File52 GIZAアルバム詳細評論その5〜北原愛子


今回は「愛子様」こと北原愛子のアルバムレビュー。
私のサイトのいろいろな所で述べまくっておりますので、既にご承知の方も多いことでしょうが、私は北原愛子さんが大好きである。あのスレンダーな体に、つぶらな瞳から発せられる笑顔・節目がちな表情すべてが最高。「今もっとも美人と思う人は?」と聞かれたら、私はこのお方の名前を迷わず出すだろう。それぐらいに好きである。もちろん好きなのはそれだけではない。彼女の歌い手としての声質のよさと、それにもとづいた歌唱の魅力は、今のGIZAの女性ボーカルの中において、技量よりも声質重視という「ビーイング系列の伝統」を感じさせるものであると私は思う。既に出ているシングル曲がまずまずであり、その中でも「Grand blue」「虹色に光る海」の出来がかなりよかったことから、この作品に対する思いは並々ならぬものがあったのだが。
残念ながらその思いは無残に打ち砕かれたといえよう。

今作が駄作になった要因は数多くあるといえるが、やはり戦犯ともいうべき最大の責任を担っているのが、今回一番多くの曲を担当した小澤正純であることはまちがいないだろう。
今回彼が担当したのは、全11曲中1・4・6・8・9・10の6曲。4の「向日葵のように」もシングルとしてはイマイチだと感じるが、その曲と1曲目以外の曲は、聞いていて「がっくりさせられる」ものでしかなかった。
既にアルバムレビューでも書いているが、根本的な問題は、楽曲の質の低さもさることながら、ハードロックとユーロビット的サウンドの融合、及び単調で且つ早い歌回しの曲調が、根本的に愛子様にあっていないことである。これは、彼女の代表曲である「Grand〜」「虹色〜」を聞けばすぐにわかることである。基本的に北原は、前者のようなラテンポップスの要素を取り入れたアップテンポの曲や、後者のような哀愁漂う曲において、その声質と歌唱の魅力を最大限に発揮する(もちろん曲が抜群にいいことは言うまでもないが)。その点に関しては徳永の曲が一番彼女にあっていると感じる
小澤の、三枝に提供したシングル曲もいいとはいえないが、残念ながら北原に提供した曲らに比べるとずっとましだと感じる。
ただ、両曲ともに共通しているのが、曲そのものが歌い手との相性のよさを感じないこと。歌を聞いていて、曲を歌いこなしているというよりは、とりあえず曲を歌っているという感がいなめないのだ。かつてからくどいほど言っているが、小澤独特の特徴を有する曲を歌いこなせるのはPAMELAHのボーカルであった水原由貴だけである。小澤の曲を聴いていて、もっとも釈然としないのは、その現実を無視し、今でもPAMELAHの幻想を追っかけているのではと感じることだ。しかし、当然のことながら水原さんはいない。そして、非常に酷な言になるが、何より彼の作曲家としてのピークがPAMELAH時代で過ぎ去っている。事実、今年に入ってからというもの、突如として彼の露出が多くなっているが、大野・川島・徳永らと比べるとこれといった曲をだせていないのが現状であろう。今のGIZAにおいて、彼はあくまで編曲のみに専念すべきであると思うのだ。

話がだいぶそれたので元に戻そう。今作はほぼ、小澤氏の作曲能力のなさによって駄作にさせられたといえるが、今作の悪い点は他にもある。小澤氏の曲の悪さにばかり目がいってしましまいがちだが、それ以外の曲もお世辞でもいいとはいえない。久方ぶりの川島の曲は、妙に浮ついたラテン的な曲で、はっきりいって何の魅力も感じなかった。何故に川島が、自分の得意とする分野からかけ離れたよくわからん曲を作ったのか不明である。ラストの岡本の曲は、悪くはないのだけど、既に発売された菅崎茜に提供した曲と比べると明らかに劣る。GIZA製作陣大崩れの様相がもろに出たといえる。極論すると今作は、「シングルのみの魅力」か「1〜4曲目で完結」ということになってしまうのだ。この構成のまずさは、おそらく今年のGIZAの作品の中でもダントツワースト。ほぼ同程度の点をつけた岸本・愛内と比べても明らかに劣る。

アルバムレビューというものは、提示された音楽の完成度や歌唱や詩といったものに対してつけるべきものである。しかし、私はそういったものに加え、自分の「作品に対する思い」というものも、レビューの際の重要な要素として考える必要があるのではないかと思っている。この観点に立ったとき、北原の新作の出来は、今年のGIZAの作品の中でももっとも厳しいものになったといえるだろう。思いと結果との落差を身をもって感じさせられた今作は、現時点で200枚近くアルバムのレビューをやってきたなかで、レビューするのがもっとも辛い作品となってしまった。もともとGIZAの看板たるガーネットクロウと発売日を一緒にしたことからも、彼女に対するGIZAの冷遇さを感じてしまう。デビューからアルバムリリースまでの間隔の異常な長さも気になったし・・・。今後の彼女が非常に心配である。

次回は三枝夕夏。その次は、今年のGIZAのソロアーティストを総括する「歌姫たちの受難〜その明暗を分析する」(仮)をやった上で、本命のガーネットクロウをやっていきたいと思います。







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