File56 歌姫たちの受難〜その明暗を分析するB


長期連載になりますが、もう少しご辛抱いただけますようお願い申し上げます。
GIZA作品の明暗を分けた重要な要素として、今まで述べてきたことに加え、欠かしてはならないことは、「アルバムオリジナル曲の曲数、そして完成度」である。
今回どちらともないしは、片方の要素で低評価になったアーティスト、倉木・三枝・岸本に関しては、すでに@の項目で述べたように、製作期間の少なさからか、アルバムオリジナル曲が少なく、シングルカップリングが多いという作りこみの甘さがあります。特に倉木・岸本に関しては度を過ぎているきらいがあります。また、北原・愛内は、シングル・カップリングだらけの作品というわけではないのですが、アルバムオリジナル曲のとりまく状況の、曲の質の低さ関しては、上記アーティストと根本的なところは変わらないと感じます。内容は以前のものと重複するところがありますが、もう少しこのことを見ていきましょう。

アルバムオリジナル曲の曲数如何にかかわらず、提示された曲の完成度が高かったり、アルバムの全体的なバランスや概念を考慮した上で非常に優れたものであったりするのであれば、あえてこの項目を設けて語る必要はないでしょう。しかし、実際は、岡本・金子が奮闘したものの、加藤・村田両名の駄作に見舞われた岸本以下、倉木・三枝・北原・愛内に関して、ことごとくこれら問題から逃れられていないことに、この問題の深刻さとこの問題を語らざるを得ない事情があるといえます。
結局はアルバムオリジナルが少ないか、そもそもそれらのレベルがシングルに匹敵できるだけの魅力がないか、その両方ないしは、そのどちらかにおいて引っかかるが故に、総じて評価が高くならない。
同じくシングル曲ないしはカップリング曲が多い、という上記作品らと同じ構成になっているガーネットクロウ・小松未歩・菅崎茜らがそうはならなかったのは〜今まで述べてきた多くの理由とも重複しますが〜、収録されている曲のレベルがそもそも高いこと(ただし、ガーネットはアルバムオリジナル曲の方がシングルより明らかにレベルが高いという別の問題はあるのだが、ここでは述べない。)。そして曲を通じ、アルバム全体としての作品性や世界観というものをきちんと提示していることにあるといえる。特に小松未歩は、アルバム曲・シングル曲といったことまったく関係なしに、アルバムを聞いたときに、まるでそこに収録されることが当初から決まっていたかのごとく、見事にはまっているのはすごい。
最近のアーティストのほとんどは、シングル曲以外にさして聞かせる曲を提示できないままでいるが、ガーネットクロウ・小松未歩・菅崎の3者に関しては、そのこととまったくもって無縁であるといえる。
最後Eです。ある意味今まで述べてきたことと同じくらいか、それ以上の意味を私にとっては有しているといえよう。
ここまでにおいて、問題になる作品に関しさんざん述べてきたわけである。取り上げた問題は、それぞれに深刻であるが、やはり最も深刻と感じるのは「GIZAらしさメロディーのよさと声質の良さ」を生かしきれていないことにある。GIZAの強さとはなんだ?。歌い手の歌唱技術よりも声質の魅力であり、楽曲の個性よりも楽曲のメロディーの魅力と完成度の安定感である。しかし、そのGIZAの強さをまざまざと見せ付けられたのは菅崎・小松のみ。違う次元にいってしまっているガーネットクロウ及び、自作をしているタンバリンズは別にして、後は岸本と倉木・三枝1stがその一端を少し見せていただけである。北原は歌唱の魅力があっただけであり、それ以外は散々。残りの愛内・三枝2ndに関しては、GIZAの美点や強みを感じさせるメロディー及び歌唱では到底ありえなかった。

今回低評価を下した作品は、音楽の完成度もさることながら、聞き手に感傷や哀愁といった感情、聞いていて楽しくなってくるかのような明るさなどなどを、聞いていて「これだよこれ」というように感じ取ることがなかったのが、何より致命的であったといえる。
完成度が低くても好きな作品(逆に完成度が高くても好きではない作品)というものが個人的にあるのだが、今回それに当てはまっていたのは岸本のみであり、残りの低評価の作品は、私にとって愛すべきそれではなかった。

くどくなったけど総括:
勝ち組負け組みという言葉はこの上なく嫌いなのだが、今年のGIZAのアーティストに関し、まさにこの言葉を使わざるを得ないほどにその明暗が分かれてしまったといえる。今まで記してきた問題は、まさにプロデュースというものをないがしろにしてきたことがもたらした必然の結果及び、製作陣の総レベル低下の結果であるといえる。長期的な視野と歌い手に対する配慮を欠いてきたことに他ならない。特に自作しなアーティストが、菅崎以外総じて崩れたのには、まさにこのことを証明している。反対に、最も成功したガーネットクロウと小松未歩に関しては、自分たちが何をやるべきかという確固たる思考とそれを実現可能にする音楽的技量とを持ち合わせており、さらに曲ときちんと向かい合う時間が十分にあったからであろう。昨年まではともかく、現時点では大野以外、突出した提供者(今年の川島の曲はことごとく失敗)がはっきりいっていない。この深刻な提供者問題を早急に解決しないと、もともと曲の完成度やメロディーを売りにしているGIZAに明るい未来はないだろう。それどこらかすでに売り上げ的には、ひょっとしたらエイベックス全盛期のビーイング時よりも低い水準になっているのではないだろうか。
それでもなお、私はGIZAを応援していきたい。ただ、応援するにたる優れたメロディーと歌い手がいる間、という条件がつくが・・・。

次回からガーネットクロウアルバム詳細評論に入ります。長期連載になりますがよろしくお願いします。







botan2.gif
他事争論過去一覧へ


botan1.gif
ホームへ