File51 GIZAアルバム詳細評論その4〜菅崎茜


今回は菅崎茜です。
彼女の作品がでるまでに、GIZAリリースラッシュの第一弾として、倉木、小松、愛内、岸本らのアルバムが既に発表されていた。しかし、自作していて且つ絶対的な安定感を見せ付けた小松、作品の完成度とは違った面での課題が目立った岸本(曲はまだましだったので)は別として、GIZAの看板たる倉木・愛内の作品の出来の悪さは、個人的に到底容認できるものではなかった。北原・三枝らのシングルのできの悪さからも、GIZAの楽曲製作陣に対する不信がこの上なくつもりにつもったさなか、たいした話題性もないままに本作が発表された。しかし、間隔の空きすぎたシングル販売、また、アルバムの発表に関し散々の紆余曲折を経たこともあり、正直なところ、今作に対しまったく持って期待していなかったのであるが・・・。
だが、実際に届けられた作品は、自分の予想を遥かに超えた非常に優れた作品であった。

まず、大野愛果作曲曲のみならず、徳永・岡本・増田ら各氏が提供する曲のできが非常によかったことである。ここ最近のGIZAの作曲しないアーティストの作品は、倉木・愛内の作品に見られるように、曲の出来のよしあしのムラがあることもさることながら、GIZAらしいメロディーの王道というものを感じないことが、個人的に作品を好きになれない最たる要因であるといえる。
しかし、今作は既にある程度の評価を得ていたシングル曲以外にも、煌びやかでかつ甘い魅力を感じるメロディーが印象的な1曲目。強烈な印象とは無縁ながらも、しみじみと且つもの悲しさを巧みに演出する3曲目。退廃的な雰囲気とそれに反する畳み掛ける展開が秀逸な6曲目。極上のメロディーと中近東的な旋律を取り入れた中間奏が、聞き手の感情をたくみに引き込んでいく8曲目。切なさと劇的な展開が見事に融合した9曲目。少しのさわやかさと哀愁を込めたメロディーがしみじみとした魅力を放つ10曲目。軽快でありつつもこれまた悲しみを誘うメロディーがすばらしい11曲目。などなど聞き所が非常に満載であり、聞き手を引き込む。

だが、作曲陣の提供する優れた曲以上に賞賛すべきは菅崎茜の歌唱である。
彼女くらいの年齢だとどうしても、「若さ」「かわいさ」「はじける魅力」「甘さ」といったローティーンの少女に如何にも付与されがちな偏見により、過大に評価されがちである。だが、菅崎は「経験のなさによる技術面の甘さ」が若干あるものの、それ以外のことに関しては、年の若さを強調する必要性がないぐらいに、彼女の歌い手としての資質は優れたものがある。
声音を多彩に使いわけつ、多種多様な曲を歌いこなす技術、大野の作る極上バラード曲をはじめ、もの悲しさを演出する曲において、圧倒的な凄みを見せる表現力と声質のよさ。それら彼女の有する魅力と資質は、既に第一線級であるとさえ私は思う。この点においては、事務所仲間の滴草や倉木、三枝といった歌い手よりもかなり上であり、川島や愛内や中村に匹敵できるものであろう。
今作を通じ、「他社にまね出来ない上質のメロディーを、上質な声質を有する歌い手に歌わせることにより、曲の最たる魅力を引き出し、提示する」というビーイングやGIZAがもっとも強みとしており、自分にとって非常に愛すべきものであるといえる美点を再び、しかも強い形で思い出させてくれた。今年のGIZAに対するマイナス評価や不信に対し、そのかなりの部分を払拭してくれた会心の作品であるといってよいだろう。これは本当にうれしく思う。

今回、デビューアルバムに90点という高得点をつけた。基本的に私はデビューアルバムに関しては、様子見の意味もかねてあまり高得点をつけないようにしているのだが、これだけのレベルを見せつけられてしまっては、さすがにそれは無理である。過去ビーイング系列のソロアーティストで、この90点を超えたのは、倉木麻衣だけである。他社のアーティストやグループアーティストを含めても、この点を超えたのはわずか10組程度しかいない。私はそれほどまでに今作を評価している。しかし、これに満足せずに、歌に磨きをかけてほしい。それと曲の提供者たちは、今後「菅崎ならではの絶対性」を感じさせる曲を作ってほしい。

作品として文句なしによかったのだが、唯一にして最大の不満は、その優れた作品たる今作を売り出そうとする姿勢が、GIZAにまったく感じられなかったことだ。これは本当に不思議である。今作のようないい作品を積極的に売り出さないで、いったい何を売るというのだろうか。事実売り上げの結果は惨憺たるものとなってしまった。この作品より明らかに劣るにもかかわらず、何倍何十倍と売れている作品のなんと多いことか。この作品を聞いていて出来のよさに喜びつつも、それと同時にどうしても悲しみがこみ上げてしまうのだ。

次回は北原愛子です。







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