東京エスムジカ

 東京エスムジカ 「World Scratch」 2004・09・22 82点
韓国と石垣出身の女性と東京出身の男性の3人組みという、かなり異色のアーティストグループ、東京エスムジカの1stアルバム。アルバムタイトルの「World Scratch」=「世界を引っ掻く」「世界の寄せ集め」?が示すように、インドネシアの民族音楽の要素を感じる1曲目、山々の情景を思い起させる2曲目、フランスの民衆音楽のような雰囲気を出しているアコーディオンが印象的な3曲目、スパニッシュギターが哀愁を演出する4曲目、南国的な雰囲気を感じさせる5曲目、アイヌの言葉を用いた11曲目と、多種多様な民族音楽を取り入れた国籍無用の幅広い音楽を見せ付けている。この点に関しては、今までのアーティストと比べても、もやは群を抜いているといってもいいだろう。歌い手の歌唱技術、曲の完成度、編曲といった音楽を構成する各要素の出来も、とても新人とは思えない程に高い。しかし、音楽的な出来のよさに反し、それが感覚的な領域において訴えかけるものがあるというと、少し疑問がある。何事においてもソツがないところや器用さという彼らならではの特徴が、逆に彼らの音楽性に影を落としているように思えてならないからだ。
まずはボーカル。二人とも、特にちょっと元ちとせ的な歌唱を見せる瑛愛の歌唱はかなり上手いのだが、総じて迫力に欠ける。この手の音楽に必要な「アクの強さ」ともいうべき要素を感じない。恐らくこれらことは、肩肘張らずに気楽に聞ける民族音楽を意図的に狙っているが故に生じていると推測できる。しかし、このことと、かなり多くのジャンルの民族音楽を扱っていることとが、東京エスムジカとしての個性、つまりは音楽世界の確立を大きく阻んでいるように思う。つまりは、否応なしに聞き手を音楽世界へと引き込む、この種のジャンルにはなくてはならない魅力に欠けているということである。これはかなり大きな減点要素となった。
さらに5曲目を除く4〜8曲目の展開にたるさを感じてしまったことと、1・5・10といったややアップテンポの曲調における歌唱が似通っていて単調さをぬぐえなかったのも減点要素。
技量に関しては何の不満も問題もないので、今後は表現の幅を広げることと、それによって東京エスムジカならではの絶対とも呼べる音楽世界を確立することが必要だと考える。それを為しえたとき、彼らは日本有数のアーティストグループになれるのではないだろうか。9・11曲目のような魅力をもった曲が増えるといいのだが・・・。(2004/09/29)


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