矢野絢子

 矢野絢子 「ナイルの一滴」  2004・10・13 40点
高知が生んだ情念系ピアノフォークアーティストの1stアルバム。メジャーデビュー曲「てろてろ」が「Pooh」で取り上げられ、話題となった勢いを駆って発売されたのだが・・・。ファンの方には申し訳ないが、何度聞いてもこれぐらいの点で精一杯。その最大の理由は、とにもかくにも歌唱と曲調に問題がありすぎる。それがすべてといっていいだろう。
歌唱技術はかなりのものだし、聞いて誰しもが強烈な印象を受けずにはいられない超個性的な歌いまわしと声質、卓越したピアノの技術、ストーリー仕立てで毒気を吐きまくりのイッチャッテいる詞は、業界広しといえども異彩を放ちまくっている。が、逆にいうとそれだけしか書くことがない。終始ピアノ中心のサウンドアレンジと似通った歌唱と曲調〜フォークソングのピアノ版というべき音楽に、日本の長唄と民謡・童謡を加味したような曲調は、やたらと長い節回しとくどい歌唱とがあいまって、聞いていてかなり辛く、最後まで聞きとおすことが出来ない。3曲目や9曲目以降のようなジャズ的な曲調、8曲目のような昭和歌謡曲的曲調と趣向が凝らされてはいるものの、結局のところすべて彼女の歌唱と声質が台無しにしている。やたらと高い音域で歌うところは、もう聞いていてイライラするだけである。
残念ながら、元ちとせや小柳ゆき、Lyricoなどと同様、自身の個性的な歌唱や曲調の枠に収まっているだけで、それプラス何かがない。かといって笹川美和やガーネットクロウの中村、竹井詩織里といったアーティストほどには、「くせになるとか聞かせる魅力とか」があるわけではないし。つまるところ、曲を構成するすべての要素が資質が内向きに向かっているだけなのである。その個性や、彼女のようなアーティストをメジャーシーンで売り出そうとする意気込みは賞賛に値するが、今のままだと埋もれるだけだろう。(2004/11/21)


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