File47 GIZAアルバム詳細評論その1〜岸本早未


今月から来月にかけての他事争論は、下半期大量に販売され続けているGIZAの各作品について詳細レビューをしていきたいと思います。第1弾はその先駆けである岸本早未(倉木は既にやっているので省略)です。

この作品、アルバムレビューにおいてはかなりの酷評ですが、音楽的見地を除くと結構好きな作品である。今年のGIZAの被作曲アーティストに関しては、菅崎の「begening」、三枝の「Secret & Lies」に続く良作であると思っている(点数と好き嫌いとは別です)。今回、パソコンがない時期に結構聞いたのですが、菅崎の1stほどではないにしろ、GIZAならではのよさというものを感じる。大野は当然として、金子と岡本の両名が非常にいい仕事をしていたことにあるといえよう。金子作曲の「カマワナイデ」、岡本作曲の「reigning star」は、GIZAの一番のよさである「哀愁漂うメロディー」が、非常によくでていた。それのみならず未熟ながらも岸本の声質の魅力を最も引き出していたと。この両名の曲すべてを支持する、というわけでないが両者の存在はなかなかに侮れないものがある。岡本は菅崎茜の「ボーインフレンド」という良曲も手がけたこともあり、アルバム収録のメイン曲やシングル曲以外の、それらを補足する良曲の作り手としてもはや欠かせない存在になっているとさえ感じる。
また、シングル曲では、ありきたりな感が否めなかったAZUKI七の詩もなかなかに冴え渡っていたといえる。深遠さや高尚さ、無常観や心的悲しみを扱ったガーネットクロウの詩とはまた違った、人間の心的な葛藤〜特に限定された人間関係におけるそれ〜が伝わってきたことは、今作の大きな収穫である。
しかし、アルバムレビューにも記載しているが、上記のGIZAならではの美点と同時に、今のGIZAアーティストが抱えている問題も如実に示された作品である。まずは、岸本の歌唱力のなさである。上記作曲人たちの作る良曲を本人の有する声質の魅力のみをもってしか歌えていないことである。音程の不安定さや終始気になる高音域での未熟さは、残念ながら曲の魅力のすべてを引き出せているとはいえない。せめて標準レベルの技量があれば、これらの楽曲はさらなる良曲として聞こえたことは間違いないだろう。
そして、今のGIZAの抱える最大の問題の一つ、作曲陣営の人材不足・力量不足である。今作に限定して言うと、一番多くの作曲を手がけた加藤・村田の両名の存在である。(何故にいつも二人共作なのでしょうね。不思議です)。
彼らの曲すべてが悪い、というわけではないものの、「同じ世界で」「OPEN YOUR HEART」「記憶」などはやはり良曲であるとは言いがたい。その要因として、総じて彼等の曲は哀愁や劇的な展開を感じさせられるAメロ・Bメロは比較的よいものの、それに反しサビメロが安直でしょぼいことである。このことは「同じ世界」「記憶」で顕著に示されている。「会いたくて」などはまだよいものの、今作に提供している他者の曲に比べると劣る点がある。輝門に比べるとかなりましであるのだが、メロディーの質を売りにしているGIZAを支えるにしてはまだまだ力量不足の感が否めない。まあこれは彼らに限ったことではなく、あえて極論すると大野・川島以外のすべてに共通していえることなのであるが・・・(徳永・金子・岡本はまあいいとして、愛内の作品の質を貶めた方々である輝門・五大ゆりと外人さん2名は論外です)。
最後に岸本自身の抱える歌唱以外の問題について記しておこう。以前からCD試聴記録などで何度も述べているが、岸本をどのようにして売って行きたいのかという私の問いかけに、今作が明確な答えを与えてくれなかったことだ。
周知のように岸本はGIZA初の「歌って踊れるアーティスト」として売り出したわけであるが、まずこのキャッチフレーズを全面的に押し出せるほどに彼女の力量が凄くなかったこと。歌唱は言わずもがな。踊りに関しては、なかなかのものがあると思うのだが、この手の先駆者であるBOAや追随者である玉置といったアーティストに比べると残念ながら劣る面があるといわざるを得ない。そしてこのことと密接に関わることであるが、曲の良し悪し以前に曲が「踊れない」ものであるということだ。ダンスを売りにする場合、曲のメロディーよりもダンスミュージックとしてのノリのよさがなければならないということは必然である。しかし、岸本の曲はどちらかというと、出来はともかくとして、GIZA及びビーイングがかつてより得意としていたメロディー重視の姿勢を忠実に継承している。ビデオクリップでの岸本の踊りにいまいちよさを感じないのには、彼女のダンサーとしての実力云々よりも、曲調が大きく災いしているからなのではと私は考える。かといって、GIZAが得意とするメロディーの質の高さで売っていくにしては、上記のように問題が多い。菅崎や倉木や三枝(1stまでの)らと比べると明らかに曲の質は劣る。つまりは中途半端なのである。
私は今作が結構すきなのであるが、にも関わらず厳しい評価を下した最大の理由は、彼女の歌唱技術や加藤・村田両名の曲の質の問題もさることながら、まさにこの中途半端さが生み出すジレンマなのである。

個人的に、岸本はダンス路線で売っていくことを抑え、今までのGIZAどおり楽曲重視の姿勢を貫き、彼女の声質と外見とを生かす戦略に切り替えた方がいいのではと感じる。
彼女は未熟な点が多いものの、資質は十分にある。決して楽ではないが、これら問題を克服すれば結構いけるのではないか、というのが正直な私の意見だ。もうすぐ新曲もでることであるし、今後の彼女の展開に注目である。

次回は小松未歩の新譜をとりあげます。







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