File43 番外編〜洋楽女性アーティスト論その1


最近掲示板や自分の論の中でも、洋楽アーティストの名前が出てくることが多くなりました。やはり、日本の女性アーティストを考える上で、海外女性アーティストの存在というものをはずすことはできないな、といまさらながら考える次第。ということで、 今回はこのサイトとの趣旨に反するものの、日本の音楽シーンにかなりの影響を与え続けている洋楽〜特にアメリカを中心とした女性アーティストについて、特に最近の傾向を中心としつつ、話を進めていきたい。ただ、洋楽に関して造詣が深いわけではないので、かなり大まかな話になるということを、始めにお詫びしておきます。

日本人というのは、何故か西洋人に対する、様々な面でのコンプレックスが未だ拭えないようで、「洋楽コンプレックス」「洋楽信仰」ともいうべき、邦楽に対する洋楽の上位という考えを有している人が非常に多いと、強く感じさせる。邦楽アーティストに対して、洋楽アーティストを持ち出すことによる非難・批判、ないしは、邦楽アーティストを持ち出すことによる洋楽アーティストの絶賛。YahooやHMVを始めとした、多くの洋楽アーティストや邦楽アーティストのレビューなどを見て、この類のレビューや投稿というものを見ることができる。
この洋楽アーティストに対するコンプレックスというのは、聴き手のみならず、アーティスト自身も逃れられてはいない。例えばGIZAのアーティストを見ても、影響を受けたアーティストやフェイバリットアーティストの殆どすべて(全部といってもよい)が、「洋楽アーティスト」でしめられていることからもいえるのではないでしょうか。しかし、これは明らかにおかしい。日本で生まれ、日本で育ち生きていることから、邦楽の影響を受けないということは絶対にありえないはずだからである。なのにも関わらず、何故か取材や個人データにおいて、そういった話がでてくるということは限りなく皆無なのである。これは不思議だ。

話はそれたが、ここで私が疑義を呈しておきたいことは、洋楽のアーティストが、真にこういった感想を聴き手に抱かせるほどに、優れていたり、その曲の完成度が高かったりするのであろうか、ということ。
始めに断っておくが、私は「日本のものが世界で最も優れている」と考えがちな偏狭的な国粋主義者とか、西洋嫌い(アメリカは嫌いだけど音楽はまた別)というわけではありませんので、このことは強く主張しておく。
それともう一つ。かつての私は、洋楽上位の思想に浸っていた時期があった。ただ、そのときには、マイケル・ジャクソン、マドンナ、マライア・キャリー、ガンズアンドローゼスといった、音楽史を飾る優れたアーティストらによって彩られた時期であるということが、一つの弁解としてあげることができる。
では、今はどうなのでしょうか?。私は今でも洋邦問わずに、優れた音楽があれば聞くようしている。しかし、洋楽シーンに限って言えば、個人的嗜好をはずし、最大限譲歩しても、1997年「タイタニック」タイアップで売れに売れたセリーヌ・デュオン以降、少なくともメジャー洋楽シーンに関し、その誇大なまでのオビタタキや宣伝、各種レコード会社や大手CD販売店の熱烈な絶賛に、真に値する優れたアーティストというものが出ていないように感じずにはいられない。少なくとも前出した洋楽上位論というものは、繰り返しになりますが、少なくともマイケルやマライアが絶頂期である10年ほど前まで、ではないだろうか。
特にここ数年、海外から有象無象に送り出され、いわゆるシンデレラストーリー的・いかにも時代の最先端的に扱われる女性アーティスト、例えばここ最近のみで絞っていうと、アメリカはおろか、日本でもかなり話題となっている、タトゥー(表記が違いますが面倒なので勘弁してください)を始めとし、アブリル・ラビーン、ステイシー・オリコ、ブリトニー・スピアーズ、ノラ・ジョーンズ、クリスティーナ・アギレラ、ミシェル・ブランチ、ケリークラークソンといったアーティストが、その各業界からの評価や売上げにふさわしい実力・魅力・楽曲の質といったものを有しているのか。この点を突き詰めたとき、私は、かつて時代を引っ張って言ったアーティストらとは違い、大きな疑問と不満とを感じずにはいられなかった。
少なくとも、これら中で私がアルバム通して聞いたアーティストについて、当サイトで展開している邦楽アーティストのレビューと同じ基準で採点すると、だいたい以下のようになる。かなりの酷評ですが・・・

●ブリトニー・スピアーズ 「Britny」 70点
かつての作品と比べると、いわゆるアーティスト路線への転向を大きく感じさせる作品。その転向期ということを差し引いても、このぐらいの点で精一杯です。その理由として、楽曲個々はよくできており、隙がないのであるが、通して聞いたときに、そのだめさを露呈する。アーティスト性重視でいったものの、結局はそれによって何を目指したいのかが不明ということと、楽曲パターンと彼女の歌唱とがにかより過ぎていて、デッキを前に座して聞き続けることが辛いということがあるからだ。しかし、適当に聞き流すという点においては、この作品は非常によくできた作品であるとは思う。でも個人的にそんな作品はいらない。

●ノラ・ジョーンズ 「Come Away With Me」 50点
グラミー賞8部門を受賞した化物アルバム。しかし、その評価に見合った作品であるかあるかというと全くもってそうではないと断定する駄作。何を差し置いても楽曲のレベルの低さと全編を通してのたるさ、ぬるさだ。それは、終始耳につき、途中で聞くことを投げ出してしまったほどである。そういう要素を有しがちなカントリージャズ・フォークという音楽ということを差し引いても、だからといって評価が変わるといった代物では到底なかったのである。歌は確かにうまいし、ジャズの新機軸を打ち出したという彼女の才能はたいしたものであるといっていいのだが、だからといってもグラミーを8部門受賞するほどどころか、ノミネートされたことにすら大きく疑問を感じる。一説にはグラミーの受賞作を決める際に、アブリルではなく、彼女になったのには、アメリカの政治的意図が大きく影響しているらしいということだ。当時はイラクへの侵略でアメリカ社会が大きく揺れている中、攻撃的でいかにも不良的なアブリルより、見た目に素朴で、古きよきアメリカ的要素を感じさせる楽曲を奏でる彼女を選んで、世論をそらすという考えが、どうやらあったようだ。

●アブリル・ラビーン 「Let’s go」 65点
「コンプリケイテッド」で一気に時の人になったアブリルの1st。しかし、この作品も世間評とは全く逆。彼女自身が有する勢いというものは、最大限に評価できるが、逆にいうとそれしか魅力がないように思える。それなりに聞けるのは最初の3曲のみであるが、ヒットした「コンプリケイテッド」も個人的に「だから」、と感じる楽曲だ。ただし、彼女のロック然とした姿勢に好感が持てることは事実。しかし、楽曲の完成度と種類とをもう少し考える必要がある。

●ステイシー・オリコ 「Stacie Orrico」 50点
今、CMや各大型CD店で強烈なまでの後押しで話題になっているステイシーオリコの2nd。しかし、話題性に反するアルバムの完成度といったら、惨憺たるものでうんざりしてしまったというのが私の本音。典型的な大風呂敷だ。印象に残ったのは1・2曲目であり、それ以降は、同種の、しかもこれら2曲よりあからさまに完成度が低い曲が最後まで続き、うんざりした。宣伝文句もCD屋の推薦文もここまで来ると詐欺だと思う。各種レビューでの評価は、壮絶なまでに高いのだけど・・・。

●タトゥー 「200 Km / H In The Wrong Lanet」48点
話題になり、日本とアメリカで100万枚以上も売り上げたアルバム。しかし、完成度というと、シングル「All the thing〜」以外の楽曲は、ひどいとしか言いようのない駄曲のオンパレードで全編をしめている。パッと聞いた感じの印象は、それなりにあるのだが、はっきりいって深みや繰り返しの試聴にたえるであろう魅力に全く欠如していると感じる。

●ミシェル・ブランチ 「Spirit room」73点 「Hotel Paper」71点
この中で唯一、アーティスト的な資質に関し、ある程度以上の評価を下している唯一のアーティスト。シングルを始めとした、一部楽曲で、彼女の天性のものといえるメロディーセンスが冴え渡っている。特に彼女の音楽のよりどころとなっている、レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリックスの要素とカントリーロックの要素を融合させた「Everwhere」「Are you happy now?」などの楽曲は素直に凄いと感じる。しかし、彼女も他アーティスト同様ご多分に漏れず、アルバム全体の完成度は低い。とてもじゃないが全曲通して聞くことはできない。これさえ払拭できればいいアーティストになるのだけど。彼女の高い資質と一部の楽曲の魅力を考慮してまあこの点に。

以上がレビューの結果である。あえていうが、この論のために意図的に酷評したわけではないということを名誉のために言っておく。
私は日本の音楽シーンに関しても結構厳しいことをいってはいるが、今のアメリカを中心とした洋楽音楽シーンよりいいと感じている。では、何故にこのような低い評価を私はつけるのであろうか?。何故にその点に関しては次回にもちこしであるが、キーワードをいっておくと、アメリカの「アーティストに求める資質」「販売戦略」「アメリカの音楽文化」「アーティストの思想性のなさ」「楽曲種類の少なさ」などでありましょう。何か話が大きくなって恐縮ですが、次回以降も続きます。







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