Heart&Symphony
 島谷ひとみ 「Heart&Symphony」(通常盤) 2005・10・12 80点
1.Sky High      2.Falco -ファルコ-      3.真昼の月    4.沙羅双樹
5.Salvia      6.Garnet Moon
       7.Mona Lisa
8.kokoro      9.〜Mermaid〜      10.太陽神
11.voice       12.フレーム       13.Bonus Track: Viola(crossover version.)
ジャンル区分J−pop 民族音楽 クラシック
良い点・加点要素島谷の表情豊かなで美しい歌唱
減点要素・注意点高尚な路線を彼女に求めていない人には聴き辛い 作風に統一感があるがややバラード偏重気味で単調
島谷ひとみの6thアルバム。前々作、前作で見受けられるようになった「クラシック、民族音楽」と島谷的J−popとの融合路線をより一層強めた作品になっている。オーケストラをふんだんに用い、ドイツでレコーディングという点を見てもそのことを伺い知れる。ようやくエイベックスも力を入れだした、ということか・・・。
そういったこともあり、過去2作どころか今までの作品と比較しても、編曲・演奏面に関して比較できないほど良くなっている。4・5曲目を始め、深遠で壮大な雰囲気と美しさとを存分に堪能させてくれる・・・。前作の様な「コンセプト倒れ」もなく、今までの作品にどことなくあった「安っぽさ」や「B級的」な要素もほぼ払拭されていることもあり、商業音楽というよりは芸術音楽の領域に属しているといってもいいかもしれない。もちろん、従来の魅力である「東洋的なエキゾチックさ」を感じさせる2・6・13曲目もきちんと盛り込まれている。曲の完成度に関しては、過去最高ではないだろうか。「凡曲・駄曲、安直な企画」ばかりを与えられていた感のあった彼女なので、本当にうれしく思う。
しかし、そういった感想を抱かせるのはバックの演奏や編曲、曲の良さもさることながら、島谷の歌唱によるところが大きいだろう。

元々声質の良さや器用さ、表現の上手さに秀でた歌い手であったが、ここ数作の路線が彼女の歌唱力を一層成長させた。平原綾香のような圧倒的な迫力や、一青窈のような和の要素・懐かしさ、柴田淳のような凄まじさ、個性派ボーカルのような先鋭さはないが、エモーショナルで、それでいて「世界最高」と言いきってしまいたくなるエキゾチックさを帯びた歌唱は大いに心の琴線を揺さぶってくれる。その表現の上手さや柔軟性に関し、今作をして、日本の「非作曲アーティスト」の中でも最高峰の領域に達したのではないだろうか。いや、本当に上手い。正直に言って彼女がここまで歌えるとは思いもしなかった。

今作は島谷ひとみのアルバムの中で最高傑作であると思う。
ただ、ひたすら絶賛だけで終わらないのが今作と島谷の悲しいところ・・・。
全体的にバラード曲偏重の構成で、オーケストレーション主体のアレンジは、その手の音楽が好きな人であればいいのだが、彼女にノリや痛快さ、健康的なエロティシズムを求めている人からは、不満が出そうな気もする。このような「本格的な音楽性」や「高尚さ」が「彼女の進むべき方向」としてふさわしいのか、ファンも製作側も考える必要があるだろう。また、オーケストレーション主体の音作りは、壮大で美しさをもたらしている反面、一方で楽曲に「統一感」というよりは「均質感」を感じさせる理由になってしまっている。特にシングル曲である「mermaid」以降その傾向が強く出てしまい、終盤が「ダレ」てしまったのは残念であった。
よって、優れた歌唱、優れた曲のある良作品だと思うが、各大手レコード会社でこの手の音楽をやる有力アーティスト(平原綾香 柴咲コウ 大竹佑季 一青窈)らを凌ぐものがあるかというと、まだまだ厳しいものがあろう。高評価にしたものの、本音を言うとこの路線で今後もいってほしいとは思わないのだが・・・。果たして・・・。(2005/11/05)



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