数多
 笹川美和 「数多」 2005・01・19 82点
エイベックスどころか日本の中でも異彩を放ちまくっているアーティスト笹川の2作目。今作発売前のシングルに対し、「あまりにも代わり映えしなさ過ぎる」などとかなり厳しい評価をしたこともあり、アルバムの出来に関し不安視していた。だが、その心配は無用のものとなったようだ。
民謡調でゆったりとした同一旋律に同一詞を乗せ、山々に響き渡るこだまを連想させるスケールのでかいこぶしをきかせた歌唱でそれをひたすら歌い続ける・・・。どこをどうきってもまごうことなき笹川ならではの音楽である。もうここまで自己の音楽を貫徹されると、その潔さ・頑固さに敬服せずにはいられない。曲を聞いて「エイベックス所属」と推測できる人は皆無であろう。「あっぱれ笹川」と言いたい。
ただ、作風に関しては、全く変化がないわけではない。6曲目「ごとく」では硬質なアレンジ、10曲目「亡者」ではジャズ調、11曲目「美しき影」ではギターとピアノのバッキングが印象的なアレンジが取られるなど、アレンジ面での大幅な向上が見られ、彼女の美点でもあるが同時に大きな欠点でもある「マンネリ感」を低減させ、音楽的な幅広さをもたらしたのではないだろうか。ただ、前作よりも点数を低くしたのにはいくつか理由がある。
今作の問題は、ます、前作でも少し感じたのだが、超個性的な曲調と歌唱にも関わらず収録曲が10曲以上と少し多いこと。笹川だとやはり10曲11曲あたりが限界。それ以上だと曲の質が水準を満たしていたとしても、聞き続けるのが辛くなってくる。そしてもう一つは、前作の収録曲より若干求心力がやや落ちたことか。これは笹川のスタイルに聞き手である我々がなれてしまったのもあるが、キレていた感のある前作に比べると作風が落ち着いた感がするのもその理由なのではと考える。ただ、「ごとく」が放つ問答無用の凄みには圧倒された。「ごとく〜ごとく〜ごとく〜」の必殺フレーズが頭の中でこだまする。この快感は彼女以外のアーティストでは決して得られないものであろう。
何だかんだいいつつも、よく出来た作品。笹川ファンなら必聴の作品であるのは間違いない。私のようにマンネリ感を感じていた人にとっても、安心して聞ける作品である。(2005/02/19)



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