| Viki 「Prologue」 | 2004・11・26 | 83点 | |
| 既に7年の活動暦があるVikiのメジャー1stアルバム。かつてコンビを組んでいたこともあるという柴田淳と同様、ピアノと自身の歌唱とを主軸にしたミドルテンポのバラード曲中心の作品である。 3大ピアノ系と被る領域にいるものの、作曲能力・歌唱技術に関しまったく引けを取らないといってもいいだろう。それらとの決定的な違いは「北欧民族音楽的郷愁」や「70年代フォーク・ニューミュージック」の影響を感じ取れることにある。優れた歌唱技術・表現力だけでなく、変声期前の少年のような中世的な歌唱や「男性側」の視点から恋愛を描いた詞、壮大なストリングスなどが合わさり、Vikiならではの哀愁や美しさ溢れる音世界を構築している。それは聞き手に少年期の「ありし日の感傷」や「悲しき思い出」などを思い起させる魅力がある。1曲目「プロローグ」、2曲目「ちがうよ」、3曲目「さよならを決めた日」、5曲目「心のつぶて」、11曲目「君がいなくなった今」などはその典型といえるだろう。実に切なく心を揺さぶられずにはいられない。声質の魅力に関しては、あの柴田に匹敵するかそれ以上といってもいいだろう。 詞・歌唱・声質など音楽を構成するすべてにおいて彼女の高い能力を感じ取れるのだが、3大ピアノ系の作品に比べると評価を厳しくしたのにはいくつか理由がある。6〜9曲目の歌メロがイマイチで且つ、彼女の歌唱の魅力が他の良曲に比べあまり出ておらず、総じて単調な歌いまわしになってしまっていること。歌唱そのものにもうちょっと迫力というか、メリハリが欲しいと感じたこと、の2点が主に気になった。上記曲のみならず、4・10といったボサノヴァやジャズの要素を感じさせる曲での歌唱もよかっただけに残念。今後は自身の強みをより生かしつつ、メロディーに磨きをかけることが課題であろう。次作においてそれが為せたとき、3大ピアノ系に代わる「4大ピアノ系の一人」としてVikiを迎え入れることになるだろう。 柴田ファンは要チェックの作品。(2004/12/15) | |||