♪File:11 ガーネットクロウの音楽ルーツを検証する


今回は、私が今一番好きなガーネットクロウについてのお話し。
既に彼らは、新曲を出せば、高い確率でオリコン10位以内に入る程に業界での地位を定着させたと思う。
それは、類まれな才能により生み出された、懐かしさと哀愁と高い音楽性を内包した独特の音世界が孤高のオリジナリティーを有しており、それが多くの人の支持を得るようになったからであろう。グループ結成のいきさつに関し、古井が述べた「今までにない音楽を作ってみたかった」の言葉に違わない独特の音世界を可能にしている最たるものは、メロディーの面白さもさることながら、ボーカルの中村の声質とAZUKIの紡ぎだす詩世界によるところが大きい。しかしながら、当たり前のことであるが、彼女らも全くの無の状態から音楽を作り上げたわけではない。全体としては孤高の音楽性を有していると思うが、音楽を構成する個々の要素を拾ってみると、いろんなところからの影響を感じ取ることができる。今回は、「MUSIC FREAK MAGAZINE 90号」でガーネットクロウ全曲作曲を担当している中村由利の音楽ルーツに関するインタビュー記事のコメントとそれに紹介されていたアーティストの作品を実際に聞いてみることで、ガーネットクロウの音楽的ルーツについて検証してみました。

で今回聞いたのは以下の4アーティストの5作品。

●クラウドベリージャム:タイトル忘れました。
●ビョーク 「ポスト」
●コアーズ 「in blue」
●クランベリーズ 「ベリーハチェット」「To The Faithful Departed」

まずはクラウドベリージャム。なるほど、中村が「ガーネットクロウのネオアコ系につながる」とのコメントにあるとおり、少し冷めた感のあるネオアコサウンドを聞くことができる。この点においては顕著に彼らの影響を感じる。だが、中村には悪いが、彼らの楽曲そのものはさしていいとは思わなかった。なんか、ぐっと迫ってくるものがなかったからである。しかし、何故そう思ったかの要因を考えてみると、既にガーネットクロウの音楽が彼らの音楽よりも優れているからだと思うに他ならないからだ。ガーネットを聞く以前に彼らの音楽を聞いたとしたら、恐らくこういう評価を下すことはなかったかもしれないのだが。

次はビョーク。中村の「領域が違う」「第三者的に見ている」といった言葉に表れるように、ビョークの音楽からの影響や共通点を見つけることはできなかった。というより、「イっちゃっている」といってもいいくらいの彼女の圧倒的才能と個性はそもそも誰もまねできないだろう。それよりも、ビョークの放つ圧倒的個性や生き様などに中村が一女性として感銘しているといったほうが正解であると思う。しかし、個人的には、ついぞ彼女の音楽的よさというものを感じることはなかった。

次はコアーズ。普遍的ポップサウンドにアイリッシュ音楽やケルト音楽を取り入れた楽曲は、聞いていて非常に面白い。中村が「よく聞いている」といっているのにふさわしい、いい音楽である。楽曲的には、さわやかでありながらも少しの哀愁や独特の温かみを感じるメロディーやポップ性に、ガーネットクロウへの影響、特にインディーズ盤へのそれを感じる。それと中村本人が「インスピレーションを貰える」といっているように鍵盤楽器や管弦楽器の使用の仕方にもガーネットクロウに通ずるものがあった。

そして最後はクランベリーズ。これはすごい。今回聞いた中では、中村自身も「ジャケットとケースを失くしてしまったくらい一番良く聴いていますね」の言にあるように、ガーネットクロウ及び中村由利に最も影響を与えているアーティストと感じた。
荒涼としながらもぐっと迫るものがあるサウンド、アイルランド民謡的旋律と煌びやかな音世界、深さと荘厳さを感じさせられる楽曲構成など、ガーネットクロウの楽曲に通ずるものを多々感じ取ることができる。また、楽曲の影響のみならず、中村がボーカリストとして受けた影響も非常に大きなものがあると思う。
技術的な歌唱力も圧巻ながら、時に激しく力強く、時に牧歌的でしみじみと、あるいは少女的なかわいさ、さらに高尚さや荘厳さを感じさせる多種多様な歌唱そのどれもで、圧倒的なレベルと魅力をもって聞き手に提示することのできるドロレス・オリオーダンのボーカリストとしての能力は、筆舌に尽くしがたい。中村がボーカリストとしてアーティストとして目指すべき世界がここにあるのでは痛感させられた。
実際、中村も「低音から高音への声の響きとか、ファルセットの使い方に影響を受けています」と言っているように、ガーネットクロウの曲での中村の歌い回しにはもろにドロレスの影響がでている。彼女の存在がなかったら、中村が歌を歌おうとは思わなかったのではと勝手に思うほどに・・・。

中村のボーカリストとしての能力は高く圧倒的な魅力をもっていはいるものの、それはあくまで日本でのトップレベルということに限定される。声質の魅力といった面では、世界にも通用するものをもっていると思うが、ドロレスのような20世紀の女性ボーカル史に間違いなくのこるであろう歌い手を前にしては、まだまだ足りないものが多く、更なる努力をつんでいかなければといわざるをえない。世界にはとんでもない人がいるものである。

ただ、今回中村由利が影響を受けたアーティストを聞いて感じたのは、これら影響を受けたアーティストと比べても楽曲的には遜色ないというか、上回っている部分があると思えるくらいに、ガーネットクロウの曲としての完成度とオリジナリティーが優れているということ。その点に関して言えば、中村の作曲能力は世界にも通用する。
ただ、それと同時に、ボーカリストとしての甘さも感じた。ライブを通じて、日本ではかなり上位になってきたと思うが個人的には、もっと高いレベルを中村に目指して欲しい。

次回は、「日本の女性ボーカルにかけているもの」です。







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