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星田紫帆 「終わらない願い」 | 2005・11・16 | 84点 |
| 1.ほどけた指 2.迷子 3.強くないよ 4.終わらない願い 5.まなざし 6.Tragic Love 7.笑顔 | |||
| ジャンル区分 | ハードロック ロック J−pop | ||
| 良い点・加点要素 | 荒削りながら癖がなく柔軟性のある歌唱 6曲目の秀逸さ 多彩さとバランスのよさに秀でた曲 | ||
| 減点要素・注意点 | 音質が悪い | ||
| GIZAが唐突に送り出した新人、星田柴帆の1stインディーズミニアルバム。ジャンルとしては、ハードロックを柱とした音楽になる。 しかし、この星田は、ここ数年の音楽シーンで顕著に見受けられる情念やグルーブを主体としたラウドロック的なそれとは大きく違う。キャッチーさやポップ性を含んだストレートな作風となっているのが大きな特徴である。 このことは、癖がなく、伸びやかで繊細な星田の歌唱と合わさることによりさらに増幅され、同種他者にはない圧倒的な聴きやすさをもたらした・・・。かつて宇多田登場により本格R&B路線・洋楽路線へとシーンが動いていく中、一人「聴き易さとなじみ易さ、繊細さ、柔軟性」と、この手のジャンルにあるまじき要素で成功をおさめた倉木麻衣登場時を髣髴とさせるかのように・・・。そう、この星田は、まさに「ロック・ハードロック版倉木麻衣」とも言うべき存在なのである。 それを示すように、ミニアルバムであるにも関わらず、ラウドロック的な1曲目、繊細なロックバラードの2曲目、アコースティックサウンド主体のバラードの3曲目、スローでけだるさや退廃感を感じさせるハードロックバラードの4曲目、繊細なピアノバラードの5曲目、圧倒的な疾走感と力強さ・劇的さで満ち満ちたメロディックスピードメタルの6曲目、高音歌唱が冴え渡る穏やかなバラード最終曲と楽曲は多彩。若干の甘さはあるが、様々な曲を見事に歌いこなせる器用さや柔軟性は高い評価に値しよう。 また、失恋や若者ならではの葛藤やダークな心理状態、人間のエゴを鋭く抉り出した詞も良い。荒削りではあるものの、作詞・作曲ともにかなりのセンスを持っている。それ以上に曲と歌を通して感じ取れる無限の可能性と柔軟性、それをふんだんに生かした王道直球の作風は歴代GIZAアーティストの中でも最も洗練されており、一般聴衆に訴えかける魅力があるように思う。それどころか、他社の有力アーティストと比べても遜色ないと言ってもよいだろう。すばらしいという他ない。 一説には、倉木や滴草を育てた西室斗紀子が今作のプロデューサーらしいのだが、曲の流れをはじめ作品全体の構成の秀逸さ、6曲目の作詞を星田と共作している点、そして何より星田の実力と魅力を見てもほぼ間違いないように思う。 かつて「ポスト倉木」と言われていた菅崎茜の動向が今だ不明確である今、この星田こそがその役割を担い、新たなGIZAの看板となるにふさわしい。今作を聴いてそう確信した。 と、ここまで褒めまくっておいてなんだが、今作には問題もある。それもかなり痛いものが・・・。新人の出す第1作目としては、歌唱・曲とも実にすばらしいのに、今のGIZAの財政事情やインディーズという扱いもあってか、「音質が悪すぎる」のである。全体的になんかフィルターがかったようなくぐもったサウンドで楽器の音のヌケが悪い。特に4曲目なんかは露骨にギター音がこもってしまっていてお話にならない・・・。このことがなければ90点前後の点を確実に与えていただろう。実に嘆かわしい。いったいGIZAは音楽やアーティストを何だと思っているのだろうか。早急にデジタルリマスター再発を望む。 追記: 詞を西室と共作した6曲目は、ここ数年のGIZAのハードロック系曲の中でも最高のハードロック曲。歌唱、メロディー、演奏、展開どれを取っても完璧で、どこに出しても恥ずかしくないすばらしい曲である。この1曲を聴くためだけに1500円払って今作を買う価値があると断言する。 入手がかなり困難な作品ではあるが、哀愁ハードロックが好きで且つGIZAの将来を心配しているのであれば迷わず今作を購入していただきたい。(2005/11/17) | |||