File28 転向とマンネリズム・王道、そして壁@


予告のタイトルとは微妙に変化しましたが、いいたい内容には変化ありません。今回から何回かに分けて、転向・マンネリズムと王道と言うものに対する私なりの見解と、またそれらを通して、私が今まで音楽を聞き続けているうちに感じた一つの「壁」というものについて述べて行きたいと考えます。

音楽雑誌やテレビでのインタビューにおいて、「今後も変わらず自分たちの音楽をやっていきたい」というようなアーティストの言葉をよく見かける。しかし、実際問題として、ある程度の年数活動しているアーティストで音楽的に全く変わっていないそれは、殆どないといっていいと思います。ルナシーしかり、ペニシリンしかり、倉木麻衣しかり、ガーネットクロウ、Do As Infinityしかり・・・。ようは、「かなり変わった」か「あまり変わっていない」という程度のみのことであると思います。

アーティスト・ミュージシャンといっても人間には変わりなく、同じことをやっていれば飽きるのは当然である。また、いろんなことに挑戦してみたいというのも、人間としての当然の欲求であろう。その思いがつもりつもったとき、音楽に変化が生じ始めるわけである。また本人たちの意志ではなくても、事務所側の意向といった政治的な要素もあるだろう。変化の理由は別にして、その変化に対し、アーティスト側は概ね「進歩・進化・挑戦」などといった肯定的な言葉を付与して語るわけであるが、ファンにとってそのことが良いかどうかということとは全く持って別の問題である。
ファンというものは、自分も含め誠に勝手なものだ。変化がなければ「マンネリだ」とか「進歩がない」といい、変われば変わったで「よさがなくなった」とか「昔の方がよかった」とかいう。アーティスト・ファン共にどのような見解を持とうともちろん自由なのでそのことに関してはいいのであるが、そこでの双方の思いや要望等のかみ合い具合によって、最悪の事態としてはファンが離れ、また逆によい事態としてはファン層拡大といったことをもたらす。
前置きが長くなりましたが、ここからは転向、マンネリと王道の各要素について記していきます。

・まずは転向
アーティストの音楽性が最も変わる要因として、まず「メジャーデビュー」「人気が出てきたとき」などを挙げることが出来よう。それ以前までは、独自性やマニアック性を感じる音楽をやっていたりしたが、売れ始めたことをきっかけに音楽性を変えるということだ。例えば暗い音楽が明るくなったり、先鋭的な要素がなくなり丸くなったりという具合に。このことはこの業界において往々にしてあり、例を出していたらきりがない程といえよう。元来のファンではない人々にも聞いてもらい売上げを伸ばそうというアーティストや事務所側の意向が大きく影響しているといえましょう。
また、製作陣や事務所がかわったといったことも音楽性が変る大きな要因であります。ZARDや相川七瀬、松田樹利亜などはまさにそうといえましょう。
まあ細かなことはさておき、 どんなに奇麗事や高尚なことをいったりやったりしていても、CDが売れなければアーティストは生活していくことができないし、また、自分の心の中から発する「変わりたい・違うことをやりたい」という欲求を抑えることも無理である。よって転向が成功するかどうかのポイントとして、

@音楽性の変化の内容が、聞き手の予想の範囲内や許容の範囲内であるかどうか
Aそうでありながらも、いい意味での意外性を有し、それによって新たな魅力を提示しているかどうか
B楽曲の完成度がかわりなく高いかどうか
C変化の内容が、あくまで「進化」の延長上としてとらえることができるかどうか
D変化の内容と変化までにいたる流れが自然であるかどうか

といったことが挙げられると思います。これら要素がいい方向にはたけば、アーティストは以前からのファンの支持を仮に失っても、新たなファン層の獲得をもたらし、活動を続けていくことができよう。しかし、そうでなかった場合には、「売上げの低迷」や最悪「活動休止」といったことになるといえましょう。[例を挙げると、個人的な見解ではありますが、ガーネットクロウは前者(今のところはということですが)、Do As Infinityは後者であるような気がします。]。
ここで列挙した5つのポイントは相互に絡みあっており、一つだけが突出することはないのですが、その中でも特に最大ポイントとなるのは@とBの2つであると思います。
いくら音楽的な完成度が高くても、変化の内容が全くファンの望んでいなかったのであれば意味がありません。また、変化の内容云々以前に音楽としての完成度が低かったらそもそも話しにならないでしょう。個人的に「変化以前よりも音楽性や楽曲の完成度が向上したしたアーティストは殆どいない」と考えているのには、変化に際しこの2点に問題があるからです。それは音楽性の変化によって、音楽的な完成度が落ちるのにみならず、元来有していたアーティストの魅力をも失わせてしまうからにほかなりません。
「理想的な変化とは」、と聞かれるとその答えというものを提示することはできないのですが、少なくとも上記ポイントを含むことだけはいえると思います。

次回は転向と反対の「マンネリ」、そして王道について述べたいと思います。







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