風と空と
 岩田さゆり 「風と空と」 2005・05・25 62点
1 空飛ぶあの白い雲のように     2 碧     3 空色の猫
4 あなたはあなた。    5 たんぽぽ     6 深海の光
7 明日は今日より笑っていられますように     8 未来へと
ジャンル区分懐古的な雰囲気のあるJ−pop
良い点・加点要素統一感のある作風でまとめられた良質の曲
悪い点・減点要素岩田のヘロヘロで平坦な歌唱
ラブベリー専属モデルで「金八先生第7シリーズ」でレギュラー出演したことにより注目を集めた岩田の1stミニアルバム。シングル曲での酷い歌唱もあり、今作には全く期待していなかったのだが・・・。厳しい採点結果になったものの、「駄作・凡作」とは全く思っていない。どちらかというと、「奇作・珍作」だと思っている。今まで数多くいろんな作品を聞いてきたつもりでいるが、こういうタイプの作品は聞いた記憶がない。初めて「珍種や珍味」に遭遇したかのように、その作風・出来をどう捉えたらいいのか、文面を書いた今でも戸惑いがある。そう、まるで今作ジャケにおける彼女のように複雑な表情となってしまうのだ。

収録曲は、シングル曲を始めアコースティックギター、ピアノを主軸としたネオアコ的なバラード中心の作りとなっており、懐古的で哀愁漂う雰囲気で全体がまとめられている。打ち込み過多で装飾華麗な曲が氾濫し、それに慣れてしまっているのもあるが、今作のシンプルで適度に隙間が空けられた音作りは逆に新鮮味すらある。ダンスやR&B、洋楽路線か王道バラード路線に傾倒しがちなアイドルアーティストにおいて、今作のような作風は実は珍しいのではないだろうか。さらに収録曲の質が高いのもよかった。
1曲目の大野曲はイマイチだが、GIZAの新鋭が作曲した2・6・7・8曲目やガーネットクロウの中村が作曲した3曲目あたりはかなり出来がいい。地味な曲調なので見逃しがちだが、演奏、編曲、音質などもよく、丁寧に作られているのがよく分かる。曲の出来だけで言うと、竹井・上木・菅崎といったGIZA非作曲アーティストと比べても全く遜色ないと思う。しかし、ここで話が終わらないのが今作の奇作っぷりを示している。

今作を奇作たらしめており、今作を考える上で唯一にして最大のポイントとすら言えるのは、「岩田の歌唱」である。はっきりいって技術的にはかなり酷い。4・5曲目を始め、「無迫力で平坦すぎる歌唱」は下手をすると「小学生のお歌の発表会」レベル。声質は切なさや懐古的な雰囲気作りに貢献していると思えるところもあるのだが・・・。
何だかんだ言っても今作の評価は、「秀逸な演奏やアレンジ・楽曲に対する岩田の未熟極まりない歌唱」というすさまじいアンバランスさに何処まで堪えられるか・受け入れられるかの「ガマン比べ」の結果で決まるような気がする。それを苦にしない人にとっては今作は「佳作」(70点ぐらい)で、そうでない人にとっては「駄作」(50点以下)となろう。彼女の歌唱技術が北原愛子や三枝夕夏レベルであれば、今作はかなりの傑作になったように思う。が、一方である意味この「下手さ」が魅力となっているのも否定できない事実だから話がややこしくなってくる。侮れない作品だ。
彼女の歌唱を肯定的に捉えるにしろ、そうでないにしろ、今作がGIZAの歴史を代表する「問題作」であることは間違いない。(2005/06/19)



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