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諫山実生 「恋愛組曲」 | 2005・01・26 | 70点 |
| 東芝を代表する実力者諫山の4thアルバム。諫山に関しては、その実力を高く評価しながらも、実力の結晶体であるアルバムに関してはいい評価をしたことがなかった。今回、先行シングルの「月のワルツ」の出来がとてもよかったので、今度こそはと期待していたのだが、残念ながらまたもやそうはならなかった。それどころか今作で、諫山の問題が以前以上に浮き彫りになってしまったように思う。曲もまずまず、歌も上手い、編曲もよい。芸術的で美しい作品世界は、「さすが東芝」と納得できる出来である。でも、同時に相変わらず何かが足りないと認識せずにはいられない。大きく分けてそれは、@諫山の歌唱の問題とA作風の問題、それらが一体化して生じさす問題とがあるからであろう。 諌山の歌唱は、上手いといっていいし、声質もまずまずなのだが、同じ東芝系列のアーティストや平原・柴田などドリーミュージックアーティスト、または鬼束といった対抗陣営の面々に比べると、その両要素で圧倒する程の個性・魅力はない。逆に淡白といってもいいだろう。それが聞き手にそれほど圧力を感じさせず、気楽に聞かせるという美点を生み出してはいるものの、それと同時に、そうでありながらもやや粘着質的に絡む独特の歌唱の癖が、聞き手に抵抗感や均質さを与えてしまっているように思う。(実は「手紙」や「春」など彼女の経歴を代表する曲では、この癖があまり出ていない)。「月のワルツ」ではその癖がなかったので、今作は大丈夫だろうと思っていたのだが、一部の曲以外で結構復活してしまっているのがいただけなかった。 そしてもう一つのA。諫山の大きな問題は、作品毎に作風が変わっていること。デビュー時は日本の童謡や民謡の要素を感じさせる音楽性だったのに、その後は70年代的ニューミュージックの要素を見せ、今作では西洋童話や物語の詞の影響を受けてか、ワルツとかクラシック的な要素も見せている。で、この両者の問題は、結局のところ「諌山の特徴・強みって何?」という疑問に突き当ってしまう。作風も変わったし、アップテンポの4曲目など新機軸もあるにはあるが、全体的にはピアノを主軸としたミドルテンポバラード曲で構成されている点では過去と何ら変わっていない。上記にあるように歌い手としての絶対的な個性がないことも合わせ、諫山というアーティストを見せ付ける「一本芯の通った何か」がないのである。よって曲数が比較的少ないにも関わらず、今作も過去の作品と同様聞いていて飽きてしまう。デビュー当初から話題になり、実力が高く評価されてはいるものの、他の東芝アーティストと違い何故第一線に立てないかの理由は、実はこれらことにあるのではないだろうか。今の彼女に必要なのは、作曲技術や歌唱技術の向上ではなく、自分なりの強みとなる「楽曲の型」「王道パターン」というものを見出すことであろう。そしてそれは、初期の「あやとり」「手紙」のような日本の民謡・童謡的音楽の追求ではないだろうか。それができない限り、たまにヒット曲を出せたとしても、人気は伸びないと思っている。 また、収録曲に「手紙」があったのも大きな減点材料。名曲ではあるが、過去に2回収録された作品をいまさら聞く気にはなれない。今作がCCCD使用と合わせ、そのせこさは東芝の愚かさを率直に示しているだけだろう。 何だかんだいっても、諫山の実力の高さが伺える作品ではあるので、諫山ファンならずともチェックされてみては如何だろうか。(2005/01/26更新) | |||