♪File:10 徹底比較柴田淳VS鬼束ちひろ


今個人的に注目しているアーティストに柴田淳と鬼束ちひろが挙げられます。鬼束はファンというほどではないのですが、柴田は今お気に入りのアーティストの一人。今回の論稿に何故彼女らを取り上げたかというと、その音楽性などに多くの共通点とそれと同じくらいの違う点があるからであります。そしてそれらに、今の低迷している音楽業界における、一つの別の流れを感じる気がするからでもあります。以下、その点について述べていきたいと思います。

・共通点

@ピアノと管弦楽を主軸としたシンプルな楽曲構成
A人間の感情の奥底にある悲しみや痛みなどを巧みに表現した詩
BAを表現する特徴的な声質と高い歌唱力
C美形アーティスト
D作詞作曲ともに行っている

などが挙げられると思います。昨今ヒットチャートをにぎわしているアーティストは、楽曲としてはいいものの、カバー曲が多かったり曲としての深みなどに欠けたりしていて、どうにも商業主義的要素が強く出すぎているきらいがあります。その中において、両者の楽曲から感じ取るこることのできる、アーティストとしての主張や個性、力量などは、今の時流と全くかみ合ってはいないものの、確実に支持者を伸ばし業界での地盤を確実に固めているといえましょう。
その理由として、最近のやたらと音の詰め込みすぎな音楽や機械技術、大げさなアレンジに頼りすぎた音楽などと比べ、彼女らの歌とピアノを中心としてたシンプルな構成の各曲に、音楽の素朴な魅力というか、「歌に浸る」という音楽本来の楽しみや醍醐味というものを感じることがあるからだと思います。両者のみならず、一青窈や林明日香など個性的な声質を持ったアーティストがある程度の支持を集めていますが、このことを一つの理由としてあげることができましょう。機械技術を楽曲の節々に感じる昨今の音楽に対する、アーティストやファンの抵抗といってもよいかもしれません。一方、柴田と鬼束両者の違う点として、

@ともに暗い曲調の楽曲が中心であるが、柴田は暗く深く悲しく心にしみる感じが、鬼束は暗く重く心に突き刺さる感じがすること
A柴田は男女の恋愛に関する感情、特に失恋した女性側の視点での感情を主題としているが、鬼束は青少年や若者の心的葛藤を主題としている
B歌唱に関し、柴田は「歌い上げる」という感じがするが、鬼束は「絶唱」というか「歌をぶつけてくる」感じがすること
C柴田には受身的、鬼束には攻撃的な感じがすること

などが挙げられると思います。特に詩曲での表現主題が、この両者を隔てる最大の要因になっていると思います。そのことがそのほかの違いすべてに密接に関わっているといえるのではないでしょうか。

両者とも抜群の才能と個性とによって、多くの聞き手を惹きつけているのですが、両者の音楽には共通して課題や問題もあります。

それは
@特徴的な声と楽曲ゆえに、万人には支持されにくいということ
A特徴的な声とシンプルな構成による作られた楽曲は、それ故に、多様性に欠ける

という点に集約されると思います。
@に関しては、もの事表裏いったいというように、彼女たちにとって大きなマイナスとはならないでしょう。万人に受けなかったからといってだめというわけではないし、このことが彼女らのすぐれた個性と才能を物語っているので。しかしAに関しては切実な問題となって両者に降りかかると思います。彼女らに関する一番の批判としてある、「曲調や歌唱が似通っている」ということです。
おそらくその個性ゆえに、楽曲になんら変化がなかった場合、恐らくアルバム3つ分くらいしか活躍することができないのではと考えます。聞き手が飽きてしまうからです。この点を克服できないと、長期にわたる活躍を可能とすることはかなわないと思います。鬼束は「Suger High」の「Tiger in my Love」 で見せたロック路線にその活路を見出そうとする本人や周りの気概を感じることができます。それが成功したか否かは今の段階で結論を述べることはできないのですが。2作目を発表した柴田にはまだ、自分の個性や魅力を維持した上での変化は見受けられない。しかし、次作で何らかの新要素を入れないと、いくら才能や歌唱力があったとしてもそれ故に飽きられてしまう可能性があると思います。かといって安易な変化は逆に従来の支持者からの反発に遭う可能性もありますし。その変は非常に難しく、大変であると思いますが、この両者だと何とかしてくれそうな気がします。(マンネリズムと転向のテーマはいずれここで述べたいと思います。)
とりあえず、彼女らの生み出した良曲に身を浸しつつ本稿を終了させていただきます。

次回は「ガーネットクロウの音楽ルーツを分析する」です。では。(by NHK7時のニュースの気象予報士藤井さん調)







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