File55 歌姫たちの受難〜その明暗を分析するA


前回からの続きであります。今回は前回で述べた項目のB番、「大野以外の鍵となる人物の存在とそれらの曲のでき」のお話。ガーネットクロウや小松未歩・タンバリンズなどに関しても述べていかなければならないのですが、話が作曲しないアーティストにかなり集約してしまうことをご了承ください。
大野の存在の重要性と同じくらいこのことがポイントとなると考えている。大野は基本的にだめな曲を作るときもあるが、今のところ「大外し」としかいえないものはほとんどない。よって、大野が曲提供しているしていないにかかわらず、それ以外の人物たちの曲の出来が、そのアルバムを「良作」「名盤」たら占めるか、単なる「凡作」「駄作」たら占めるか、という点の最たる分かれ目であると、今回GIZAの一連の作品を聞いていて感じた次第。
両方で評価が高かった菅崎1st・三枝1stは、大野以外の作曲家、徳永・岡本・増田・中村・川島ら。一方私的評価がまずまずであった岸本は、金子・岡本らが実に奮闘したといえる。彼らの曲はだいたいにおいて、シングル曲としての圧倒的な魅力、というよりシングル曲間の繋ぎ・ないしは作品世界構築のための補足的存在として、輝きを放っていたといえる。
菅崎でいうなら「星に願いを」「ボーイフレンド」「Promises」「La La La」。三枝でいうなら「Graduation」。岸本でいうなら「カマワナイデ」「Reigning star」などがまさにこのことに当てはまるだろう。この辺のアルバム曲の製作並びにその出来に関しては、GIZAは今を持っても他社を寄せ付けないよさがある。
しかし、そのよさの反面、大野以外の第3者が「おおこけ」してしまった場合は、そのアルバムの出来はまさにどうしようもないものになってしまうことも、同時に証明してしまった。
両方ないしは片方で低評価になってしまった倉木4th・愛内3rd・三枝2nd・北原2nd・岸本1stはこのことを地で行くことに。若干多くの提供者から曲を与えられた三枝は、実力者である大野・川島も始め、徳永・小澤・三好・間島らおおよそすべての曲に、突出した魅力を感じなかったのが致命的。同様の倉木も、ミゲールとペリーの両名によって質を下げられたといえる(ただ、倉木の場合はDの条件の方が大きくかかわってくるが)。それ以外の3者に関しては、アルバムの大半の曲を手がけた「特定個人」によってまさに作品の質を下げられた。
北原は小澤、愛内は輝門、岸本は村田・加藤両名とアルバムの中で最も多く手がけた人物の曲が、水準レベルを満たしていなかったことが、アルバム評価に関し最も致命的要素となってしまったことは間違いないといえる。また、彼らの不出来さは楽曲レベルの問題のみならず、CとEの問題にも大きく影響を与えている。
まずC。Bの問題とも絡むのであるが、そもそも歌い手に即した製作人の割り振りが出来ているかということだ。それはそのままCの問題に直結する。つまりは、曲の提供者の技量の問題と合わせ、提供者と歌い手の相性との問題があるということだ。
この問題の最たる犠牲者となったのは北原であろう。速いテンポで巧みな活舌を身上とする小澤の曲は、「ラテン的要素を取り入れたポップソング」「一方哀愁漂うミドルテポの曲」をデビュー当初からのウリにしていた彼女に、まったくといっていいほどあっていない。それ故に、歌い手として北原の魅力というものを、これっぽっちも引き出していないとさえ感じてしまうのだ。また、意味合いは違えど、三枝もそうである。曲は北原ほどには酷くないし、もともと癖の少ない声質歌唱故か、多種多様な曲を与えられているが、彼女にはそれらすべてを、抜群の魅力を持って歌いこなすことができなかった。彼女の作品の場合、詳細レビューに記したように多くの問題を抱えているといえるが、このこともそのひとつとして考えることができよう。岸本の作品も、全曲とはいわないものの、「同じ世界」を始め、岸本の歌唱の実力を無視した曲の構成になっていることは否めない。そして愛内。彼女がデビュー時より持ち合わせていた、「はじけるような明るさや楽しさというものを内包したエンターテイメント性あふれるポップソング」、「それとはまったく対照的な劇的なメロディーを有したハードロックナンバー」、「聞き手に感傷を抱かせるバラード」、そのどれもを高いレベルで提示できたことにある。しかし、今作において、彼女が築いてきた栄光は残念ながら過去の産物になってしまったといえる。特に大野・川島の両曲で圧倒的な魅力してきた「哀愁」「劇的さ」といったものは、輝門をはじめとした製作陣によって総じて、レベルを大きく下げられた。従来の出来のよさがあったがゆえに、その凋落振りは個人的に到底容認できるものではなく、レビューの得点では、今年のGIZA作品の中で最も低いものとなった。
自作アーティストに関しては、さすがにこの点が問題となることはない。ガーネットクロウはシングル曲に関しては、いくばくかこの問題を感じたものの、アルバムオリジナル曲においては完璧であったといえる。タンバリンズはまったく問題なし。ラムジェもそうだ。GIZAの自作アーティストは、売り上げはともかく、力量においてはやはり優れたものがあるといえるだろう。

今回はここで終わり。次回項目DEを述べて終わりにしたい。







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