♪File:8 カバーブームに異議あり


後藤真希の「サントワマミー」、モー娘と新生dreamの新曲、島谷ひとみの「亜麻色の髪の乙女」、GIZAビーチパーティー、松浦亜弥の「草原の人」、Flowの「贈る言葉」、だれだかわからんが「想い出がいっぱい」など、去年から今年にかけてのカバー曲の多さは異常なまでに多く枚挙にいとまがない。一つの時流となっているといえよう。しかし、これでいいのだろうか。

カバーブームが横行している最たる要因は、ファッションやグッズ、アニメ、映画など多くの事柄において、昭和30年代、または1970年代のものが今はやっていることにある。これは、今の日本を支えている中心の年代の人が子供のころであった時代であり、また彼ら彼女らの子供らが今、そのときの親の世代の年くらいになっていることが、ブームが形成された大きな要因であるといえる。しかし、このブームの本質は、ひどい言い方になるが、経済・教育などを始め今の日本をとりまく閉塞感というものを、かつて日本が一番元気があったこの時代を振り返ることによって慰め癒すということだ。このような後ろ向きのブームは所詮長続きはしないと私は思う。

話は戻って、本来カバーというものは、自分のルーツを確認したり、影響を受けたアーティストに対する敬意を表する意味合いで行われるべきものである。その条件として、何よりも歌い手自身が楽しむことと、カバー曲やそのアーティストに失礼のない内容に仕上げなければならないということ。その結果として、カバー元であるアーティストや曲が、それらを体験したことのない世代等に受け入れられたり、カバーしたアーティスト自身の今後の進むべき方向性を見出すことができたりしたなら、なおのこと業界にとってもよいことであろう。そもそも質的に商業主義とは一線を隔したものでなければならないのである。以前にでた、スピッツやHideのカバーアルバムなどはまだそういった意味合いがあった。しかし、上記のものを始め、最近のカバーはいったいなんなのだろうか。
正直、不況な音楽業界の中、とりあえず話題性と、過去にヒットした曲に対する安定感を持って、売上げを稼ごうという底の浅い商業主義が見え見えである。
そこにはアーティストや曲に対する歌い手の強い思いなど感じることはない。それでもまだGIZAの「ビーチパーティー」のような企画ものや、それ以外でも例えばカップリングやボーナストラックとして収録するのならまだわかるし、許せる気がする。しかし、Flowやラス・ケチャップの「魔法のケチャップダンス」をカバーした「SOLTOMATINA」、島谷ひとみなど、デビュー曲やシングル曲が既にカバー曲であるのには正直うんざりしている。他者の成功と栄光にすがって売っていこうとする姿勢は断じて容認できないし許すべきではない。これはカバー元のアーティストや曲に対する侮辱行為に等しいといえる。
私は、こういったことをやって平気でいるアーティストやアーティストに対し、「ハイエナアーティスト」「寄生虫アーティスト」と呼ぶことにし、またアーティストにこれらを強要する事務所やレコード会社も同様に呼ぶことにしている。

一連のカバーブームの動きは、不況にあえぐ音楽業界をさらなる死地へと追いやると思う。音楽とは、芸術である。新しいもの、今までと違うものを作り上げようとする意志、それを可能にする創造性と表現する才能というものがなくてはならない。先人たちの影響を受けつつも、他者との違い・自分の主張、新しい方法論、そういったものを追及していかなけらばならないと思う。仮にそれが思うようにできなかったとしても、それを追求するという姿勢は必ずアーティストを成長させる。また聞き手は、そういう行為とその結果としての曲を聞き、何かを得るのものなのである。だが最近のカバーブームは、音楽を構成する基本要素である創造性や自己表現等を放棄しているとしか思えない。
音楽不況の要因を、業界はコピーコントロールCDの影響や、買い手の経済的不況、人々の思考の多様化にあると分析しているが、確かにこうした事実は否定できないものの、一番の原因は聞き手を惹きつける曲を作れ・歌えるアーティストの発掘や育成に力を注がず、魅力ある楽曲を世に提供できない業界そのものにある。
他は単に言い訳の材料であろう。現に、好き嫌いやいい悪いは別にして、元ちとせや一青窈など今までになかったタイプのアーティストはそれなりに成功を修めている。ようはいかに各会社やアーティストが創意工夫をするかだ。
冒頭でのべた、70年代ブームとかは、今の日本人の創造力や想像力を始めとした人間力の衰退をものがったているように思えてならない。

早く「カバーブーム」とやらが終焉し、魅力と創造力のある楽曲で業界をにぎわして欲しいと思うのであるが。

次回のテーマは「エイベックスアーティストの明暗」か「徹底比較!!柴田淳と鬼束ちひろ」かのどちらかの予定です。







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