SAYAKA

SAYAKA

 SAYAKA 「Doll」 2005・02・23 74点
言わずと知れた松田聖子の愛娘、SAYAKAの1stアルバム。音楽活動は3年前からやっていたので、「待望のアルバム」といっていいだろう。彼女のような出自の持ち主は、どうしても世間から偏見や侮蔑の目で見られることが多く、誠悲しい限りであるが、そんなこと関係なく今作は実に良く出来た作品だと思う。
その質の高さをもたらしたのは、製作人として名を連ねるブリグリメンバーの奥田俊作とデイアフのメンバーである北野正人の尽力に他ならない。特にプライベートでも力を入れている(?)らしい「Masato」こと北野提供曲の充実振りはすばらしい。プログレッシブな要素も感じる「水色」や、ここ数年のDATのバラード曲より明らかにレベルの高いバラードである「上弦の月」、アメリカンハードロックやラウドロックの要素を感じさせる痛快な3・4曲目と北野作曲冒頭4曲の流れは見事という他ない。北野の作曲家としての実力の高さを感じると共に、こちらに力を入れ過ぎてしまったから、昨年のDATの曲がへっぽこになったのだなと完璧に納得してしまった。恐るべき色欲の力・・・。
もちろん、奥田の貢献ぶりも忘れてはならない。かねてから評価が高かった奥田作曲で、ブリグリのシングル候補曲としか思えない「ever since」はもちろん、荒涼さと切なさがいい形で同居した8曲目と、「さすが」の仕事振りを見せた。

この両名の仕事振りは大いに評価すべきものだが、だからといってそれだけで作品がよくなるわけではない。ここで決して忘れてはならないのが、歌い手であるSAYAKAの歌唱であろう。技術面でははっきりいって下手な部分もあるのだが、それを補って余りある「透明感と甘さが高次元で融合した美声」と、ロック系の曲もそれなりに歌いこなせる器用さは大いに評価できる点である。この両点が、基本的に現代的な洋楽の要素を感じさせる、骨太で壮大なサウンド構成である今作収録の楽曲に、80年代のアイドルソングのようなかわいさや切なさをもたらした。それがSAYAKAならびにSAYAKAの楽曲の大きな魅力となっている。ここに母親とは決定的に違うアーティスト性があるといったら、誉めすぎだろうか?。荒削りで未熟ながらも、歌い手としての潜在能力にただならぬものを感じる。
ただし、ここまででコメントした5曲、特に「水色」と比べると、北野・奥田以外作曲の他曲の質が明らかに下なのが、今作の大きな問題であろう。本人が作曲したらしい5曲目や、9曲目以降の展開は、申し訳ないが力が抜けてしまった。リリースまでに長い時間がかかった作品だからこそ、細部にまで質の高さを維持してもらいたかった。

細かい不満を言い出したら結構出てくるが、「松田聖子の娘だから」「所詮はアイドルでしょ」といった偏見なしに、一アーティストの作品として一度は耳にして欲しいと思う。今後も歌手として活動して欲しいときっと多くの人が思ってくれるのではないだろうか。
個人的にブリグリの復活がないのなら、奥田と北野とSAYAKAで新たなグループを結成してくれたらと考えている。(2005/03/19)



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