他事争論

File165 2005年上半期音楽シーン総評の総評5〜GIZA総評編3


上半期において、GIZA非作曲アーティスト間に生じた階層格差はより広がりを見せたように思う。それは前回書いたように販売戦略や曲調の問題もあるが、やはり一番問題なのは「曲の出来」によってもたらされたところが大きい。しかし、今回の主題であり、ここで言うところの「曲の出来」とは「アーティスト間において曲の完成度に差がありすぎた」という意味ではない。つまり、今回アーティスト間の楽曲の格差をもたらした理由として、「楽曲の出来の差」ではない理由があるということである。以下のそのことを説明していく。まず、今年に入ってから発表された主の大野曲をアーティストごとに見ていくと、

・倉木麻衣
1:「Love needing」2:「Lover boy」
3:「through the River」

・ZARD
4:「星のかがやきよ」

・三枝夕夏INdb
5:「飛び立てない私にあなたが翼をくれた」
6:「どんなに明日が見えなくても」

・JEWELRY
7:「白のファンタジー」

・スパークリングポイント
8:「トロピカルビーチ」

・竹井詩織里
9:「君を知らない街へ」

・滴草由実
10:「花篝り」

・北原愛子
11:「冬うらら」

・岩田さゆり
12:「空飛ぶあの白い雲のように 」

となる。

結論からいうと、ここに列記した曲どれひとつ、その出来に満足してはいない。★評価でいうと、すべて★4つ以下であり、中には★1つという「駄曲レベル」のものもあるが、総じてどっこいどっこいの低レベルの争いでしかない。
しかし、あえてそれでも「マシ」だった曲を選出すると、「7・9・10」の3曲。それと大まけにまけて「倉木曲」といったところか。だが、上記にあるように「曲の出来」でこの3曲を選出したのではないということである。結局曲選出の決め手となったのは「歌い手の歌唱力」。ここに今までのGIZAには殆どなかった深刻な問題が集約されているのである。

かつてのビーイング・GIZAと、その他のレコード会社との決定的な違いに、前者が「歌唱技術よりも声質・ビジュアル」を徹底して重視したことがある。徹底した対メディア露出規制を貫いた戦略上、その中で売っていくために、歌い手の「一聴して耳を引く声質」と「ジャケを見て即買いしたくなる容姿」、及びこの2つを最大限に引き出す「優れたメロディーに基づく良質の曲」こそが何よりも重要だったのである。この方法論はZARDや小松未歩、倉木麻衣の成功や、エイベックスをはじめとした他社がこの方法論を真似ているのを見ても、かなりの有効性があった(今でもある)のは間違いないだろう。
だが、今年に入ってからの大野曲はビーイング・GIZAの伝統とも言える強みをぶっ潰してしまった。彼女の作る平坦すぎるメロディー、唐突且つ強引なサビメロ展開は、並レベルの歌い手が魅力と個性を出して歌いこなせる代物ではないからである。上手い歌い手では「物足りなさ」を、並レベル以下の歌い手では「露骨なまでの稚拙さ」を感じさせる・・・、これが今の大野曲の大きな特色。今までのビーイングの中でも屈指の歌い手である竹井・滴草だからこそ、最近歌唱力の成長著しい倉木だからこそ、辛うじて水準を維持した感じであろう。それ以外の、曲の悪さを歌唱技術で補えない歌い手に関しては、見事なまでの玉砕という結果になってしまった。北原・スパクリはその典型である。声質とそれに即した楽曲提供とで売ってきたビーイング・GIZAにとっては、まさに「本末転倒の結果」、「自らの存在意義を否定するかのような結果」としか言いようがない。曲が悪い場合、最終的には「純粋な歌唱力勝負」となるのだが、この点に関しGIZAの歌い手で対外的に通用するものは竹井・滴草・愛内・上木ぐらいで、後は殆ど通用しないだろう。

こうなってしまったのには、当サイトでも他のサイトでも多々指摘している通り、「大野愛果の作曲家としてのレベル低下」もさることながら、それを促してしまった「仕事量の多さ」にあろう。今年の上半期に関しては、各アーティストのアルバム提供曲を作りながら(ZARD・倉木だけで10曲以上ある)、シングル・カップリング曲だけで「月あたり2曲」の曲発表。どう考えても多すぎだ。だが、何でもかんでも大野に頼りすぎなGIZAの方針の愚かさがあるとはいえ、この内容には心底がっかりしてしまった。ますます「らしさ」がなくなってきたGIZAに果たしてまともな未来があるのだろうか・・・。現時点では様々な問題がさらなる問題を生み出すという「悪循環」に陥り、抜け出せなくなっているとしか言えない。それこそ「奇蹟」でも起こらない限りもうだめなのではないだろうか。

今回で総評GIZA編は終了。次回は「バツ丸私論編」を簡単にまとめ、別テーマの話を書いていく予定。






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