。
この凋落の要因は、数多くあるだろう。民放の裏番組の充実もあろうが、文化的要因や音楽業界の変化といったことも大きな要因として考えられる。次回ではその要因のうち、音楽的要因に関わる私なりの見解を示していきたい。

(*注釈1)ここに記した「紅白に選出しなかった理由」などに関しては、北脇様運営の紅白歌合戦の情報・評論サイトである「Red and White Song Festival」の雑記、「出場しなかった歌手」などから引用しました。管理人様から了承を頂いてます。

(*注釈2) ここに記した視聴率に関しては、ビデオリサーチ参照。ただし、数値については関東地方のものになります。







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