| Salyu 「Landmark」 | 2005・06・15 | 84点 | |
| 1. landmark 2. アイアム 3. VALON-1 4. 虹の先 5. Peaty 6. 体温 7. ウエエ 8. Dramatic Irony 9. Dialogue 10. 彗星 11. Pop | |||
| ジャンル区分 | プログレッシブポップ・ロック | ||
| 良い点・加点要素 | salyuの圧倒的な歌唱 孤高の音楽世界 幻想的な楽曲 | ||
| 悪い点・減点要素 | 個性的な歌唱が故に曲が画一的な所も また聞き手を選ぶ 5〜7曲目の出来 | ||
| デビューから4年近くの月日を経て発表されたSalyu待望の1stアルバム。90年代最高のプロデューサー&作曲家の一人である小林武史の支援を一身に受けて発売された今作は、「歴史的建造物」の意もある作品名に相応しい圧倒的な美しさとスケール感を感じさせる力作に仕上がった。 とにもかくにも耳を惹くのはSalyuの歌唱。中性的で太い声質、独特の発声と発音を土台とした歌唱は「唯一無二」としか言いようがないだろう。その歌唱はあまりに深く、暖かく、優しく、スケールが大きく、それでいてどこか悲しげな表情も見せる。その多彩さ、表現力の巧みさはもはや修練どうこうではなく、彼女の「ボーカリスト」としての天性の資質によるものであろう。作風こそ違うが、ビョークを髣髴させるものがある。1曲目であり表題曲である「Landmark」から、その天性の歌唱と、小林の、「Salyu」の歌唱を徹底的に守り立てる芸術的な作編曲とが見事に一体化し、聞き手を幻想的な音世界へと誘っていく・・・。 マイラバ失墜と共にすっかりなりを潜めていた小林であるが、1〜4、8〜11曲目の完成度の高さは、絶頂期と同じかそれ以上。今まで多くの個性的歌い手を悩ませ続ける難題〜「超個性的な歌唱と優れた楽曲との理想的な融合」の答えの一つを収録各曲をして見事に提示したと言えよう。1曲目ならびに、高低のバックコーラスが縦横無尽に冴える8曲目や、シングルである9曲目などはその中でも特に絶品中の絶品で、これら楽曲を聞くためだけに今作を聞く価値があると思っている。とにかく作品全体が放つ個性と深遠さ、美しさは尋常ではない!! 但し、素晴らしい作品には違いないのだが、残念ながら問題もある。まずは、あまりに特徴的な声質と歌唱が故に、それになじめない人は全く聞くことが出来ない。裏返せば、これになじめる人にとってはとことんはまる中毒性があるのだが・・・。 もう一つは、5〜7曲目の出来が他の曲と比べ落ちること。この3曲に関しては、Salyuの特徴的な歌唱を生かしきれておらず、それに対する負の印象〜たるさ、くどさを感じさせる結果になってしまった。後者の問題さえなければ、90点前後の点をつけた作品だけに、実に残念である。 若干の不満はあったが、今作は歌い手の個性と作曲者の実力とが実にいい具合にかみ合った力作。今作が醸しだす雰囲気は、チャート上位に入るようなアーティストでは決して経験できないものであろう。派手な音楽や装飾華麗な音楽に食傷気味の人、芸術性や美しさ溢れるディープな音楽が好きな人に是非聞いていただきたい作品である。(2005/07/15) | |||