鬼束ちひろ

 鬼束ちひろ 「INSOMNIA」 2001・03・07 72点
鬼束の1st。今までの日本の音楽界で、この手のアーティストがなかなかいなかっただけに、「シャイン」「月光」などを聞いたときは、「こんなアーティストがでてきたんだ」と感心したものである。彼女の、若者の心理の混沌と葛藤とを、まるでするどい刃物で抉り出すかのように綴った詩、背筋に突き刺さるかのような暗さと荒涼さに溢れているメロディー、そしてそれらを包み込むかのような絶唱。表現されるすべてが、圧倒的存在感をもって、否応なく聞き手を引きずり込む魅力がある。しかし、アルバム全体で聞いたとき、曲調と歌唱が似通っていて、集中して聞くには少しくどいということ。ひたすらメロディーも詩も暗いということ。こういった点が、この作品に対する評価を下げるに至った。だが、こういう世界観が好きな人にとっては、本作は史上に残る名盤であると思う。「月光」は文句なしの名曲。(2004/02/14改稿)
 鬼束ちひろ 「This Armor」 2002・03・06 81点
鬼束の2nd。暗さと荒涼さに満ち溢れた前作に比べると、幾分楽曲に深みと温かみが加わり、聞きやすくなった。楽曲の幅広さと完成度も大幅に増し、音楽的にも人間的にも彼女の著しい成長を感じるとれる傑作といえよう。彼女の強みたる、情感たっぷりの歌唱とオーケストレーションの魅力にさらなる磨きがかかっているのは、今作の聞き所であろう。個人的にはこの方向性はいいと思うのだが、前作のような作風に鬼束の醍醐味を感じていた人にとっては、評価が分かれるところであろう。「infection」「流星群」は名曲中の名曲。(2004/08/23改稿)
 鬼束ちひろ 「Suger High」 2002・12・11 82点
鬼束の3作目。1stのような、いっちゃたり尖ったりした感じは殆どなくなり、聞き手を包み込むかのような深みと温かみを感じる作品となった。かつての鬼束に醍醐味を感じていたファンにとって、この作品に対しどのような思いを抱くのか非常に興味のあるところであるが、個人的には、彼女の音楽的成長のみならず、人間的成長をさらに感じさせる良作に仕上がったと思う。一番の収穫は、「Tiger in my love」に今後の鬼束の進む方向性を見出せたことだ。ただ、やはり少しおとなしすぎる感があるのと曲数が少し少なかったのが減点につながった。
それにしてもこの作品のジャケ写真には驚いた。始めてみたとき「誰よあんた、鬼束もついにキチャッタカ」と思ったものです。(2004/08/23改稿)



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