浜崎あゆみ

 浜崎あゆみ 「A Song for ××」 1999・01・01 84点
浜崎の記念すべき1stアルバム。このアルバム発売1月前に出た宇多田のアルバムとこの作品の登場により、2002年まで至る2大女性アーティスト時代が始まることになる・・・。
デビュー作だけあり、浜崎の歌唱ははっきりいって下手。音程も怪しいし、声音の使い分けも出来ておらず総じて平坦である。だが、そうでありながらも、エイベックス看板作曲家と編曲家の実力が惜しみなく注ぎ込まれた2・6・8・10・12などの曲を始め、完成度の高い粒ぞろいの楽曲らを実に見事に歌い上げ、各曲の魅力を存分に引き出している。何故か?。貧弱な歌唱技術や声量が、逆に繊細さもの悲しさなどを曲に与えていることと、それ以上に当時の彼女には歌を通して聞き手に伝えたい確かな主張があったことに他ならない。「歌を歌いたい・気持ちを伝えたい」といった浜崎の表現者としての確かな思いとその思いが形成した気迫とが、技術的な問題を補って余りすぎる程の歌唱の魅力をもたらす最大の理由となる。それが、秀逸な管弦楽器の旋律や打ち込みサウンドと一体化し、相乗効果を上げることにより、少年期の人間を中心に人であるが故に抱えてしまう様々な問題や心的葛藤を鋭く描き出す。多くの若者の心を捉え、教祖的な扱いを受けたのには、これらことがあるからであろう。
曲数の多さ、また4・7・13曲目がやや印象が薄かったのや、華原などで使い古されたメロパターン&歌唱の貧弱さが他曲以上に出てしまっていた11曲目の存在などが数少ない減点材料となりはしたが、今作は、とにもかくにも今の浜崎には感じ取れないまばゆいばかりの初々しさと凄みとを堪能できる名盤であることは疑いようがない。女性ソロアーティストの黄金時代であったこの時代を振り返るための必須作品であり、女性アーティスト好きなら一度は耳にして欲しい作品。(2005/01/10)
浜崎あゆみ 「Duty」 2000・09・27 87点
浜崎の作品の中で最高の売上を誇る3rdアルバム。「Vouge」「End of the world」「SEASONS」といった彼女の経歴を代表する名曲らが彩る今作は、内容もその売上に見合ったすばらしい名盤だといえるだろう。今の浜崎に微塵も感じることは無いが、今作では、完成度が高い粒ぞろいの曲、若者心理や人間の醜い深層心理を巧みに描いた詞、そして何より、丁寧且つ切実でもの悲しさを存分に感じ取ることの出来る、確かな説得力と気迫とを有した歌唱をもって、作品の美しさや世界観を見事に表現しきっている。ドラマティックな展開と身を切るような歌唱が印象的な「Duty」、民族音楽的雰囲気と壮大さとを有した「SCAR」など、多様性にも事欠かないから驚きだ。
暗いバラード曲がやや大目なのが、個人的に少し引っかかるところであるが、この当時の浜崎がアーティストとして何故絶大な支持を受けたのか、よくわかるような気がする。それにしても、今作からわずか数年で、何故今のように腑抜けてしまったのか。どんなに考えてもその答えは見つけられない。以前の他事争論でも記したが、大人になったことと、確固たる地位を得たことなどを始め、公私共に充実してしまったからだろうか。
今の浜崎には今作のように、歌を介して、人々に切実にうったえたいテーマを見つけ出せていないように思う。それは彼女のアーティストとしての存在規定に関わることであろう。それを再び見つけ出し、新たな形で人々に提示しない限り、彼女が自ら築き上げた地位は、ひたすら失墜し、崩れていくだけのような気がする。今作と今の浜崎との落差に嘆かずにはいられない。(2004/03/21)
rainbow.jpg  浜崎あゆみ 「RAINBOW」 2002・12・18 73点
ここ数年の浜崎の凋落振りには目を覆いたくなるものがあるが、今作もそのことを証明した凡作であった。
曲的には悪くはないものの、高尚さや面白みを感じさせる、魅力ある楽曲が殆どなかったのがいただけない。さらに浜崎のボーカルにもはや何の迫力も説得力も感じないこともこの作品に対する評価を押し下げた。このことは、彼女の芸能界や歌に対する執着心というものを殆ど感じないことが大きく影響していると思う。自分で作曲した「heartplace」はまだましだったのだが、まだ作曲者として彼女を評価することはできない。
まがりなりにも、日本でトップの売上げを誇るアーティストがこの程度のレベルでは悲しい。そういった意味では同年に発表されたもう一人のトップアーティスト、宇多田のアルバムも同じことがいえる。しかし、宇多田のような才能がないことから、今後彼女をとりまく環境はますます厳しさを増すと思う。(2003/03/06)
 浜崎あゆみ 「Memorial adress」 2003・12・17 72点
新曲2曲で殆どがシングルという、如何にも売上げを稼ごうとするためのセコさ丸出しのミニアルバム。内容に対する感想はというと、全作と同様、なんとも面白みに欠けるアルバムとしかいいようがない。曲は悪いとは言わないものの、シングル曲に見るように、かつてからの進歩があるわけでもなく、浜崎の歌唱にも取り立てての成長もなく、聞いていて味気もないし面白みもない。1・2曲目のつまらなさはまさにそれを象徴している。彼女より圧倒的に歌が下手でもレビューでの点数が下でも、自分の魅力というものを出せているアーティストはそれこそたくさんいよう。音楽的な問題というよりも、浜崎自身の魅力のなさとそれに輪をかけるような販売戦略のセコさが致命的。特に、気持ちや気迫の感じない歌唱は聞いていて辛いだけ。これがレコード大賞3連覇を果たし、日本で最も売れているアーティストの作品だと思うと、ものすごく悲しくなってくる。外国の方が日本に来て、浜崎のことを売上げの実績から「日本のNo.1アーティスト」だと思い、それによって日本の音楽レベルの判断を下されてしまうことが非常に恐い。(2004/01/02)
 浜崎あゆみ 「My Story」 2004・12・15 81点
約2年ぶりのフルアルバム。ここ2年以上浜崎に関してはまともな評価をしていないが、今作の出来はまずまずだと率直に思う。「My Story」のタイトルが示すように、彼女が培ってきた魅力を感じ取ることが出来る。
今作の大きな特色として、前半1〜6曲目に時流であるラウドロック・ハードロック系の曲、中盤7〜11曲目に浜崎得意の慟哭系バラード曲、後半13〜最終曲に往年の要素を感じさせるさわやかなポップ・ロック曲というように分かれていることにある。このことは作品にメリハリを与える上で効果をあげているが、同時にまとまっている曲に対し均質的な印象を感じさせる要因にもなっている。今作が17曲収録とはっきりって多すぎる曲数もあることから、マイナスの評価にせざるを得ない。
ただ、「Liar」「Moments」「CAROLS」を中心に、1曲1曲の出来は、ここ数作に比べると格段によかった。そうなったのには、非CCCDで、且つエイベックスには珍しくサウンド構築がしっかりしていることと、絶頂期ほどではないが、浜崎の歌唱にめずらしく気迫を感じ取れたことにある。彼女に関しては、「売れ筋アーティスト」から「思想性・作品性」を押し出したアーティストへの転換が出来ていない点、先の方向性を見出せていない点を常々問題にしてきたが、ようやくその答えの一端を今作で見つけられたのではないだろうか。この調子で行くのなら、巻き返しも可能であろう。
ただし、17曲という曲数の多さと後半の曲調からややダレ気味になったのと、5・12曲目とインストの存在に必要性を感じなかったのは、大きな減点材料となってしまった。今後さらなる楽曲の充実と情感こもった歌唱に磨きがかかれば、エイベックスお家騒動や各賞辞退といったアホな話題ではなく、業界を引っ張っていく1アーティストとして注目を得られるのに・・・。(2005/01/03)


戻る
一覧へ戻る


ホームへ