| 奥田美和子 「二人」 | 2005・06・25 | 60点 | |
| 1.青空の果て 2.無言 3.雨の音 4.雨と夢のあとに 5.日曜日の朝 6.夢 7.哀しみに溺れて 8.はばたいて鳥は消える 9.絶望の果て 10.さくら散る前に 11.ブランコに揺れて 12.歌う理由 13.ふたり (2002.11.4.lavalse) | |||
| ジャンル区分 | ラウドロック ハードロックを介した情念系 | ||
| 良い点・加点要素 | 苦しみ悲しみを上手く表現した奥田の歌唱 | ||
| 減点要素・注意点 | メロディーと詞が一部かみ合っていない 強引でダレるメロディー シングル・カップリング多い パターン化した楽曲 | ||
| 作家の柳美里とのコラボ、ドラマタイアップで売り出されたアーティスト奥田美和子の1stアルバム。デビューしたのが2000年なので、非常に遅いアルバムリリースである。 ジャンルとしては、ハードロック・ラウドロックを介した情念系。往年のCOCCOの要素を受け継ぐ、自傷的で且つ自身の内面を激しい歌唱と演奏とに乗せて吐き出すスタイルである。時代の流れに照らし合わせると、もはや少数派・オールドタイプになっているとすら言える。 「さすがは作家」とうならせる印象的な言葉・文章が多い柳の詞を、「刃」を突さすかのように聞き手にたたきつける奥田の先鋭的で感情的な歌唱は、COCCOや鬼束には及ばないものの、かなり高いレベルにあると言っていいだろう。シングルである1曲目や6曲目などはその典型で、問答無用に圧倒される迫力・鋭さで満ちた良曲。また、ドゥームメタルっぽいどろどろの7曲目もよい。が、残念ながら全体的な評価としては、かろうじて合格点レベルに留めておいた。問題が実に多く良作とは言いがたいからである。 まずは詞。これは柳が作詞家ではなく作家という点が災いした。印象に残る言葉や文章が多い反面、作家としてのプライドや意気込みが空回りしたのか、はてまた聞き手が印象的と感じるであろう言葉の盛り込みを意識しすぎたのか、全体的に饒舌過多になっているところがある。曲や歌よりも詞が主役のように思えてならない。それゆえ「酷い」とまでは言わないものの、詞と曲との一体感が希薄で言葉だけが必要以上に浮いているところがある。2・3・4・8曲目はその典型の曲で、せっかくの曲の質を下げいるといわざるを得ない。 2つ目は、5年目のアルバムということもあるが、シングルカップリング曲が多すぎること。 3つ目は、ラウドロック調の曲が既にかなりワンパターン化していること。なまじ歌唱も詞も印象的過ぎるだけに、飽きられたり敬遠されたりする大きな理由となるだろう。 3つ目は、1曲目の詞と曲調とを変えただけの9曲目の存在。 4つ目は、単にダラダラしたメロディーと歌唱とが続く2・3曲目の出来の悪さ。 ただ、ここで挙げた以上の問題として、このような先鋭的で激情に満ち満ちた情念系音楽は、早晩ネタ枯れするか聞き手から飽きられるかのどちらかになりやすいことがある。あのCOCCOですら3作で終わった。また、鬼束が作品毎に音楽性を広げたことから見てもそう考えていいだろう。つまりは一点集中で優れた楽曲を聞き手にたたきつけなければならないということである。しかし、この作品は細かいところでの問題が多くそれが出来ていない。強烈に引き込まれる曲があるが同時に聞いていて「微妙な曲」も多いのだ。このことこそが厳しい評価を下した最たる理由なのである。あまたあるこれら問題を早い段階で克服しないと、コアなファンや激情音楽が好きな人が支持するだけでメジャー市場から淘汰されるような気がしてならない。(2005/08/21) | |||