| 北出菜奈 「18−eighteen−」 | 2005・08・24 | 82点 | |
| 1.KISS or KISS 2.消せない罪 3.螺旋 4.pureness 5.HOLD HEART 6.Alice 7.悲しみのキズ 8.撃たれる雨 9.Fake 10.瞬間 11.eighteen sky | |||
| ジャンル区分 | ハードロック ラウドロック〜情念系 | ||
| 良い点・加点要素 | 情念ほとばしる北出の歌唱 ロック然とした楽曲 | ||
| 減点要素・注意点 | オリジナル曲の少なさ 曲によって歌唱の質が違いすぎる 独特の唱法と感情が出すぎている詞が故に聴き手を選ぶ | ||
| ソニーはおろか、今の業界では非常に珍しく「情念」や「ティーンズの葛藤」を全面的に押し出した、既に今では「オールドタイプ」とも言うべき楽曲をやっている北出の1stアルバム。彼女に関しては、曲の「出来不出来」が結構激しいことから今作に対し不安視していたのだが、なかなかどうして、まずまずの作品に仕上がっている。 当初は歌唱技術のなさからロック然とした曲しか歌いこなせない・魅力を出せないと考えていたが、キュートさのある1曲目や哀愁漂う繊細なバラードである3曲目・11曲目と非常に健闘している。技術的には脆弱なところがあり、細かいところを言い出したらキリがないが、等身大の気持ちを赤裸々につづった詞を感情をむき出しにして真摯に歌いきる姿勢が、その問題を補ってあまりある魅力を楽曲に与えているように思う。正直ここまで彼女が歌えるとは思いもしなかった。ただし、詞も歌も感情が出すぎているが故に、そういったものが嫌な人はなかなか聴き続ける事ができないだろう。良くも悪くも彼女の個性や魅力・人間性をどう捉えるかが作品評価を決定付けるように思う。個人的にはこういった路線こそが彼女の本領であり、頑固に自己の路線を貫いているという点で高く評価している。特に切なさが前面に出ている4〜5曲目の流れ、特に北出史上最高の曲だと思っている5曲目には、いい年してキュンとなってしまった。技術はともかく、フィーリングで聴かせるという点で、実は彼女はかなり実力と魅力のある歌い手ではないだろうか。それ以外の楽曲に関しても、9曲目以外これといった問題もなくまとまっている。前半に勢いある曲、中盤に切ない曲、後半に比較的穏やかな曲をまとめた曲順も良く考えられていると思う。ただ、いい作品だけにどうしても気になってしまうことがあったのが残念だ・・・。それは、デビューしてから今作発表まで1年半以上かかった点に集約されている。 1つは当然のことながら、この期間に発表されたシングルを全部収録したためアルバムオリジナル曲が少ないこと。わかっているとはいえ、少し物足りない。もう一つは、曲によって歌唱の質が歴然と違うことである。 16〜18歳と、心身や精神的なものも含め大きく変わっていく年頃に歌われたので、歌唱のレベルやスタイルの違いが明確に出てしまっていて違和感を感じずにはいられないのである。初期の曲である2・8曲目と最近の曲である5・7曲目を聴けば一目瞭然。ちまたでぶったたかれた「矢井田的巻きまくった歌唱」である前者は作中で浮いてしまっている。 北出の歌唱や詞の内容に抵抗を感じないのであればぜひとも聴いていただきたい作品である。今までは何だかんだと彼女に対して厳しいことも言ってきたが、今作を聴いて、今の魅力を失わずに今後もがんばっていただきたいと強く思った次第。技術ではまだまだ足りないところもあるが、往年の「不良ロック」路線を継承できる数少ないアーティストの一人であるのは間違いない。(2005/11/19) | |||