File146 ビーイング変遷史2004年最終章


今まで散々けなしてきたGIZAではあるが、何もかもが救いがたいかというと決してそうではない。特に個々のアーティストの実力や魅力に関しては、有力大手のそれに決してひけを取っていないと常々考えている。古参の倉木・ガーネットクロウは言わずもがな、新人アーティストに関しても、そのことはいえるだろう。最近はスパクリやジュエリーなど、どうも身内にすら通用しないようなアーティストが出てきていて残念なのだが、岸本と竹井はその中において希望を感じさせ、メジャーでも十分に通用する可能性を秘めた数少ないアーティストではないだろうか。

岸本に関しては、BoAレベルには遥かに及んでいないものの、抜群の美貌とスタイルの良さがあり、若さ溢れる元気いっぱいのキャラクター性もある。懸念材料だった歌唱技術に関しても飛躍的に向上しているので、恐らくあと1年くらい精進すればそれなりのものになるのではないだろうか。また、ビジュアルを前面に押し出した戦略をとれば、男性層だけでなく、10代女性からの支持を得ることも不可能ではないと考えている。BoAは無理でも、玉置レベルにはいけるのではないだろうか。

一方の竹井に関しては、GIZA史上最高レベルの声質のよさと安定した歌唱力、GIZAの歌姫らしい落ち着いた感のある端整な容貌、そして何より完成度の高い安定した曲が魅力である。声質と歌唱力の両方のレベルの高さと、それが一体化したときの歌唱の魅力に関しては、今までどちらかというと、声質偏重型が多かったGIZAの歌姫の中において、一歩突出していると言ってもいいのではないだろうか。穏やかなバラード、壮大なバラード共に、それを歌わせたときの魅力は平原や一青窈にも決して引けを取っていないと断言する。今までのGIZAになかった「上品で落ち着いた大人の音楽」は、今までビーイング音楽に対して、「商業主義的」だの何だのと言っていた人々にも支持される要素があると思うのだが・・・。

以上簡単に両者について簡単に記してきたのだが、私の両者に対する思いやGIZAファンからの評価の高さやその実力・魅力に反し、この両名は商的な成功を収められてはいない。何故そうなったのかというと、今回の一連の論考で示してきたように、GIZAの販売戦略の愚かさ以外の何者でもないだろう。
昨年に関して言えば、その序盤の段階で雲行きが怪しかった愛内・三枝を主軸とした対メディアビジュアル戦略を、岸本メインに切り替えるべきだった。モデル出身のティーンズアーティストが注目されるようになってきたご時世柄、彼女のように外見とスタイルに秀でたアーティストを、ティーンズ雑誌やメディア戦略と一体化して売り出せば、20〜30代の男性という従来の支持者にとどまらない幅広い支持を得るのも、そう難しくなかったはずなのに・・・。そのチャンスを逸し、さらにカリスマモデル上原奈美や、さらに同じGIZAでモデル出身の岩田さゆりが出てきた今、彼女がその路線で台頭するのはかなり厳しくなってしまった。それと相変わらず愛内&三枝の2本ラインのメディア戦略に拘り続けているGIZAの方針からも、そのことは言える。

竹井に関しても、2004年において積極的に売り出せなかったのが、今日の現状を生み出したといえる。昨年の「純愛ブーム」の流れを生かし、バラード曲で絶大な魅力を発揮できる竹井を売り出すべきであった。もちろん平原や平井、柴咲といった面々ほどの成功を上げられるはずはないのだが、平原と同様飾らない外見や安定した歌唱力なども見ても、それら要素がきっとそれなりの後押しを彼女にしたはず。岸本と同様、売り出すタイミングを逸したように思うのは、気のせいだろうか。

結局のところ、彼女らのようなしかるべき人材を売り出さず、箸にも棒にもかからないような新人の乱発や、時代から取り残された戦略で質の低い楽曲を売り出そうとしたツケが、そのアーティスト自身だけでなく、この両名や今までGIZAを支えてきた実力者に至るすべてに回ってきたといえるだろう。2004年の売上総崩れは、その象徴である。そして、売上だけでなく、曲の質もメジャーに通用しなくなってきた。愛内・三枝・北原・スパクリ・ジュエリーら非作曲アーティストの曲は、もはや地下アイドル的様相を見せてしまっている。この状態でいくのなら、さらにGIZAアーティストはマイナー化していき、最終的には誰からも相手にされなくなり、果ては社の存続の危機へと繋がるのではないだろうか。最後にこの悪循環を断ち切るためにどうしたらいいのかに関し記して、この連載を終りとする。

@圧倒的な魅力と技量とに秀でてもいない新人の乱発をやめる
少なくとも竹井・菅崎レベルでもない限り、デビューさせる必要はない。

A定期的に戦略を見直せ!!
かつて成功した方法論が今に通用するとは限らない。いつまでも同じ方法論に固執せず、時代の流れや映画・ドラマ・アイドル・モデル業界といった他分野の動きを適切に把握し、時には戦略を変え、時には維持強化し続けるなど、臨機応変に対応せよ。(愛内・三枝は前者をしなくて失敗し、倉木は後者をしなくて失敗した)。

B無駄なアーティスト育成はやめろ 長期的な視野に立ってアーティストをきちんと育て・支えていけ!!
2001年以降の流れを見ていると、1枚アルバムを出して、「ハイさようなら」というアーティストが多すぎる。しかもそういったものに限って実力があったりと、最近のGIZAのアーティスト戦略は全く理解しかねる。@の内容と被るが、業界で確実に通用する実力や可能性のあるアーティストだけを採用し、長期的な視野で責任を持って大切に育てていくようしていただきたい。まあ、この会社にそれを求めることは無理なのだろうけど・・・。少数精鋭で確実に業界に影響を及ぼしている芸能プロダクション、「オスカープロモーション」のような戦略でいって欲しいのだが・・・。少なくとも、アーティストの使い捨て(にもなっていないけど)だけは絶対にやめて欲しい。

C楽曲重視の原点に戻れ
かつてビーイングが全盛を極めた大きな理由として、作編曲含めた曲の質が非常に高かったことにある。いくら歌い手が資質や外見に恵まれていたとしても、最も重要である曲が悪ければ意味がない。今のGIZAの曲はせっかくの魅力ある歌い手の資質・外見を無にする程に出来が悪い。大野・徳永や、アーティストして活動しているアーティスト頼みの曲製作姿勢を改め、アーティストの発掘以上に作曲家と編曲家の発掘・育成を重視して欲しい。

これらことを行うのは、言うほどに簡単ではないだろう。しかもやれたところで必ずしも失墜したGIZAが復活するわけでもない。すさんだ現状の克服には、もはやかなり遅いともいえるが、今ならまだ可能である。アーティスト以上に社の運営や販売戦略に携わっている方々に、真摯に今の現状を認識していただき、奮起していただきたい。

次回は単発で「あゝ、思ひでのアニメソング」をやった後、「90年代後半・新世紀音楽考〜新たな流れを作りし者」(仮)で90年代後半から21世紀初頭の音楽シーンを振り返ってみようと思います。





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