Renaissance

Rennaisance その1

・1stアルバム 「Prologue」  ・2ndアルバム 「ASHES ARE BURNING」 ・3rdアルバム 「TURN OF THE CARD」

・4thアルバム 「Scheherazade and other stories」 
 Renaissance 「Prologue」(イギリス盤) 1972年 98点
1.Prologue    2.Kiev     3.Sounds of The Sea
4.Spare Some Love     5.Bound For Infinity
   6.Rajan Khan
ジャンル区分プログレッシブロック フォーク トラッド サイケデリックロック クラシック
良い点・加点要素超絶技巧の演奏技術 アニーの歌唱力と美声
減点要素・注意点アニーのボーカルの比率がやや少ない インストが苦手だと聞けない
70年代のプログレ史に燦然と輝く第2期ルネッサンスデビュー作品。作品名である「プロローグ」が示すように、伝説のグループ「ルネッサンス」の「序章」に相応しい見事な作品であるとしか言いようがない。
ジャンル区分はとりあえずプログレになるのだが、プログレ四天王(ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、EL&P)らに象徴される、いわゆるデジタルサウンドや変則リズムを主軸とした難解で前衛的なそれとは一線を隔している。どちらかというと生楽器をふんだんに使用した叙情派ロック・フォークと称した方がいいのかもしれない。それ故全編を通して、喜怒哀楽のうちの「哀楽」が全面に出た感情的な作品に仕上がっている。表題曲である1曲目冒頭で奏でられる強烈無比なピアノ演奏と縦横無尽に炸裂するアニーのスキャットがそのことを何よりも物語っている。すさまじい「ごあいさつ」だ。しかし、曲名どおりそれは単なる序章に過ぎない・・・。
全曲名曲と言ってもいいぐらいの高レベルの作品なのだが、とにかくその中でも圧倒的なのは、卓越したピアノ演奏とアニーの歌唱とが極上の郷愁を演出している2曲目と、歪んだギター音と電子サウンド、及びアニーの絶唱スキャットが危険極まりないヤバさを放出している6曲目。デビュー作にして既に「史上最高・最強」と言い切ってしまいたくなるくらいの完成度やスケール感・美しさ・凄み、さらに圧倒的な芸術性と危険性をも醸しだしているのに言葉が出ない。超絶技巧の楽器演奏もさることながら、それ以上にこのような感覚を抱かせ高評価をつけさせるのにはアニーの歌唱があるからだろう。声量の豊かさ・表現力・特徴的な声質・・・、完璧だ。猛者どもが作り出し且つ屈強無比の演奏で奏でられる楽曲を見事に歌いこなしている。私が追い求めてやまない「史上最強の歌姫」がここに確かに存在する。カーペンターズのカレンと同様、歌うために生まれてきた天性の歌姫である。

100点つけてもいいぐらいの作品なのだが、そうならないのはこのサイトのレビュー採点方式が「相対評価」となっているから。繰り返すが文字通りの「序章」に過ぎないのである。個人的にビートルズやストーンズ、ZEPに匹敵する偉大なグループであり、史上最強・最高の女性ボーカルグループであると確信しているルネッサンス。このグループの真髄は2作目から5作目にこそあるのだから。(2005/08/10)
 Renaissance  「ASHES ARE BURNING」(ドイツ盤) 1973年 maximum
1.Can You Understand
2.Let It Grow
3.On The Frontier

4.Carpet Of The Sun
5.The Harbour
6.Ashes Are Burning 
ジャンル区分プログレッシブロック フォーク トラッド サイケデリックロック クラシック
良い点・加点要素すべてにおいて完璧な、まさに「英国が生んだ至宝」とも言うべき作品
減点要素・注意点特になし
個人的に史上最高最強の女性ボーカルグループアーティストと信じて疑わないルネッサンスの2作目。彼らの躍進を決定付けたこともあり、ルネッサンス史上最高傑作と称される作品でもある。それどころか、70年代のプログレシーンや女性アーティスト史に燦然と輝く史上空前の名盤であろう。英国の伝統的な音楽であるフォーク・トラッドと、ロック・ハードロック・クラシック音楽との徹底的な融合に関し、この作品を上回るものは恐らくこの世に存在しない。そして、この先も出てくることはありえない。曲・歌唱・演奏・編曲すべてにおいて、ただただ「凄い」「圧倒的」と陳腐な言葉を並べ立てることしか出来ない強烈無比の作品である。「神々が奏でる音楽」、そう形容するのが何よりも相応しいのではないだろうか・・・。
作風は、上記にもあるが、「英国フォーク・トラッド+クラシックを柱としたプログレッシブロック・ロック」である。これは前作でもこの作品以降でもルネッサンス音楽の核となっている要素であるが、今作はルネッサンスの作品の中でも、最も英国色が出ているのが大きな特徴だ。このことは、今作が終始発し続ける美しさや牧歌的な雰囲気、深みの源泉となっている。聞いていてどこか懐かしさやもの悲しさを感じるのは、曲を通してイギリスの田園風景のようなものが思い起されるからであろう。デジタルな雰囲気や難解さが目立つ、プログレ四天王をはじめとした他のプログレバンドとの決定的な違いであり、ルネッサンスを歴史的アーティストたらしめたものでもある。

1stアルバムと同様、全曲が名曲レベルなのだが、その中でも際立ってすさまじいのが1曲目と最終曲である6曲目。
1曲目は「史上最強イントロ」「墓場まで持って行きたいイントロ」認定曲。力強いドラの音色とともに一点の緩みなく叩き込まれる高貴・華麗・流麗・深遠・極上としか言いようのない冒頭のピアノの反復フレーズが、わずか数小節をして聞き手を作品世界へと引きずり込む。初めてこの曲のイントロを聞いたとき、あまりの感動と喜びとで背筋がゾクゾクしたまま硬直してしまった。邦楽史上屈指のイントロだと思っているガーネットクロウの「水のない晴れた海へ」を越えていると思える数少ないものであろう。とにかくこの曲のイントロを聞いた段階で完全に私は打ちのめされた。自分の音楽観が根底から覆った決定的な瞬間でもある。また、イントロとは一転して、とことん牧歌的な雰囲気を醸しだす歌唱部分やそれに絡むバックの演奏陣、中間部分のインストロメンタル、そしてアニーの独唱から再びイントロフレーズが繰り返される終盤もすばらしい。
一方最終曲である6曲目は、最終曲に相応しいバラード大曲。美しすぎるピアノの音色とアニーの悲壮なボーカルが極上のもの悲しさを、一方で切れすぎるピアノとハモンドオルガンとチェンバロとのインストバトルと、終盤のギターソロとが圧倒的な緊張感を生み出している。ハードロックとクラシック音楽、プログレッシブロックが高次元で融合した完璧な構成がアニーの超絶歌唱を守り立てる。美しすぎるファルセット、危険な雰囲気で満ち満ちている絶唱スキャット。アニーの真骨頂である天使と悪魔両面を自在に演出できる歌唱が、完璧な楽曲を誰も追随できない天上界レベルに押し上げていると言えるだろう。もちろん、それ以外にも聞き所は満載である。

現在は入手困難と、作品のレベルから考えると散々な扱いであるが、間違いなく70年代最高傑作の一つであり、ビートルズやカーペンターズ、クイーン、ストーンズといった歴史的名アーティストの最高傑作と比較しても、何ら劣っていないと断言できる作品である。英国土着の音楽性を考えるに、「大英博物館」に収蔵されてもおかしくないであろう。好き嫌いを越えた音楽の持つ凄さ、すばらしさがそこに確かにあるはずだ。(2005/08/29)
 Renaissance 「Turn of the Card」(イギリス盤) 1974年 maximum
1.Running Hard     2.I Think of You    3.Things I Don't Understand
4. Black Flame       5.Cold Is Being     6.Mother Russia
ジャンル区分プログレッシブロック フォーク トラッド クラシック
良い点・加点要素圧倒的なスケールを伴った劇的な展開 荘厳さ 希代の名曲「Mother Russia」 入門用としても最適の一枚
減点要素・注意点特になし
ルネッサンスの3rdアルバム。ルネッサンスファンの中でも人気が非常に高い。個人的にもガーネットクロウの1stアルバムと並び、「最も好きな女性アーティストのアルバム」である。もちろん、アルバム評価も最高で、上記2ndアルバムと同様、掟破りのマキシマム評価。残りの人生、あとどのくらいの数のアーティストの、どのくらいの数の作品を聞くのか定かではないが、個人的にこの作品よりも好きで且つ高評価の作品はもう出てこないように思う。自分にとって永遠の名盤であり、私が死んだ際には遺体と一緒に棺の中に入れて欲しいと願っている作品・・・。

作風としては、基本は1st、2ndで培った「英国フォーク・トラッド+クラシックを柱としたプログレッシブロック・ロック」であるが、英国土着の音楽性がかなり薄れ、クラシックの交響曲的壮大さと劇的さを強めている。どこか牧歌的な雰囲気もあった前作とは全く対照的に、ルネッサンス作品の中でも最も重厚で冷たく、暗い作品であると言えるだろう。前作が「英国の田園風景」的雰囲気を感じさせたのに対し、今作は「冬のロシア」のような凍てつく寒さと荒涼とした雰囲気が支配している。
とにかく収録各曲のスケール・演奏者の力量・卓越したメロディーセンスが尋常ではない。「劇的さ」とか「展開美」といった言葉が、今作を賞賛するために存在すると言っても言い過ぎではないぐらいに、音楽を構成する各々が曲にすさまじいまでの緊張感と美しさとを与えている。特に圧巻なのは、3〜6曲目での流れであろう。
鋭利なピアノ演奏と、アニーの緩急高低を駆使した歌唱及び超絶シャウトとのバトルがすさまじい緊張感を生み出している3曲目。クラシカルなギターと鍵盤楽器が荒涼とした雰囲気と極上の哀愁、美しさを演出している4曲目。パイプオルガンの旋律と、アニーのオペラティックな歌唱が教会音楽のような神聖さを生み出している5曲目。しかし、真に語るべきは、最終曲である6曲目であろう。個人的にルネッサンスの中だけでなく、ビートルズの「Yestaday」「Let it be」、ZEPの「天国への階段」、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」に匹敵する、20世紀の楽曲の中でも最高の部類に入る名曲中の名曲と思っている。
壮大なパーカッションと流麗なピアノ旋律、アニーの、地に響き渡るかのような低音ボーカルと高音ファルセットが曲名である「母なるロシア」の如くのすさまじい寒さ・荒涼さを放出する。徐々に盛り上がっていくイントロ、ドラマティックで悲壮なサビ、複雑な構成の中間奏、そして怒涛のクライマックス・・・、あまりに見事すぎる構成を前にただのみ込まれるだけ。特にアニーの高音が冴え渡りすぎるサビでの力強い歌唱と中間奏でのファルセットは根こそぎ魂を持っていかれるかのような迫力に満ち満ちており、そこに恐怖すら感じてしまう・・・。この曲の持つ凄さ、美しさ、壮大さ、アニーの歌唱の魅力・・・、もはや文章で示すのは不可能であろう。最高の名曲を前に無駄な言葉は不要。

お世辞でも聞きやすい音楽とは言えないが、数あるルネッサンス作品の中では、極端なまでの壮大さや複雑さがなく、劇的で哀愁漂う曲が多いことから最も聞きやすい作品のように思う。紙ジャケであるのが難点だが、「デジタルリマスター盤」が比較的容易に入手できるので、是非とも聞いて頂きたい。
なお輸入版を購入する場合、必ず「ドイツ盤(Germany盤)を購入してほしい。他の盤では著作権の関係で5曲目のピアノ演奏が大幅カットとなっているので。上のリンクはそれにつながっている。(2005/09/03)
 Renaissance 「Scheherazade and Other Stories」(英国盤) 1975年 100点
1.Trip To The Fair     2.The Vultures Fly High    3.Ocean Gypsy
4.Song of Scheherazade:
Fanfare;    The Betrayal      The Sultan     Love Theme
The Young Prince and Princess as told by Scheherazade
Festival Preparations    Fugue for the Sultan     The Festival      Finale
ジャンル区分プログレッシブロック クラシック
良い点・加点要素すさまじい叙情性と幻想性に溢れた曲 成熟したアニーの歌唱
減点要素・注意点行き過ぎた大曲主義をどう捉えるか
ルネッサンスの4thアルバム。「千夜一夜物語」を主題としたルネッサンス初にして最後のコンセプトアルバム。プログレにおけるコンセプトアルバムは、名プログレアーティストにとっての一つの到達点・完成形と言ってもいいだろう。優れた構成力やバランス力が必要で、一歩間違うと駄作一直線となる危険性が非常に高いなど大変製作が難しいからである。スポーツにおける心技体の鍛錬の如く、音楽を構成するすべての要素及びアーティストの知力と技術、思想、精神力すら惜しみなく且つ完璧に作品に込めなければいい作品とはならない。だからこそ、名アーティストの代表作にコンセプトアルバムが多い。いや、コンセプトアルバムで大傑作を生み出すことこそが名アーティストの条件といってもいいだろう。ルネッサンスは今作をして今までとは全く違う、そして名プログレアーティストに相応しい音楽世界を提示したように思う。

楽曲の基本は今までと同じく「英国フォーク・トラッド+クラシックを柱としたプログレッシブロック・ロック」である。が、今作では、2ndのような英国トラッドや3rdのような緊張感溢れるクラッシックの要素がより薄れ、そのコンセプトに相応しく鍵盤楽器や電子音を多用して構築された幻想的且つ叙情的な音世界が1曲目から怒涛の如く展開される。また、今までに増して楽曲に大曲志向が見られるのも、今作の大きな特徴だ。最終曲に至っては9パート・24分というとんでもない構成に・・・。この辺の大曲志向は人によっては好み評価が分かれるところだろう。既に時代はプログレ瓦解の方向へと向かっていたが、その最大の理由である「難解化・壮大化」傾向を今作でも見て取れる。
とはいえ、ルネッサンス作品に相応しい楽曲の個性・完成度と圧倒的な演奏技術を堪能できるという点にいささかの陰りもない。物語世界をさまよっている感覚にとらわれる深遠且つ不気味さいっぱいの1曲目、圧倒的な躍動感と緊張感、疾走感で問答無用に聞き手を引きずるルネッサンス随一のショートレンジ曲である2曲目、夕暮れの波止場をさすらっているような寂しさに苛まされる3曲目、そして「これぞプログレ」と言わんばかりの大曲曲である最終曲とケチのつけようもない名曲ばかりである。作品からにじみ出る叙情性や幻想性に関しては、ルネッサンス史上でもダントツ一番の作品といってもいいだろう。
また、アニーの歌唱も毎度ながらすさまじい。3作目までとは違い、技術や力よりもより表現に重きを置いた彼女の一歩引いた歌唱は、歌姫としての更なる進化を遂げたことを何よりも示している。あまりに流麗に曲を歌いこなしているから聞き逃してしまいがちだが、その技術、表現力は怪物という他ない。1曲目の暗黒ファルセットは地獄への片道切符・・・。この世のものではない。

今、デジタル音楽時代となり、作品通しての完成度より1曲、いやほんの数秒だけの出来を重視した「断片的な製作手法」や「商品としての音楽」がもてはやされるようになっている。しかし、そんな底の浅い思想では1000年曲を作り・歌い続けてもたどり着くことの出来ない音楽が60年代、70年代にはたくさん存在した。今作はそのような音楽を象徴する最上級のものであろう。すさまじい作品である。(2005/09/16)



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