![]() |
平原綾香 「ODYSSEY」 | 2004・02・25 | 77点 |
| 「ジュピター」で一躍時の人になった平原の1stアルバム。出来はというと、取り立ててよくも悪くもなく、なんとも「微妙」な作品ではないだろうか。ジュピターのみではあまり気付かなかったのだけど、アルバムとおして聞いたとき、声量とか音程といった技術的なレベルに比べ、表現力の乏しさが耳に付いた。それは単純に表現力がない、ということよりも歌いまわしの平坦さと特徴のありすぎる声が原因ではないだろうか。歌い手としての今後の課題であろう。また、アルバムの曲のできはまずまずなのだが、少し弱さが否めない。おとなしすぎる曲が多いのと、それら曲の起伏の乏しさが影響している。それを「彼女の特徴」として捉えることができるかどうかが、この作品に対する評価を大きく分ける要素だろう。残念ながら私は好意的にとらえることはできなかったのだが・・・。ただ、音大アーティストらがえてして有しがちな、「型にはまりがちな退屈さ・面白みのなさ(決して悪いわけではないのだが)」が池田綾子や星村麻衣ほどに感じなかったことは非常によかった。インスト曲やジャズ的要素を感じる曲や、10曲目のような曲には、結構面白みを感じたので、表現力さえ向上すればいいアーティストになると思うのだが・・・。優れた才能と共に課題も感じたデビュー作であった。(2004/02/24) | |||
![]() |
平原綾香 「The Voice」 | 2004・11・25 | 85点 |
| 1stアルバムから1年と立たず発売された2ndアルバム。しかし、この短い期間の間に歌い手としても作曲者としても著しい進化・成長を遂げたことを証明する力作といえよう。特に歌唱の進化は尋常ではない。1・3・10曲目などを中心に、彼女の武器である低音部分の歌唱に一層の磨きがかかり、それと相対する高音やファルセットなど歌唱技術の著しい成長と、それに伴う表現力の成長とが、彼女ならではの個性的な歌唱の魅力を強化し、作品の完成度を大いに高めている。1stのレビューで書いた「表現の乏しさ」など微塵もない。 また、自身が作曲した5曲目をはじめ、服部隆之が提供した6曲目などアルバムオリジナル曲の質も高い。当初「絶対あかんだろう」と予想していた陽水のカバーである「心もよう」も特に問題なし。坂本を主軸とした編曲もすばらしく、管弦楽器をふんだんに盛り込んだ壮大なそれは、曲のスケール感と美しさと平原の歌唱の魅力を出す上で、実にいい役割を果たしている。 曲調はミドルテンポのバラード曲が中心で以前より曲種の幅が狭くなったが、そこのところをどう捉えるかがこの作品評価の上で重要な要素となるだろう。個人的には、「自身の進む道を見つけた」「自身の才能を一番よく生かすことのできる曲種に特化した」と好意的に捕らえている。 あえて難をつけるとすれば、10・11曲目あたりのところで少しダレ気味に感じてしまうことと、作品の世界を損なったり質を下げたりはしていないもののシングル・カップリング曲が多いこと。その辺のところの問題がなければ、80点台後半の点だったのだが・・・。そうはいっても、平原の才能とその成長、実力者や社の惜しみない力添えなどすばらしい製作環境が生み出した傑作ということができよう。前作を聞いて「これはちょっと」と思われた方にこそ聞いていただきたいアルバム。今年の代表作。(2004/12/11) | |||